今朝の読売新聞に嬉しい記事が載った。特殊詐欺の被害者7人が暴力団住吉会の幹部を相手取って使用者責任で損害賠償2億円を払うよう東京地裁に提訴した。特殊詐欺で暴力団の使用者責任を問うのはこれが初めてのケースである。いささか遅きに失した。
使用者責任は民法に規定されており、従業員などが不法行為をした場合、所属の組織や個人が損害賠償責任を負う決まりである。暴力団抗争で被害を受けた民間人は組長らが直接指示していなくても民事上の責任を問える決まりである。
特殊詐欺ほど卑劣な犯罪はない。毎年高齢者から莫大な金額を詐取している。3年連続で400億円を超えた。いずれも老人の老後資金である。何故特殊詐欺がなくならないのかのポイントは捕まるのがアルバイトの掛け子や出し子だけであるからである。偶に捕まった幹部は暴力団に脅されて止められなかったと供述している。
暴力団はみかじめ料が減る中で特殊詐欺から得る金が重要な資金源になっている。住吉会は組員7000人を超える山口組に続く組織である。同会系組員6名がすでに逮捕されている。
2004年に山口組が起こした人違い殺人事件では組長の使用者責任を認めて8000万円の賠償を命じた最高裁判決がある。これが強い抑止効果となって暴力団抗争でも暴発を戒めている。
住吉会に特殊詐欺の賠償責任が科されれば大きな抑止効果が期待できる。東京地検は全力で取り組んでほしい。

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