小泉元首相の原発即廃止論が止まらない。あちこちの講演で安倍政権を揺さぶっている。野党は全部原発廃止論だから、自民党さえ決断すれば出来ると主張している。最大の理由が核廃棄物の最終処分場が無いからだと言う。安倍首相が原発即廃止を唱えるのは無責任だと批判すると、最終処分場も無いのに廃止しない方が無責任だと反論した。自民党のベテラン議員たちは余計なことを言うとひやひやしているが、国民人気が高いので表だって反論出来ない。
読売新聞が社説で小泉さんに反論したが、評論家では桜井よしこさんが週刊新潮で小泉批判をしている。相変わらず堂々たるもので筋が通っている。私は評論家の中で最も信頼しているのが櫻井女史である。骨の髄からの愛国者であり、日本を思う心情に溢れている。女史は大衆迎合主義が大嫌いだから小泉さんの劇場型政治には批判的だった。
原発を即廃止することによる悪影響については私は既に書いた。CO2の増加、国費4兆円の流出、企業の海外逃避、電気代の高騰などは櫻井女史も指摘している。私の様に資源の争奪で弟四次世界大戦に突入するとまでは言わない。それは世界中の原発が無くなるとは思っていないからだろう。フランスやアメリカがそんなバカなことをしないと思っているからだと思われる。
ここでは核廃棄物の最終処分場問題に限定して櫻井女史の見解を紹介する。女史は徹底した取材をすることで有名である。青森県の6か所村で数日間納得するまでプルサーマル方式の現状を取材した。小泉さんは核廃棄物は10万年間も安全に保管しなければならないと言うが、使用済み核燃料を再利用すると核廃棄物の放射能の寿命は800年に短縮すると言う。更に開発中の技術を活用すれば300年に短縮出来る。原発が全てプルサーマルになれば核廃棄物は大幅に減るうえに放射能の寿命も三千分の一になる。おまけに新しいウランも必要なくなる。技術は年年進歩しているのである。
最終処分場は固い地層に深い穴を掘って埋めるのが一番安全だと言うのが世界の知見として確立している。スエーデンとフィンランドが穴を掘っている。3兆円もかかると言うが、1年分の火力発電用天然ガス代より安い。日本政府は受け入れる自治体を公募してもう15年もたつ。核廃棄物の処分場を受け入れる自治体など有るわけがない。普通のゴミ焼却場にも反対している。これは政治の問題として政府が国有地に最終処分場を建設する以外に方法が無い。小泉首相時代に決断して居ればとっくに解決していた。
フランスが開発した中間処分容器の安全性は信頼できる。現在福島原発4号機の核廃棄物を取り出してこの容器に移している。6か所村でもトンネルを仮に掘っていると言う。仮ではなくて正式に掘るべきである。

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