大阪市長橋下氏の独裁的政治手法をファシズムならぬハシズムとマスコミは呼んでいる。確かに府知事時代の橋下氏のやり方は強引だった。府庁に乗り込んだ第一声が「あなた方は倒産会社の社員である」と宣告して有無を言わさず給料削減を断行した。徹底した経費削減で三年間で1200億円も赤字を減らして府の財政は黒字体質になった。府庁を去る時は「あなた方は優良会社の社員です」と述べて去った。西部劇の主役を思わせるような実に格好いい男である。
政治に独裁が必要だと失言してマスコミと政党を敵に回し、複雑な出自を暴かれて苦労したのに懲りたのか、市長としての出足は極めて低姿勢である。府知事時代の何でもトップダウンから変身してマネージメント重視に切り替えた様子である。大きな考え方と大体の方向性を示し、後を局長や課長の自発的改革に任せる手法である。職員と対決したままでの一方的改革は長続きしない。職員と一体となった自発的改革が一番望ましい。橋下氏もそれだけ大人になったと言う証拠である。
橋下氏は中田元横浜市長を副市長に招き入れた。中田氏は地域政党の連携を推進している強力な助っ人である。従来市の職員から派遣されていた区長を公募制にすると宣言した。木目細かい区の問題を区長に任せる方針である。従来の区長では市の幹部ばかり見て仕事をするから真の自治にならない。区長公募制で区政に民間企業の発想を取り入れるチャンスになる。グッドアイデアである。
橋下氏は過剰な市職員数を削減してその上給与を減らすと明言している。市バスの運転手に年間750万円も払ったのでは儲からないのが当たり前である。市バスも市営地下鉄も民営化の方向に動くだろう。更に補助金をゼロベースで見直す意向である。大阪フィルハーモニーに対する助成金も例外ではないだろう。文化事業の育成も市政の重要な仕事に違いないが、行政にとっては優先度が低い。大阪フィルも補助金が無くなると忽ち食えないから、自立に向けた努力をせざるを得ない。文化事業と雖も自助自立が基本である。安易に助成金に頼る事業は全て見直すべきである。
橋下氏は今日小沢一郎氏と会談する予定である。大阪都を実現するには地方自治法の改正が必要だから有力な国会議員の協力が欠かせない。元々橋下、河村、大村氏等の地域政党の面々と小沢氏は意気投合している。私が予感したとおり、小沢氏と橋下氏の連携で政界再編が進む可能性が高い。一癖ある人間の方が大きな仕事をする。野田首相は真面目で安全運転だが思い切ったことは出来ないだろう。豪腕と独裁者と減税お宅とドンキホーテが揃えば日本の閉塞状況を打破出来るかも知れない。私は年甲斐も無くわくわくしてきた。

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