訳ありの美味い夕食を食べて、ビールの心地よい酔いに身をゆだねながら御機嫌で居るところに、とんでもないニュースが飛び込んできて一変に不愉快になった。那覇地検が中国の船長を処分保留のまま釈放すると言う。那覇地検は福岡高検と最高検と共に協議して決めたと言うが検察庁だけの判断だとは思えない。仙石官房長官は飽くまで刑事訴訟法上の手続きによって検察庁が粛々と決めたものだと言うがお惚けだろう。法務大臣も指揮権発動は無かったと言明した。
那覇地検が述べた釈放理由の一つに、国民生活への影響や日中関係に配慮すると、このまま船長を拘留するのは相当では無いと判断したと述べた。一体何時から検察が外交に口出しするようになったのか、或は政治的判断を許されるようになったのかと大きな疑問が湧いてきた。大袈裟に言えば三権分立の否定である。寧ろ政府が指揮権発動するか、政治判断によって検察に圧力を掛けたと言う方がまだ増しである。これでは行政も立法も不要で司法だけあればよい事になる。
中国の圧力に屈したと言う事は尖閣諸島が中国の領土であると認めたに等しい。地検は巡視艇の被害が軽く、人的被害も無いと言うがそれは関係ない。日本の領海で操業し、停止命令も聞かず逃げた挙句に漁船を巡視艇に衝突させたのだから明らかに公務執行妨害である。釈放しても損害賠償だけでも請求するべきである。日本はまたしても中国の横槍と圧力に屈した。実に嘆かわしい。
思うに検察庁が郵便不正事件の大失態が無ければ、もっと厳しく対応した筈だと思う。小沢事件や石井事件で国策捜査に近い強硬な捜査を行いながら、尖閣事件では軟弱な捜査で処分保留というのは間尺にあわない。多分政府の無言の圧力に屈せざるを得なかったのだろうと思う。大阪地検の前田主任検事は東京地検に応援に行き、陸山会の小沢氏の秘書を取り調べたと言う。小沢氏の秘書三人は自供を翻す意向である。例によって強引にストーリーに併せて自供に追い込んだのだろう。石井議員も前田検事が自民党政権のほうが自分達にとってやりやすいと言ったと言明した。
検察庁の怪しからん体質が明らかになった以上、検察は政府に対して下手に出ざるを得ないだろう。小沢氏の不起訴も決まったようなものである。然し国策捜査は止めるべきであるが外国人犯罪に手抜きする事は許されない。やる事が逆である。

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