ロシアの排他的経済水域内でスケソウ鱈漁を行う漁業会社4社がロシア国境警備官に3年間で5億円を提供して漁獲超過を黙認してもらっていた事が国税庁の調査で判った。経理処理で仮装、隠蔽があったので所得隠しを指摘された。追徴課税は1.5億円にも上るから漁業会社にとっては泣きっ面に蜂である。
日露漁業交渉の漁獲量は漁場や種類ごとに決められる。スケソウダラは今年約2万トンが認められた。日本漁船にはオブザーバーとしてロシアの国境警備局の係官が乗船して漁獲量をチェックする。漁船の船長は仲間からオブザーバーに袖の下を渡せば見逃してくれる事を聞いていたに違いない。或いはオブザーバーがそれとなく賄賂を要求したのだろう。
私はソ連時代のモスクワに一ヶ月以上滞在して市場調査をした経験がある。日本商社の駐在員からのアドバイスで役人や党の幹部に会うためには高額の土産が欠かせなかった。当時はセイコーの腕時計とソニーのテープレコーダーが人気商品だった。交通警官は日本人の乗った車を見ると止めてケチをつけ袖の下を要求した。昔からロシアの役人は汚職塗れが常識だった。多分今もその伝統は生きているだろう。
ロシア連邦保安局の広報センター担当官はこの事件に触れて「われわれも問題の重要性を理解している、検察と連絡を取り調査を行う」と不正を認めた。この機会に日本漁船はオブザーバーの乗船を拒否するべきである。

9