ハーグの国際司法裁判所で捕鯨裁判が始まった。オーストラリアが日本の南極海での調査捕鯨は実質的に商業目的であるとして中止を求めてニュージーランドと共同提訴したものである。
日本は国際捕鯨取締条約に基づいて合法的に捕鯨を行っている。条約は科学的研究を行うための調査捕鯨は認め、その頭数については各国の判断に委ねるとしている。然し適当と考える頭数が日本の捕鯨数かどうかは微妙である。オーストラリアは条約はクジラ保護を最優先するのだから、条約の精神に照らすと各国が調査捕鯨頭数を自由に決められるとは解釈できないと言う。
確かに日本は毎年南極海で1000頭近い捕鯨を行い、国内で一般国民に販売している。日本はクジラは増えすぎたと言う資源管理の観点から頭数を決めていると言うが、オーストラリアに言わせれば頭数が多過ぎて国際法違反と言う事になる。調査ならクジラを殺さなくても出来る筈だと言う論点はある意味では正しい。16人の判事がどう判断するか気になる。
国際捕鯨取締条約は長年にわたる捕鯨国とクジラ保護国の争いの妥協の産物である。捕鯨国にとってクジラを食べることは歴史的な食文化である。全面禁止すればアイスランドやノルウェーの様に日本を脱退に追い込むことになる。調査捕鯨を行っているのは日本だけである。アイスランド、ノルウェー、カナダは堂々と商業捕鯨を行っている。
抑々クジラ保護国の言い分は、知的水準が高くて可愛いクジラを殺して食べるのは残酷で野蛮だと言うものである。アメリカは一昔前まで大量の捕鯨を行い、鯨油だけ採取して肉は捨てていた。電球の普及で鯨油が不要になったから反捕鯨に転じただけである。バッファローを絶滅寸前まで追いやったアメリカに捕鯨を非難する資格は無い。
オーストラリアとニュージーランドはクジラは愛すべき動物だから食べるなと言う。然し可愛い子羊の肉のマトンを大量に食べている。子羊は古来神の生贄に捧げてきたから食べても良いと言うが、それは可笑しい。クジラを捕るのは大変だし大き過ぎて生贄にならないだけの話である。
オーストラリアとニュージーランドは反捕鯨団体のアメリカのシーシェパードを陰に陽に支援している。親日的な両国もクジラとなると挙って反日的になる。私はオーストラリアで暮らしていたころ、近所の人に何時もクジラの事で文句を言っていた。彼等も話せば分かってくれる。
思うに反捕鯨国は全て牛肉や羊肉の大生産国である。若しクジラが解禁になれば肉の需要を奪われるから業界団体が反対して、ひそかにシーシェパードを支援しているのかも知れない。シーシェパードも只働きはしない。スポンサーが居るはずである。
IJCでの口頭弁論は来月半ばまで行われ、判決は年内にも下される。判決には法的拘束力があり、控訴できない。雅子妃の父君である小和田判事に期待したい。

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