『牛馬頭のゲーム』大阪公演が終って、もう1か月以上が経った。
今日は12月12日だ。その間、つい先日、M−1準決勝が終わった。お蔭さまでと言うべきか今年も審査員をやらせて頂いた。去年、ブログ炎上という椿事があったにも拘らず、その職務を与えて頂いたのは有難いことであった。このへんの事は次号たくらだ堂で?
他にも、この時期は恒例のスペシャルな仕事が多い。
『MBS・オールザッツ漫才』
『ABC・お笑い新人グランプリ』
そして、年に一度CBCの正月特番。
どの仕事も去年と同じように呼んで頂き安堵と感謝の年末である。
今年は、ここに更に『牛馬頭』が加わり、3月の「シャンプーハッとモンスターエンジンのコントライブ」が動き出し、更に、三期田中亮治の誘いで、12月24日の反クリスマスイベント「SorryX‘mas〜京橋でやったらこんなんになっちゃた」にも参加することになり、齢を超えた急がしさにやる気十分の59歳である!
言い訳のつもりはないが、そんなこんなで「たくらだ堂」が滞ってしまった。製作日記、大阪公演2日目からである!
■11月5日(水)■
15時入り。
先ずは昨日のダメだし!
●台詞の間違い
●音のきっかけ間違い
●大道具の出し入れの遅れ
その他メイクのし忘れなどもあった。そして、演出の変更と追加もだ。
これをプロローグから順にやって行く。
最大の問題は二箇所。
ひとつは二幕から三幕への舞台転換。時間が掛かる事だ。
舞台を見て頂いた方はお判りだろうが、見た目には左程大きなセットではない。だが、遠慮せずに現実を言わせて頂くなら、袖も含めて舞台が狭い事が最大の原因。為に前の幕のセットを完全にはけさせてからでないと、次のセットが運び込めないのだ。しかも、二幕のセットは組み立て式で時間がかかる。え、これがという大道具ですが、でも大変なんです。
もう一箇所は、四幕の前後。
どちらもカオルコさんの着替えに時間がかかるのだ。和服から和服への着替えで、少しでも時間を短縮できるように、着物や帯に細工をしたりもしたのだが、それでも掛かるものは掛かるようなのだ。
実物のニュース映像(音声だけ)やこの芝居用に本物のアナウンサー(毎日放送・松本麻衣子アナ。はい、明石家電視台の馴染で出て頂きました)によるニュース番組。そして初日は急拠の漫才(浜口浜村)などで繋いだが、ギリギリだ。
そして、二日目はその漫才をトイレシーンに変えて上演。
苦肉の策ではあるが、ああだこうだと考えるのが面白い。しかも、それが殆ど僕の意思で決まる。僕のアイデアがそのまま実行、実践される。責任を感じながら、その出来を見守る。残念だがテレビではこうは行かない(事が多い)。テレビではディレクターに決定権があり、しかも、実はその責任はタレントが請け負う事になる。だが、いやだからというべきか、タレントは多くのギャラ――正にギャランティ=保証――を貰う事になる。
それは代替が利かないという事でもある。
この二か所の繰り返しのやり直し作業に時間を取られ、あっという間に開場時間。最終十四幕は台詞を流し、きっかけ確認のみでリハを終了。
5分押しの19時5分、『牛馬頭のゲーム』二日目開演である!
幕開けは譲くんと藤原君。Jazzをバックに秘密の会話だ。
続いてタイトル。そして六人が死のゲーム、ロシアンルーレットへと落ち込んでいく!
細かい確認はしていないが、昨日よりは各所、各人、ミスは少なかったようだ。
役者としての僕は、何故か昨日より緊張が増していて、声が小さかったかもしれない。喉の痛みのせいもある。
そんな中、四幕の僕の出は上手からなのだが、ふと思いついて、セットのソファの後ろに隠れ、飛び出すことにした。
四幕スタート。ニュース映像から、とある料亭(?)の内輪もめシーンへ。そして牛馬頭(リットン調査団藤原君)の台詞を受けて僕の登場だ。この間約五分。狭い所に身を潜めて待つのは意外と苦しい。しかも暑い。
漸く、「ぜ〜んぶ聞かして貰いました!」と飛び出したのだが、他の共演者、特に驚きもせず。彼らに伝えもせず、勝手に登場の仕方を変え、しかも居るとは思っていないソファの後ろから出たのだから、もっと驚くと思ったのに!アドリブ失敗。
無論お客さんはそういう演出だと思っているから驚きようもない。
終演後、他の役者から特に賛同も後押しもされず。明日も僕はこれをやるのでしょうか?
ま、そう言うノリが面白いんですけどね。痩せ我慢ではありません。
上演時間2時間15分。お客さんは110人。有難うございました。
最後はスタッフロールの後、エンドテーマ曲から、僕の芝居のテーマ曲、サザンの「希望の轍」が流れる中、初日と同様に全出演者が舞台に並び、役者紹介と僭越ながら僕の挨拶。
役者紹介はそう言う事がとんと苦手なお松さんが全員のフルネームをちゃんと言ってくれた。
最後にひとり遅れて僕が登場し、入場のお礼と舞台裏の出来事少々と他の役者さんの感想と、「来月東京公演があります。是非東京方面にお知り合いのおいでの方、この芝居にお出かけ頂くようにご吹聴下さい」とお願いして、全員で「有難うございました!」と頭を下げ、終演。
直後にロビーへ走って、お礼を言いつつお客さんを送り出す。その横で、哲ちゃんと譲くんはサイン会やDVDや本の物販に余念がない。
しばし、賑わしいロビー風景なり。
さて、今日も飲みに行きました!
今日は、前前からカオルコさんの紹介で、彼女の知り合いのお店に行くことになっていて、個人的にお呼びが掛かっている哲ちゃん以外は、スタッフも含め30人ほどが、天満のそのお店に集合!
御馳走様でした。有難うございました。
二軒目はお花も頂いていたミナミのen。何人ぐらい行ったんだっけ?10人は行ったかな?そして蕎麦を食べて、明日があるからと4時ごろ?解散。
お疲れ様でした。
■11月6日(木)■
わ、携帯が無い!
焦ったが、やがて昨夜の蕎麦屋に忘れていたことが判明。稽古中に手に戻る。ふぅ。
さて、今日は17時入り。つまり、ダメ出しが余り無いということである。全体リハは無し。役者は衣装と台詞のチェック。スタッフは道具の点検。静かに開場、開演へと向かう。
今日は思いがけない人物が見に来てくれる事になっている。堀純児。大学の同級生。岐阜の人間だ。今は多治見で中学校の先生をやっている。無論、そこから来てくれる。しかも授業終わりで駆けつけてくれるのだ。
有難く、嬉しいことだ。
彼についてはそれだけではない、彼とは大学時代「落語研究会」で漫才コンビを組んでいたのだ。1970年代前半の話だ。彼とのその関係、経験があるから、僕は今こうしてお笑いに携わっている。それがなければ僕は今、AV監督だったろう。それも悪くないが。
実は、この日は雨。会場前はアーケードがあるが、そこへ来るまでが煩わしいのだ。そしてその分客足が鈍る。余計な心配が増える。だが、足を運んで頂ける方もおられる。感謝。堀も開場前、長くはないお客さんの列に並んで入ってくれた。勿論、特別ご招待だ。
そして開演前、少しメイクを施した僕の所へ来てくれて、数年ぶりの御対面。彼は三歳下、全くハゲでない。
開演は今日も5分押し。
結果的には上演時間は今日が最長で、2時間半!お客様お疲れ様でした。
芝居の楽日は大概そうなる。皆が今日までやりたくてやれなかったことや、思いついたアドリブを鬱憤を晴らすように、いや、芝居の思い出を刻もうとして、噴出させるのだ。結果2時間半!
そして、入場者数は最大の150!有難うございました!でも赤字です。
僕も、これで終わりだ、明日は無いとばかりに、喉の痛みを振り切って頑張って声を出した。
その分、やった感が増した。無論100点ではないが、満足度は高い。ま、本物の役者ではないので自分に甘いです。
しかし四幕の登場は元へ戻して、上手から普通に出た。賢明なる選択だ。
更にトイレシーンは漫才に戻した。
小さい異変が三幕で起きた。お松さんと吉村くんふたりのシーンだ。吉村くんがお松さんを叩いた時、見当が違ってお松さんの眼鏡に当たり、それが床に飛び壊れた。
その眼鏡を手に持って時折(お松さんの役名)が言う。
時折「森栗(吉村くんの役名)、見ろ」
森栗「俺だって、そんなに右腕に力が入るとは思わなかったよ!お前の(頭を)上げたタイミングと俺が叩いたタイミングが、たまたま最悪だっただけだ!」
時折「俺にとっては今最高だ!」
説明して恐縮だが、お松さんはこのハプニングが笑いに繋がって美味しいという訳だ。
しかし、悲劇(それほどでもないが)はこの後起きた。この混乱で吉村くんの台詞が飛んだのだ。だが、そこは生舞台に慣れている芸人さん。見事に飛んだ箇所へ戻り、無事この幕を終えた。
さて、最終日は役者が鬱憤を晴らすと書いたが、その典型は吉村くんだ。
台本上の十二幕目、彼と僕と浜口浜村とイーの五人が派手なメイクと衣装で登場する場面がある。そして、その中で、吉村くん役の「リタ」がこう叫ぶのだ。
「弾(たま)は出なかったぞ!」
しかし、その時、彼は自らの玉を出していたのだ!お判りかな?
実は、彼はこれを二日目もやっていたのだ。演出の僕が今日の本番前ミーティングでやらないようにと釘を刺しておいたのだが、楽日という事も勿論、そして芸人という事も勿論あって、楽々と躊躇なくやられてしまったという訳である。
ここはこれを読むだろう(?)吉村くんに告げる。
こう書いたからといって君にOKを出したのでも、白旗を挙げた訳でもない。東京公演は厳正に行こう。区民プラザという公的場所だから、下手をすると会場側から文句が出るかもしれない。つまり猥褻に渡る行為、云々侃々・・・う〜ん、そうなると、僕も逆らいたくなってしまうなぁ!
しかも、この他にもともとやばい場面もあるのだ。
そして、最後の最後、水野くんが狂気に走って芝居は終わる!
「希望の轍」の中、全員整列。三日間のお礼と、東京公演の告知と、アンケート記入をお願いして、
「本日は、有難うございました!」
と終演。
もう一度、この場を借りて、三日間おいで下さった皆さんと、僕のわがままに付き合って下さった、出演者のみなさん、その所属事務所の方々、スタッフステーションの皆さん、amホールの皆さん、そして、塾生の皆と大滝エージェンシーの皆さんに感謝以外の何物もありません。
本当に、有難うございました。
しかし、これで半分。12月22、23日の東京公演が残っています!
会場の大田区民プラザは500人の大ホール。3ステージで1000人入らないと、入らない分赤字だ!
このブログを呼んで興味をもたれた方、或いは偶然か久しぶりに僕の状況を知った方で、もし東京近辺におられる方、是非、『牛馬頭のゲーム』においで下さい!
何度も言ってますが、必死なのです。
その東京公演ですが、既に稽古を開始しました。
その中で、ニュースがあります!
当初目論見ながら、ふたりの稽古時間の問題で取り止めにしていた、平成ノブシ・コブシのWキャスト計画、復活です!(♪ファンファーレ!)
ノブシコブシのふたりも相変わらず少ない稽古時間ながら、意欲と根性で臨んでくれています。
実際には3公演中、二日目の15時開演分で、吉村くんと徳井くんが全く役を交代して舞台に立ちます!つまり2倍楽しめるお芝居になっております!
彼らのファンの方は勿論、そうでない方も是非、お試しとお楽しみでご来場下さい!!!!!
大阪最終打ち上げは天神橋商店街の本陣にて、総勢40人の大宴会でした!
鍋を囲み、あっちでもこっちでも、有難うとお疲れ様と乾杯が飛び交う大広間。
圧巻は演奏ができる部屋を用意して下さいという要望の元現れたカオルコさんと旦那さんのキスノキヨシさんの夫婦楽団ジギジギのライブでした!30分を超える大音楽ショー!完全余興のりで、全員大爆笑!これがノ―ギャラ!有難うございました!
二次回はカラオケ!30人ぐらいがギッチギチに座って、次から次へと嗚呼絶唱!
僕は、多分、「祭りの後」と「希望の轍」を唄ったはず!酔っていたので・・・因みにどちらもサザンです。
先週、大阪公演のDVDが手元に。城田とチェックをしながら、2時間半の芝居を何とか2時間にする手だてを模索、孝案。
更に面白く見応えあるものにするべく奮闘努力の毎日です!
是非、是非、是非、おいで下さい!

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