国交省は政務三役で八ツ場ダムの事業継続を決めて一都五県の首長に連絡した。傘下の関東地方整備局が八ッ場ダムは利根川水系の治水、利水対策に必要であり、止めるコストと継続するコストを比較して継続が妥当だとした事に基づいた判断である。然し元々建設省が建設族議員と組んで46年前から利根川系の治水、利水に必要だとして推進してきたものである。実際は八ッ場ダムが無くとも46年間何の問題も無かった。従来の公共事業と同じであり、ダムブームの中で治水、利水は建設推進の大義名分に過ぎなかった。原発や火力発電が主流になって水力発電は亜流になった。
政権交代で民主党政府が出来て、前原国交相がマニフェストに掲げた通り、八ッ場ダム建設を中止すると宣言した。地元にしてみれば46年間も翻弄された挙句に今頃中止されては全てが狂うから中止に反対するのも無理も無い。前原氏の後任の馬渕国交相は地元の反発に継続に転じた。
東日本大震災によって原発が見直され、水力発電は俄かに存在価値を増した。加えて大自然の齎す災害はとてつもない事が再認識されて利根川系の治水問題も脚光を浴びた。
諸般の事情が違ってきたのだから八ッ場ダム中止のマニフェストを見直す事もやむを得ない。問題は民主党政調会長の前原氏が自分の結論と正反対の結論になった事で面子を潰され、内閣官房長官に捻じ込んだ事である。政調会の面々も継続に反対しているから党内が真っ二つに割れた。
前田国交相も既に首長に継続方針を明示した以上取り下げは不可能に近い。ここは前原氏が降りるべきである。言うだけ番長と呼ばれた事が悔しいのだろうがここは辛抱である。

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