日本の世帯の平均年収が409万円に落ちたと言う。これはほぼ30年前の水準である。サラリーマンの亭主の平均小遣いも4万円を切った。これでは昼食代の平均が510円だと言うのも頷ける。いやはや日本は既に貧困国である。中国、韓国に舐められるのも無理も無い。
失われた10年どころか30年である。自民党は豪そうに民主党を批判するが、民主党政権は発足後まだ三年であり、経済低迷の責任の大半は自公政権にある。小泉政権の時代からデフレ脱却を唱えていたが未だにデフレは進んでいる。
日本の経済的低迷は主としてデフレと円高にあるが、他にも勤労者への所得配分を誤った事にある。労働市場の規制緩和で非正規労働者を三割にまで増やした。今や年収200万円に満たない若者が急増している。これでは個人消費が伸びるわけが無い。安物しか売れないからデフレは益々進む。伸びるのは携帯電話市場やゲーム市場だけである。
一方人件費を抑え込んだ企業の内部留保は増え続けている。将来の不安に備えて設備投資も控え只管貯め込んでいる。業績が悪くなると簡単にリストラして雇用を減らす。円高に耐え切れず簡単に海外に生産拠点を移して益々雇用を減らす。私は企業のモラルハザードこそ日本経済の低迷のA級戦犯だと思う。
次の問題は世代間格差である。若者が貧困に喘いでいるが老人は比較的豊かである。貯蓄ゼロの所帯が増えている一方で高齢者の平均貯蓄は2000万円を超えている。この金は老後の不安に備えて消費されない。個人資産が1500兆円もあるのが日本の強みであるが、この7割近くを高齢者が持っている。この一割でも個人消費に回れば日本経済は忽ち回復する。
経済の貧困は政治の貧困に依る。選挙の票が欲しくて高齢者優遇政策を採るから若者が貧しくなる。資産2000万円程度なら相続税もかからない。思い切って1000万円以上の資産には10%以上の相続税を課すべきである。その代わり生前贈与は免税にして高齢者の資産を子世代に移転させるべきである。国民背番号制度を早急に導入して資産が1000万円以上ある高齢者の医療費の窓口負担を現役世代と同様に3割にするべきである。
80歳の稲盛氏がJALの再生を見事に成し遂げた。無給で私心が無いから皆従わざるを得ない。日本の再生も政治のリーダー次第である。

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