来日中のインドのシン首相と管首相の首脳会談で日印経済連携協定(EPA)の締結で合意した。
日本がEPAを結ぶのはメキシコやASEANに続いて12件目であり、民主党政権では始めてである。発効は来年中の見込みである。これで日本からの輸出品の90%、インドからの輸入品の97%が10年以内に関税が撤廃される。
EPAの他にも戦略的グローバルパートナーシップを今後10年間で強化することを謳った共同声明に署名した。安全保障分野で日印の外相、防衛相による2プラス2を新設する。
世界最大の民主主義国家インドと経済的及び安全保障的連携を結ぶことは日本にとって画期的なことであり、近来稀に見る外交上の勝利である。私は一日中嬉しかった。
インドも中国との間で国境が未画定の問題を抱えている上に、中国はインドの隣国パキスタンやスリランカの港湾整備事業に乗り出し、インド洋への進出を図っている。中国の脅威が存在するのは日本と同じである。自由、民主、平等の価値観を共有するインドとなら日本も安心して付き合える。共に携えて中国の脅威に備えるのは中国への大いなる抑止力になるだろう。
21世紀は中国の世紀だと誰もが言うが、私は昔から中国ではなくインドだと言って来た。インドの人口は既に12億人に達し、13億人の中国を抜くのは時間の問題である。単に人口が世界一になるからパックスインディアの時代が来ると言うのではない。中国が当面共産党一党独裁を続ける限り、国家として安定するはずが無いし、世界をリード出来る筈も無い。何れ一党独裁システムが破綻して大混乱に陥るだろうと観ている。
中国には政治体制のほかにも水不足と公害の弱点がある。世界の工場と化した当然の帰結である。この点インドは世界の工場というより世界の頭脳を目指しているから公害は少ないし、水も豊富である。中国人のような拝金主義でマナーの悪い国民と違ってインド人は敬虔なヒンズー教徒が多く穏やかな国民性である。
日印間の最大の問題は核実験である。インドはNPTに加入していないから今後も核実験を続けるだろう。日印原子力協定は間もなく結ばれる予定であるが、若し核実験をすれば反古になりかねない。両国は国連安保理の常任理事国を目指すことでも共通している。日印友好万歳である。

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