最近禅の本を読んでいる。禅の名言集であるから短くて寝る前に読むのに最適である。禅の名僧は厳しい修行に明け暮れた仙人ばかりだから皆さん悟りの境地にある。口先だけの評論家と違って言葉に重みがある。
禅を志す者にとって禅問答は大事な公案だった。頓智で有名な一休さんの言葉に「生まれては死ぬるものなり押しなべて、釈迦も達磨も猫も杓子も」と言う歌がある。起きて半畳寝て一畳の粗末な庵で暮らして子供たちと遊んだ一休さんが究極の悟りを開いたのがこの歌である。禅は単なる宗教ではなく哲学である。崇める釈迦も達磨も猫や杓子と同じくやがて死ぬものだと喝破した。
臨済宗の開祖臨済は「人生は今日より他に無かりけり、今より他に無かりけり」言った。過去は戻らず、明日は来たらずだからくよくよしたって意味がない。今日を今を精一杯生きるほかに無い。やるなら今しかないのである。私もこれを信条に生きている。
誰だか忘れたが高名な禅師が「あいつもやがて死ぬやっちゃ」と言った。誰かを恨んだり羨んだりするならばこの言葉を呟けば恨みなど吹き飛ぶ。禅は易しい言葉で難問を解く。

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