嘗ては美しかった海岸線が続く東北地方。
今、そこでは鳥たちだけが自由に、気儘に飛んでいる。
いや、そう見えるだけで、彼らも失った子どもや巣を探しているのかもしれない。
それとも、人間どもの嘆きと狼狽を高みの見物と決め込んでいるのかもしれない。
政府により「東北沖太平洋地震※」と名付けられた大災害は、その名の通り、先ずはマグニチュード9まで格上げされた地震に始まり、次いで海洋地震では必ずセットとなっている津波が起こった。
※ところが、現状は放送局がそれぞれに命名して別の名称を使っているのだ。例えばNHKは「東北関東大震災」。その他、「東日本大震災」「東北地方太平洋地震」などだ。
果たして、そこからは絶対ではないが確立的には起こるべくして起こる火災が連動、頻発した。
そして、最後、確立的には起こらない事になっていた‘原発’事故が起こった。ダメ押しと言っても良い仕打ちだ。
だが、それは地震が起きたら必ず起こる事ではない‘原発’が無ければ起こらないのである。その時点で、これは明らかに人災であった。
先ず、3月12日、午後3時半ごろ、福島第一原発1号機が爆発した。建屋の上半分が吹き飛び、核爆発かと思わせたが、格納容器から漏れた水素が酸素と化合して爆発したものと判った。
この事故で東京電力の社員4人が怪我をしたが命に別条は無いとされた。
――この時、僕の頭をよぎったことがある。その東電の4人の社員。果たして正式な社員であろうかと。ひょっとすると、危険な業務をその賃金の高さから、背に腹変えられず買って出た季節労働者たちではないだろうかと。
エリート社員が、事故中の‘原発’の建物に入って、水を注入するなどと言う命からがらの肉体労働をやるだろうかと――憶測です。
そこから、再びこれを書き始めた、3月16日の今、午後3時半まで、4日間、福島原発は爆発、火災、噴煙、溶融と大暴れである。
近隣住民は不確かで遅延気味の情報の中、核爆発と被爆の恐怖に襲われながら、刻々変わる避難範囲に翻弄されっ放しである!
‘原発’が脆弱で、危険なものであることが露呈された数日間である。
いったい、誰がそんなものを必要としたのか?
妙なことだが、世界の趨勢が‘原発’不要・廃棄へ向かう中、日本は何故か‘原発’へ邁進し、今もそれを持続しているのだ。
ひとつには経済界の要請があろう。‘原発’は儲かるからである。
しかも、このところ、地球温暖化に‘原発’は優しいと言うお墨付きが付いた。
もうひとつは僕の推測(邪推)だが、アメリカの要請がある。
アメリカは多分、日本を主権を持つ独立国家として認めてないのではないか。端的な例が沖縄であり、自衛隊派兵である。
アメリカが何故日本に‘原発’を維持させようとするかと言えば、‘原発’は核物質を再生産し、それは軍事に転用できるからである。
使用済み核燃料棒内には多数の元素が混在しているのだが、その中から未反応のウラン、及び生成されたプルトニウムを取り出すことを再処理と言い、そのどちらも再び核燃料として使用される。
そのうち、プルトニウムは容易に核兵器に転用できるのだ。
そのため、プルトニウムだけを所有することは核拡散防止条約で禁止されている。
だが、北朝鮮、パキスタン、イラン、などにはその疑惑が持たれている。
勿論、というか日本にはその再処理のための工場がある。
茨城県東海村の旧動燃東海事業所と青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場である。
前者は、実験的で規模が小さく、年間200トンU(ウラン)程度の処理能力でしかなく、後者は、年間800トンUのしょりを見込んでいるが、様々な事故や不具合により計画は遅延しており、今のところ来年、平成24年の始動を目指している。
現在、軍事目的ではない再処理工場を持つ国は、フランス、イギリス、アメリカ、中国、パキスタン、ロシア、インド、アルゼンチン、日本であるが、日本以外は全て核保有国であり、核兵器保有国以外で再処理工場を持つのは我が国だけなのである。
何故日本だけ?
それはアメリカに安保条約を楯に応分の負担として負わされたのではないか、というのが僕の憶測である。
いや、ひょっとすると、こちらから何かの見返りに申し出たのかも判らない。更に勘繰るなら、日本も唯一の被爆国でありながら、核を持とうとしているの
かもしれない。
そんな鬼っ子みたいな‘原発’であるが、日本のこの電力事情で‘原発’が必要か、或いは有効かはここではさておく。それを論じる為には膨大な資料を点検、把握しなければならないからだ。
ただ、‘原発’に疑問や不信を持つのは、今回の事故が無くても日本中の大方の人がそうであろうと確信する。何せ、核である。例え、‘原発’推進派であっても、100%の自信や安全は持ち得まいと思うのだ。
‘原発’事故は不気味である。その異常さは、事態が見通せないことだ。この後どうなるか、東電も、保安委も把握できていない。とりあえず、遅ればせに事故報告をするしかない。
普通の事故なら、何回かの爆発を経て、時間と共に事態は終息へ向かうものなのだが、その気配が見えない。また新しい展開を見せる。それを人間は手をこまねいて、向こうの出方を待つしかないのだ。いや、海水ぐらいは何とかしようとするが。
その有様は僕にはSF怪獣映画のように見える!
♪(ゴジラのテーマのような音楽)
皆さん、日本の皆さん。いや、世界中の皆さん!今、日本の東北地方にもう一匹の別の新たなる怪獣が姿を現しました!
凄い形相で、建物を壊し、火を吹き、放射能をまき散らしています!
住民は避難を開始しております!その中には老人がいます。子どもがいます。車椅子の者。誰かの背に負われている者。病人も怪我人もいます。皆、一様に顔をこわばらせ、着の身着のままで懸命に逃げています!
おっと、怪獣はと見れば、どうした事でしょう、先ほどとは顔が違ってきました。醜い顔が更に醜くなっております!
更に、その大きさも変化しています。明らかに大きくなっております。
被害は甚大であります!
どうやら、怪獣は自ら破壊した物のエネルギーを体内に取り込み肥大化しているようであります!その勢いの増大と共に怪獣は巨大な悪魔へと変身して行きます!
より危険で、巨大な暴力と化した怪獣を誰が退治できるのでしょうか!
我々は、怪獣の暴虐をただ見守るしかないのでしょうか!
日本は、我が国は大丈夫なのでしょうか!
おっとぉ!今度は怪獣がお尻の方から何かを出しました!勢いよく何かを噴出しました! これは、なんと、これはウンコです!巨大なまっ黒なウンコです!強烈な臭いがここまで届いてます。これは、安全なのでしょうか!このウンコは大丈夫なのでしょうか!
逃げまどう住民を更なる危機が襲います!
それにしても、21世紀の混沌日本に突如現れた恐怖と破壊の怪獣、その名もフクシマドン!
彼奴は地獄の使者なのか、それとも、人間自らが産み落とした悪魔の申し子なのでありましょうか!
おっとぉ!只今、怪獣が今までにない声を発しました。地獄からの声のような低い唸り声です!聞き様によっては断末魔にも、慟哭のようにも聞こえる、この世のものとは思えない咆哮です!
何を欲しているのか!何をしようとしているのか!究極、で最悪の原発怪獣、フクシマドン!
それでは、カメラをスタジオにお返しします!
フクシマドン。しかもそれは人間が作ったのだからなおさら始末が悪い!いや、言って行くところが無い。
僕は思っている。
元々‘原発’は、つまり‘核’は人間の手に負えないものなのだと。
一旦有事あれば、人間の手でその暴虐を止めることは出来ない。遠くから見守るしかないのだ。
しかも、その期間たるや、生みだされるプルトニウムの同位体の半減期を見ても14年、87年、6500年、2万4千年、37万年、8000万年という呆れる長さだ。
人類が消えても、それは残るのだ。
つまり、人間の扱える範囲にないのだ。
だから、‘原発’事故はシュミレーション出来ない。
事故は想定するが、現実にどんなことになるか、起きてみなければわからないのが‘原発’事故だ。
それは、後手後手に回っている、今回の対処を見てもお分かりだろう。
無責任もこれに勝るものはない。
それを安全ですと言い切って、札束で顔を叩いて、収入源の無い海沿いの過疎地に建てる。
これぞ、無慮、無茶、無謀、無策、無恥、無道、無能、無法、無礼、と言って当たらぬは無い!
だが、こう言う以上、我々は、もう少し、我慢のある、自重した生活を覚悟せねばならない。
それは電気ばかりではなく、あらゆることが2割引きになる事に甘んじなければならない。
――何かと語り合う。
――出来るだけ歩く。
――今日の仕事を明日にする。
――新製品は次々要らない。
――夏の暑さを楽しむ。
――寒い時は服。
――飲むより食べる。
――ペットには残りもの。
――デートは耐え忍ぶ。
――風俗より自己処理。
――出来るだけ家族と。
――他人より自分を応援。
――体もモノを休ませる。
――深くものを思う。
・・・・・・・・・・・!
それにしても、原発を推進して来たのは自民党政権だ。今や、何の期待も無い民主党だが、歴史上、これほどの尻拭いはなかったろう。あの昭和16年、近衛内閣の後を受けた東条英機にしたって、せめて対米決戦と言う自主路線を敢行出来たのだから。菅内閣、貧乏くじにも程があろうというものだ。
だが、卑しくも政権党である、お手並み拝見するしかない。
−・−・−・−・−・−・−・−−・−・−・−
ところで、腎臓結石はどうやら腎臓から尿管を経て、膀胱に達したようで、あとひと踏ん張り。体調は殆ど元通りであります。
メールを頂いた方。お会いした時に安否を気遣って頂いた方、お心遣いありがとうございました。御心配かけました。もう筋トレも再開しました。僕はもう大丈夫です。
そして、来る5月7日
、『コント衛門・3』であります!
先ず報告致したいのは、役者陣が決定した事であります。
★帽子屋お松
☆街裏ぴんく
★松本時代
☆プリンストン
★也田貴彦
☆WHYNOT 以上8人!
会場は前回に引き続き、弁天町「世界館」!
只今、台本が7本ほど決定しており、来週中には稽古が始まります!
しかも今回は2回公演を目論んでます!
そう!その分、お客様に来て頂かなくてはならないのです!
5月7日!ゴールデンウィークの疲れをコントでぶっ飛ばすと言う逆療法は如何でしょうか!
お待ちしております!

11