日本の政治、経済、社会にとって少子化対策こそ最大の課題であると二度に亘って書いた。少子化の原因の最たるものが非婚化、晩婚化、共稼ぎ上の制約等経済的理由が大きい事も書いた。従って抜本的解決には若者に安定した雇用を与え年収を増やす事が肝心である。未婚女性が相手に望むのは先ず正規社員である事と年収が600万円以上ある事である。然し現実は25−35歳の男性は非正規雇用が2割以上で年収も200−400万円以下が殆どである。
若者の雇用対策には時間が掛るが、場合によっては終身雇用制度の見直しまで考えなければならないだろう。若者も職種を選ばずに人の嫌がる仕事に就けば新卒の就職浪人が10万人を超える事もなくなるだろう。大企業だって10年先は判らない。ミスマッチは駄目である。
出生率を上げるために短期的効果があるのは子供手当てを弾むことである。ちまちませずに数兆円を出せば良い。子供を育てる事を新しい公共事業と位置づければ予算を取れる。今後日本は人口が減るのだから。道路も港湾も空港もダムも増やす必要は無い。その分を子供手当てや託児所の充実に回せば良い。
若者の雇用を増やし年収をあげるには景気回復が不可欠である。デフレ下の景気低迷は個人消費が伸びないからである。日本には個人資産が1400兆円も眠っている。この1割でも生きた金として市場に回れば景気は忽ち上向くが殆どが高齢者の資産だから貯蓄に回って使わない。橋下大阪市長が言うように資産税を課す必要がある。同時に高齢者の資産を若者に移転させる為に生前贈与を推進する必要がある。生前に限って贈与税を大きく減税すればよい。資産の有る高齢者に対する年金の減額も必要だし高齢者の医療保険料も現役と同じく窓口負担を3割に増やす必要もある。
政治家は選挙で高齢者の支持を得ないと受からないので高齢者に有利な政策に傾くが大きな間違いである。若者も選挙で棄権ばかりせずもっと政治に関心を持って声を大きくするべきである。世代間格差に文句ばかり言って白けても何も良くならない。
真の景気回復には財政再建も不可避だから消費税の増税を避けては通れない。国会は僅か5%のアップも決められない。100年も前に与謝野晶子は国会議員たちを駄獣と呼んで嘆いた。「あわれこの国の、怖るべく且つ醜き議会の心理を知らずして、衆議院の建物を見上ぐる勿れ」、「此処に在る者は、民衆を代表せず、私党を樹て、公論の代わりに私語と怒号と罵声とを交換す」と詠んでいる。何と今の国会に似ている事かと思った。与謝野馨議員は是非祖母の詩を印刷して議員に配って貰いたい。

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