NHKの首都圏スペシャルで観たが、チャイルド・プアという言葉を初めて聞いた。今や子供の6人に1人が貧困に苦しんでいると言う。親の経済的状況が子供の精神に与える影響は大きいと言う。殆どの場合不登校になったり引きこもりになると言う。
昨今は父親がリストラに会って失業したり、病気になって辞職するケースも多い。その途端に貧困家庭になる。又離婚が増えて母子家庭で貧困に落ちると母親の負担が大きく、子供に当たって親子関係にひびが入り勝ちになる。私の父は戦死して母が29歳で未亡人となり、子供三人と舅姑を抱えて貧乏のどん底だった。高校では弁当持参が習わしだったが現金収入のない我が家の弁当は麦飯と梅干と鰹節だけだった。人に見られるのが恥ずかしいので丘に登って一人で食べた。級友に喫茶店に誘われると自分は小遣が無いので水だけ注文すると友達がコーヒーを奢ってくれた。それで苛められることもなく却って尊敬された。学校の費用はおふくろが魚の行商をして稼いでくれた。子供心に母を恨んだり世間を僻むことも皆無だった。古き良き時代だった。
不登校になれば学校側も家庭訪問をして事情を探るが、経済的なことは聴きにくいので真の原因を見逃すことが多いと言う。子供は家が貧しいことを知られるのが怖くて学校に行きたくなくなる。或はこれ以上親の負担になりたくないからと退学を決意する場合も間々ある。
昔も貧乏な家庭が多かったが、周りの皆が貧乏だから僻むこともないし家族や社会の絆も崩壊することは無かった。そこから這い上がるしかないので懸命に努力した。現在の貧乏は家族や社会の絆を無くす素になる。何故自分だけが貧乏に苦しむのかと僻んだり恨んだりするから前向きに生きる気力が出て来ない。行き詰まると直ぐ生活保護に頼る。
親は病気になるのも失業するのも結局は自分の精進や努力が足りなかった所為だから誰を恨むこともない。反省して先ずは自力で立ち直らねばならない。それが出来ない場合だけ社会のセイフティーネットに頼ればよい。少なくとも子供を巻き込むべきではない。自分の食べるものを削ってでも子供に食べさせる義務がある。そんな親を観れば子供が捻くれることは絶対にない。親の豊かな愛情の下で育てば貧乏など何でもない。却って立派な人間に育つと思う。

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