消費者庁はソーシャルゲーム業界が競っているコンブガチャと呼ばれる商法を景品表示法違反だとして中止要請を出した。ソーシャルゲームとはネット上で他人と交流する為に提供されるゲームであり、ゲーム代は原則無料であるが通信費が膨れあがる。他にもゲームを有利に進める武器や衣装などの有料アイテムの購入が必要になる。コンブガチャは特定のカードを揃えると希少アイテムが当たる仕組みである。子供の射幸心を煽り中学生が一ヶ月で40万円も使ったり、小学生が3日で12万円使ったケースもあると言う。高額請求に対する苦情は急増している。
ソーシャルゲームは市場規模2500億円に達した。モバゲーもグリーもDeNAも同業である。テレビのコマーシャルで盛んに出て来るが、私は何の会社かさっぱり解らなかった。DeNAが横浜ベイスターズを買収したので驚いたがホリエモンと同じで成金だろうと思っていた。
ゲーム業界の元祖である任天堂が会社設立以来初の赤字に転落した。一時は日本でトヨタに次ぐ利益を上げた事もあった。わが社ホンダが任天堂に負けた時私は強い衝撃を受けた。然し何れ没落すると確信していたので、今年の赤字転落で関係者には悪いが私は胸を撫ぜ降ろした。
私の現役時代は何処の家庭にも任天堂のファミコンがあって大人も子供もゲームに夢中だった。
私はファミコンゲームは子供の発育に有害だと思ったのでゲーム機は一切買わなかった。息子に友達の話についてゆけないと文句を言われても許さなかった。反抗期の息子はゲームセンターに入り浸っている様子だったがその内飽きたのかゲームに見向きもしなくなった。普通の人間なら飽きて馬鹿馬鹿しくなる筈である。ところが一向に飽きない連中がいるから恐れ入る。こんな子供が大人になると電車の中で少年ジャンプを読み耽るのだろう。ゲームに嵌って知性が発育していない証である。
ITと呼ばれる情報技術は確かに世の中を効率よく便利にした。パソコンや携帯電話機などがその典型である。インターネットのバーチャル空間は双方向になってから安易に他人と繋がれて引き籠りのニートでも簡単に友達が出来る時代である。ゲームも見知らぬ他人と勝負出来るようになった。ニートは働かずに毎日楽しく遊べるからそこから抜け出そうとしない。ソーシャルゲームなんて立派な名前をつけたが、人間の知性にとって百害あって一利無しである。
ソニーもゲーム機に乗り出してから衰退し始めたしマイクロソフトも同じである。井深さんが経営してればゲームになんか乗り出す筈が無い。ゲームやソフトの開発は30歳を過ぎるとお払い箱である。つまりデジタル技術は若者文化であって円熟した大人の文化ではない。何でも0と1で創り上げるデジタル技術が人間の文化・文明の中心になれる訳が無い。私は世の中が如何変わろうとアナログ人間でありたいと思っている。
人類はホモサピエンスからでも200万年経った。この間営々として築き上げてきた文化・文明は全てアナログ技術によるものだった。IT技術の歴史はまだ半世紀も経っていない。僅か50年の歴史で200万年の歴史を変えようと思うのは僭越至極である。孔子やソクラテスやキリストの時代にパソコンはあったか、ある訳が無い。近代に入ってもゲーテやデカルトやベートーベンやゴッホの時代にパソコンや携帯やソーシャルゲームはあったか、ある訳が無い。
ゲーム業界は中小企業に委ねるべきで大企業がやる事ではない。ゲームは飽くまで暇潰しの娯楽であってそれ以上でも以下でもない。子供に大金を使わせる様な業界は発展して貰いたくない。

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