伊勢志摩サミットが早くも閉幕した。首脳宣言と付属文書を採択して日程を終えた。財政出動を含む三本の矢を実行する経済イニシャティブを盛り込んだから安倍首相の思惑通りである。
北朝鮮、ロシア、中国に対する非難宣言は何時もの通りで目新しさはない。地球温暖化対策のパリ協定の年内発効を目指すことでも一致した。
今回のサミットの白眉は何といってもオバマ米大統領の広島訪問である。米国の現職大統領として初の歴史的訪問で71年ぶりの和解である。
唯一の核兵器使用国と唯一の原爆被災国の日米首脳が共に広島で慰霊碑に献花した。被爆者二人とも会談した。謝罪はなかったが十分である。
オバマ大統領の演説は冗長でそれほど感銘しなかった。スピーチライターが米国民に気を使い過ぎて曖昧な表現になった。核兵器なき世界を目指すと宣言したがプラハ演説ほどの迫力が無かった。
オバマ氏はコロンビア大学生の頃から核廃絶を唱えていた根っからの平和主義者である。ロシアと核削減で合意して一部実行したのは立派である。ノーベル平和賞に値する。
然しオバマ氏の平和主義の弱腰のため世界の秩序は乱れた。アルカイダやイスラム国がのさばることになった。世界の警察官であるアメリカのリーダーが平和主義者では駄目である。本来政治とは非情なものである。時には蛮勇を振るって貰わなければならない。

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