東京地裁は陸山会の政治資金規正法違反容疑で小沢氏の三秘書に有罪判決を下した。大久保被告に禁固三年執行猶予5年、石川被告に禁固二年執行猶予3年、池田被告に禁固一年執行猶予3年である。地裁では有罪になるとは予想していたが思いの外の厳しい判決である。小沢氏の裁判に一定の影響を与える事は避けられない。
司法界は大阪地検特捜部の暴走で世間の信頼を失墜して権威は地に堕ちた。裁判所としても同じ司法界の仲間検察庁の権威を回復したい意向はあったと思う。今回の裁判は検察の主張を全面的に認めるものとなった。往々にして地裁の判断は世間受けを狙うケースが多い。陸山会の豊富な政治資金がゼネコンからの公共工事受注の見返りだというのは世間の一般常識になっている。小沢氏が野党議員であり公共工事の発注に関与する権限は無いが、陸山会に睨まれると受注を邪魔されるというゼネコンの懸念は理解出来る。従って自発的に陸山会に政治献金をするのは不思議ではない。小沢氏の秘書から献金の要請が有ったと言う証拠は無い。いわゆる天の声という曖昧なものである。西松建設の場合は小沢氏への政治献金を迂回ルートを経由してやったので不正献金と見做された。然し水谷建設の場合は1億円が陸山会に渡ったという客観的証拠は無い。況や領収書も無いし三秘書は何れも否定している。水谷建設元社長の証言も曖昧である。自分の懐に入れた可能性も十分ある。当時の水谷建設に1億円を献金する財務的余裕が無かったという証言もある。
断っておくが私は政治と金の問題について小沢氏が白だと言うつもりは毛頭ない。寧ろ真っ黒である。小沢氏は過去に新党を数回立ち上げたが一回10億円は必要と言われている。更に公認候補を当選させるために一人に最低でも500万円は配る。100人で5億円である。小沢氏の歳費は2000万円程度だし、親の遺産も鳩山家と違って大したことはない。一体どこから資金を集めるかは企業の政治献金しかない。個人献金や資金集めパーティーなど高が知れている。企業献金は何らかの見返りを当てにせずにやる馬鹿は居ない。有力な政治家が権力を握って真の改革を行うためには多少胡散臭い金に頼るのは必要悪だから大目に見るべきだと言うのが私の持論である。政治資金規正法など元々ザル法である。収支報告書の虚偽記載など政治家なら多かれ少なかれ皆やっている。秘書の禁固3年は厳しすぎるし大物政治家が連帯責任で辞任に追い込まれるのは見るに忍びない。
小沢氏が政権与党のリーダーとなって霞ヶ関改革に取り組めば省庁や官僚の既得権益が大幅に削減されると言う危機感は霞ヶ関のトップ官僚に共通のものだった。東京地検や大阪地検の特捜部が小沢潰しに走ったのも霞ヶ関の保護と自己保身のためだったと思う。陸山会が狙われたのも資金規模が大きいからであって他の政治資金管理団体と質的に異なるところはない。要するに小沢潰しに繋がれば良いだけである。国民は只小沢は悪い奴だと言うだけでなく、高級官僚や特捜部の悪しき意図に気づくべきである。
三秘書は共に控訴するだろう。東京高裁なら少しは増しな判断を下すと思う。これほど状況証拠だけで固めた検察庁寄りの判決は珍しい。裁判長の売名行為であると思う。

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