今月16日、野田首相がトンデモナイ、アホな、考えられへん、冗談だろ、ウソ、まさかな事を言った。
「・・・・原子炉が冷温状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至ったとの判断をされるとの確認を行いました・・・・」
そう、収束宣言です!
終息=終わったとは言ってないが、収束=収まったと言ったのだ。
ええええええええ!何処が!
――あの事故で国民が覚えたその名前の建屋は今でも水素爆発の痕跡を残し、無残な姿を晒している!
――放射能は今日も拡散し続けている!
――汚染水は大量に溜まり過ぎて、海へ流しますと発表して非難ゴウゴウ!目途が立っていない!
――避難を余儀なくされた数万人は我が町、我が村、我が家に戻っていないし、補償問題も片付いていない!
――除染は金と時間が掛かることが分かっただけで順調に進んでいる訳ではない!
これで、収束?バカも休み休み言え!っつうか、馬鹿だ!
更に、その語尾だ。「〜収束に至ったとの判断をされるとの確認を行いました・・・・」
ようわからん!もっとアホにも判るように言うてくれ!判断をされる?敬語?違う?ほな判断したのは誰?確認?行いました?つうことはあんたが、野田はんが確認したんや。そやったら確認しましたでええがな。で、やっぱり判断したのは誰やねん?賢こないわ、この人。え、この人誰って。ああ、野田はんです。
解せないのは、何でそれを今言う?一国の総理大臣として、およそ、国民の誰が聞いても納得しないことを、今、何故言う?何で言った?国民の気持ちを逆撫でて何の得がある。国を治める者として、およそ人心掌握が出来ていない。これが我が国の為政者のトップかと思うと不安と心配が嵩じて情ないばかりだ。
何?ひょっとすると、もうどうでも良くなったの?民主党の政権も、政治家生命も、首相の座も?そして日本のことも!ヤケクソなの?まさかだよね。ではそうでないんなら、あなたの立場を考えたら絶対得にはならないことを何で宣言しちゃったのか?魔がさした?血迷った?狂った?キレた?トンだ?それとも、首相ジョーク?だったら、何て突っ込んだらいいの?
だが、あんな事故を起こしといて――何故そんな言い方をするかと言えば、あの原発災害は国の政策の破綻であり、東電が無謀と無知と技術不足で起こした人災だから――それでもまだ原発を続けようというアホな党の党首だから仕方ないけど、地震、津波、原発、そして菅、野田!日本国民は世界でも稀に見る不幸に襲われている!
同じ日、アホな上司に続けとばかりに、細野豪志原発担当相も意味不明の暴論を吐いている。
「何とか、年内の冷温状態の達成、そして自己の収束を達成することが出来たことは、私は極めて厳しい情況の中で日本が瀬戸際で踏みとどまったという意味で、今日は大きな日ではないかと感じております」
「瀬戸際で踏みとどまった」?
あの福島第一原発のあの破壊された風景を見て、瀬戸際で踏みとどまった?ということは、あの福島の海岸に広がる惨憺たる風景は安全圏内の状態だということ?囂々と広がる避難地域。人々のいない町や村。安全が保たれている状況だというの?え、豪志くんの瀬戸際、ゆるっ!ひろっ!うすっ!
あれ、絶対やられてるよ。今の1号機から4号機までの姿見たら、絶対踏みとどまってないよ。だって、今あの中に東電の社員も、研究員も誰も人いなんだよ。何故いないかって言うと危険だからなんだけど。それでも踏みとどまったんだ。でも、誰もいないんだから、踏みとどまれてないよ。判ってるかな、豪志くん。原発担当外して貰ったら。君、危ないよ。大丈夫?汚染されてない?いや、放射能じゃなくてセイジカニウムとか、ミンシュトウム的なものに。ベクレル、計った?器械持ってる?売ってるよ。
しかも、その前日、現場では復旧作業に当たっていた作業員52人が嘔吐や、発熱、下痢を訴え、一部の患者からはノロウィルスが検出された。その影響で、高濃度汚染水を処理する時に出る廃棄物を貯蔵するタンクの建設が中断した。
これでも、収束してる?事故は起き続けているよ。
しかし、非情にも、無情にも、時は進んであれから8ヶ月、テレビに限らず、新聞や雑誌は‘地震’と‘原発’に付いて特番や特集を組んで現状と未来を描こうとしている。
そして、これはテレビだけなのか、このところ、そう8ヶ月が経って、あの時原発にいた人たち、或いは東電側の人間である人たちが少しづつ、だが贖罪意識を持ちつつ、自らの責任を問う形で語り始めているようだ。
だが、贖罪ということは、罪の意識があるのである。勿論、あれだけのことを起こしておいて罪の意識が無いのもこまるが、人間、己の罪を100%認めることは難しいことらしい。増して企業の人間だ、「100%、私どもが悪い」と言った瞬間から、そこまで積み上げて来た苦労も努力も全て間違いになり、補償や支援は向こうが要求するままに従わなければならない。それは殆ど企業の崩壊を意味する。人によっては自分の人生をゼロにすることでもある。だから、ギリギリのところで「悪うございました」とは言わない。口ごもる。奥歯にものが挟まっている。だから、聞く側にするといつまでも自己弁護としか思えない。結局、彼らは東京電力に残っているか、庇護を受けている限り本当のことは言えないのだ。そこに決別する、そこを脱する意外に真実は語れないのだ。悲劇か、喜劇か?
例えば、NHKスペシャル シリーズ原発危機「メルトダウン〜福島第一原発 あのとき何が」に出た福島第一原発ユニット所長・福良昌敏氏――彼は3月11日、正に福島第一原発内にいた――は始めて取材に応じ、
「(イソコンは電源を失った後も)、動いているという認識でした。逆に止まったということになれば、恐らく止まったという情報が上がってくるんだろうというのは何となく頭にありましたしね」
※(イソコン)とは非常用復水器と言われるもので、電源がなくても原子炉を冷却出来る装置。水で満たされたタンクを通る管に原子炉からの熱い蒸気を通し、水にして再び原子炉へ戻す。これにより原子炉を冷却し続けることが出来る。
その一言一言を検討してみる。
◆「動いているという認識でした」⇒認識では困る。目で見て確かめて貰わなければ。全電源喪失が起き、最後の頼みの綱なのだから。しかし彼らは(イソコン)はそう言うものだと思い(認識し)中央制御室を出ることはなかった。出ろ!見ろ!確かめろ!原発を稼働させているということがどういうことか判っていない!
◆「恐らく止まったという情報が上がって来るんだろう」⇒恐らくでは困る。必ずそういう情報が上がってくる(届く)ことになっているなら上がって来るし、上がってこないなら、現実には上がって来ていないのだから、何らかの確認行動をすべきだ。結局、絶対上がって来るようにはなっていないのに、上がって来るだろうと思って待っていたのだ。何を根拠にそうしたのか意味不明だ。まるで真実=原発が壊れている事を知るのが恐いかのようだ。判断が間違っている。いや、判断が出来てない。ユニット所長としての能力を疑う。ユニット所長って?
◆「何となく頭に〜」⇒もう言うことが無くなった。同じことを言う。何となくで原発を動かし管理されたんでは困る。
更にこう語るユニット所長だ。
「(手動でバッテリーをつなぎ、計器の)表示が復活した以上、それを元に色々考えるということでしょうね。(計器に)見え始めた水位も燃料の頭よりも上にあったんですね、若干ですけど。そこらへんの判断からして、損傷に至っているかどうかというのは・・・そうですね、あんま・・・難しいんじゃないでしょうか・・・」
◆「表示が復活した以上、それを元に〜」⇒全電源喪失後に一部の機器に小型のバッテリーをつないだらそこだけ表示が復活した(計器が動き出した)のだが、その数値をそのまま信じたのだ。実際には水位は燃料棒より下でメルトダウンが始まろうとしていたのだ。何故その状態で計器を信じるか。制御室内は真っ暗で、バッテリーをつないだ機器以外は動いていないのに、しかも一回動かなくなった計器を、復活したからと行って何故すぐにその表示を頼るか。人間が作った機械は絶対壊れます。壊れないものなんてない。その認識がない。
◆「損傷に至っているかどうかというのは」⇒疑え!100%疑え!目で見て確かめろ!そこを一歩出れば建物内は壊滅状態なのだ。というか、2時46分の揺れで制御室の天井板は殆ど剥がれ落ちているのだ。原発自体が損傷していいないかどうか、無事かどうか疑え!それが仕事だろ!いやはや事態が判っていない。ここは原発だということが判っていないとしか言いようがない。って言うか、多分、原発を判っていない。
◆「難しいんじゃないでしょうか」⇒これはどういう立場からの発言なのか?どう考えても自分達(東電)に責任があると思っていない。いや、彼は思っていても、そう言わせない、言えない企業人の立場があるのだろう。しかし、そこを超えて原発が壊れたことへの責任を述べてくれなくては意味がない。いや、覚悟がないというべきだろう。ユニットであれ、何であれ、あなたは長なんだから。頼みますよ。
そして、最後にこう語っている。
「――だから発電所を運営してる人間は、こういう重大な結果を招いてますんでね、やっぱり、悔しいとか何とか言う以前に、その申し訳ないということだと思うんですよ。私自身も・・・・まだはっきりと収束したということにもなっていませんのでね――」
※このインタビューは収束宣言が出る前の12月11日に撮られている。
福良氏ひとりをあげつらう訳ではないが、「重大な結果」などという、責任を感じているようで実は具体的に言うのを恐れている言い方で済まされるのか!東電が、自分の会社が何をしたかを謙虚に受け止めるなら、真摯に「多くの死者を出し、大きな被害を与えた」と言うべきだ。
結局、彼らは何処までも保身だ。責任感が無いか、責任の意味が分かっていない。そこには原発という手に負えないものを動かしているという認識はない。あったら東電社員ではあり得ないのだが・・・・・
そこへ、27日、それを裏付けるようなニュースが入って来た。
『政府の中央防災会議は、東日本大震災を受けて防災基本計画を大幅に見直した。これまでの防災基本計画では、津波については、「震災対策編」の中で2ページ分だけの記載しかなかったが、東日本大震災で津波対策が不十分だったことが明らかになり、今回の見直しでは「津波災害対策編」として60ページを超える独立した項目となった。防災基本計画は、全国の自治体が定める地域防災計画の基本となるもので、今回の見直しを受けて、各自治体の防災計画の見直しも加速することになる』
2ページから60ページ!!!
その2ページには何が書いてあったのか是非知りたい!
津波の威力をどのくらいに想定していたのか。どれくらいの対策で津波の被害からのがれられると考えていたのか。ま、そこを超えたから「想定外」という言葉があんなにも喧伝されたのだけど、想定外って言って責任や罪をのがれられるなら、防災会議とか、防災基本計画なんて要らない。だって結局何処まで行っても、だからそれを超えるものが来たんですと言われれば終わりになってしまう。「想定外」はずるい。その言葉を使う奴は、想定した時に最悪の事態を想定する力が無かったことを素直に認めるべきだ。そして、それは人為的過失であることも。
当然だがこの計画の中に原発の津波対策も入るわけで、つまり、東電も、或いは福島県も2ページ分の警戒、防災対策で済まして来たのだ。それを今更、ぬけぬけと60ページに増やしてくる。何故その分の想定が出来なかったか。2ページのそれを作った者たちは恥入らなければならない。時代が時代なら切腹ものだ。
しかも、東北大学・箕浦幸治教授、東京大学・島崎邦彦教授(元地震研教授)、東京大学・阿部勝征名誉教授、地震研究センター長・岡村幸信氏らのように、今回のような大地震、そしてそれから起きる大津波を調査研究から予測し国に対し警告していた人たちがいるのにだ。その報告を受けた国は、彼らの警告に応える対策を完備するには経費が掛かり過ぎると御用学者を使ってその提案をねじ伏せ、2ページに歪曲、縮小そして無力化してしまったのだ。まだ自民党政権であったが、国の責任は変わらず大きい。しかしここに原発を建てれば儲かると想定し、国に働き掛け、まんまと土地を買い占め、実は火力などと比べても決して安くない電力で商売を始めた東電に責任があることは疑いようが無い。
福島は収束などしていない!
この責任は誰が取るのだ!いや、誰か取る気があるのか!
最後に、ある本にあったこんな言葉を紹介したい。
その本は、雑誌『世界』が今回の震災に応じて出した別冊で、
『東日本大震災・原発災害特集「破局の後を生きる」』という号である。
そこにはテレビなど調整されたモノでない情報と感情が溢れていた。専門家や関係者やジャーナリストなどのモノを言ってやろうというような目線の無い「被災の手記」が主題の本であった。
その69ページ。「ここにいる意味」と題された、宮城県伊具郡丸森町に住む54歳の北村みどりさんの手記だ。
「ウランは、土の中、奥深くで眠っていました。ずっと、そうするはずでした・それなのに人間が掘り出し、力を加え、分裂させ、利用し、地上の生命の世界に出してしまい、手におえなくなりました。「セシウムがね、土の奥深くに還って行きたいって言ってるのが聞こえたの」、少し前に私よりずっと若いお友達がそんなことを言っていました」
ウランへのこんな目線を僕は持ったことが無い!
やはり、人類が地球にいることが既に人災なのだ。だから、せめて被害を少しでも少なくしようとしなければならない義務を人間は持つ。そして、原発はその限度を超えているのだ。

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