沖縄県知事選は現職の仲井真氏が再選された。前宜野湾市長の伊波氏に4万票近い差をつけた。仲井真氏が普天間基地の県外移設を唱え、伊波氏が国外移転を唱えたから何れにしろ日米合意の辺野古移設には反対の立場である。仲井真氏は自公政権時代に辺野古移設に渋々賛成した経緯があるから政府との協議にも応じるだろう。仲井真氏は当選後日米合意は極めて遺憾、県内移設は難しい、事実上ないと明言されたので協議は難航するだろう。
安全保障問題は沖縄だけでなく日本全体で考えるべきだと言う仲井真氏の主張はもっともであるが、他に受け入れ先が無い以上、普天間市の負担を軽減する替わりに名護市に負担の一部をお願いせざるを得ないのが現実である。事実名護市の住民は大半受け入れに賛成している。基地受け入れに伴って諸々の経済振興策を得られるからである。地元の雇用も増えて景気も良くなるから決してマイナスばかりではない。
沖縄県民には申し訳ないと思うが、地政学的に見て米軍基地が沖縄に存在することが日本の平和と安全に取って死活的に重要である。特に現下の東アジア情勢に鑑みて米海兵隊の沖縄駐在は不可欠である。名護市辺野古に移設するに伴い、普天間にいる米海兵隊8000人がグアムに移転する計画である。沖縄全体として負担が大きく軽減されるのは確かである。
本来外交や国防は中央政府の専権事項であって地方自治とは無関係である。地方自治体の意向や民意に拘らず政府が毅然として決断しなければならない。米軍基地の立地は原子力発電所やゴミ焼却場や産廃処理場の立地と同じで、地元の賛成は容易に得られない。誰もが必要性は解っているが総論賛成、各論反対で自分の近くは嫌だと言うものである。所謂地域エゴに配慮すれば日本全体の国益を損なうことになる。部分最適より全体最適を、現在最適より将来最適を優先するのが政治の要諦である。
菅首相は先ず誠意を尽くして仲井真知事や稲峰名護市長と話し合うべきである。沖縄県や名護市の経済振興策を提示し、普天間市の負担軽減の道筋を示して県民、市民に率直に語りかけるべきである。誠意と礼儀を尽くしても了承を得られなければ、自らの責任で決断しなければならない。今更日米合意を反古にする訳には行かない。鳩山首相の優柔不断によって損なわれた日米関係を修復するためにも、早急に辺野古移設を進めなければならない。
現行法では辺野古沖で工事を着工するには県知事の認可が必要である。特例法を施行して準備する必要がある。又住民の反対ピケを強制的に排除する時限立法も必要になる。もうこれ以上もたもたする訳には行かない。どうせ菅政権は末期状態である。不人気の序に思い切った決断をして、普天間問題解決に実績を残せば後世の評価は高まるだろう。

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