3月の末、仕事で沖縄へ行った。これまでは家から関西空港まで自分の車で行っていたのだが、今回はタクシーにした。因みに昼の12時にMKタクシーを呼んだ。
空港までは40分ほどだろうか。南森町から高速に入り、湾岸線を南へまっしぐらである。大阪市を出ると堺、高石、泉大津、岸和田、貝塚と走って、泉佐野沖の関西空港に着く。
車窓の右はずっと大阪湾と湾岸工業地帯だ。左はほぼ住宅街が続く。
いつもは僕自身が運転しているので車窓からの景色をじっくり眺めることは出来ないが、今日は後ろの座席でゆったりだ。しかも来てくれた車両がバンだった為に車高が僕のセダンより高い。より景色を具にすることが出来た。
すると右の風景は港の岸壁や防波堤のところの水際までが望める。穏やかな波が入り組んだ港の隅々に行き亘っている。ふと最近こんな景色を見た気がした。何で?時間を置かず分かった。テレビで見た東北の被災後の港々だ。
だが違いはあった。テレビの中の港はもう少し海が低い。つまり船着き場や突堤や桟橋と海面との差がそれらの、被災した場所の方が大きいのだ。中には地震以降地盤が陥没した地域があるというのにである。大阪湾沿いの各港や、工場地帯のそれは地震と津波に襲われたあの地域より海面が近いのだ。
ということは、今僕がタクシーに揺られ走っているこの地域にあの時と同じ規模の津波が来たら!港も船も工場も倉庫もひとたまりもないではないか!
フンデルドヴァッサーのゴミ処理場も、日立造船も、浜寺公園も、三井化学も、岸和田鉄工団地もあっという間に津波の藻屑だ。
ではと目を左に移して見ると、遠くに見える生駒山地の麓まで結構平坦な土地が続き、その上には個人住宅やマンションや商業ビルが犇めいている!商店街もあるだろう。病院、学校、役所、そういえば拘置所もある、だんじりの倉庫もある。東北地方は場所によっては30メートルを超す津波に襲われているというではないか!だったら今僕が眼下にしているこの地帯の殆どが津波の餌食と言うことか!
その場所に営々とそして安穏と住み続ける人間。
危うい。脆い。刹那い。儚い。
次は大南海地震だそうだ!政府予測ではマグニチュード8・4で、10年以内の確立20%。20年以内60%。30年以内90%!
もっと規模の大きい東南海大震災というのもあるそうだ。
それなのにファッキン民主党政府は「今回の東日本大震災にも耐えられる防御設備、対策ができた原発はOKとする」という方針を出した。彼らこそが危く、脆く、刹那く、儚いアホである。
僕はダメ管直人政府であったけれども、早々に浜岡原発を止めさせ、エネルギー政策を脱原発方向に換えたことは実に拍手を持って迎えたのだ。それが、ファッキン野田佳彦内閣は地元の声を無視して大飯原発にGOを与え、この国に原発を蘇らせようとしている。東日本大震災の福島原発事故を教訓に原発からの撤退を決めて国もあるというのに。ファッキン野田佳彦は勉強とか学習とかできない人間なんだろうか。
考えても見よう。「絶対」が本当に「絶対」だとしたら、「あんな事故はもう絶対起きない」と「絶対起きる」では正解は「起きる」である。それをもう起きないようにしてやるんだと言っている。地球を舐めているし、世界の将来、子供たちの未来を考えている人間ではない。つまり政治家失格である。
と、そんな残念感と無力感とは別腹の『お笑い!R−1ぐらんぷり2012』続きです!
≪Cブロック≫
■千鳥・大悟■〜西の漫才あんちゃん〜
・「嫌いなのに可愛い言葉ベスト10」と書かれたフリップが出ている。
・大悟が登場。しかしそのベスト10ネタはしない。「お前らの中の誰かが俺の7万円を盗った!折角、嫌いなのに可愛い言葉ベスト10を発表して、ありがとうございます言うて帰ろうと思とったのに、泥棒にありがとう言うとこやった!」と憤慨し、客に向かって怒鳴る。「人の金で飯食って美味いんか!」とその根性を罵倒する。
・と、彼の携帯に着信らしい。ポケットから携帯を出し出る。「おぅ、おぅ!?あっ
た?」。怒りの表情が消える。客席に向かって、申し訳のなさの溢れた顔で、「ありましたぁ」。笑い!
・「人を疑うと言う一番やっちゃいけんことをしました。お時間もないのでネタの方へ行きたいと思います」
・フリップを1枚めくる。「10位です。うんち・・・」
・そこへ再び電話。出る。「おぅ、おぅ。何、6枚しかないんかい」。状況が変わった。手のひらを返したように再び客席に罵声!だが、ちゃんと数えさせると、「1、2、3、4、5、6・・・7・・・ありましたぁ」
・そうこうするうちに、「時間が無うなりました。1位だけでも発表したいと思います」とフリップを更に一枚めくる。「キャンタマです。どうもせいませんでした」、で終了。
・「フリップ芸」と見せかけて「ひとりコント」と言えば良いのだろうか。そう言うにはやや疑問が残る。「ひとりコント」ではあるが思いっきり客を触りに行っている点である。タブーと言われる客触り・・・何故そうしたか、大悟。
・そうした方が笑いが取れると言う計算か。それはそれで成功したかにみえるが、ネタの出来としては1枚も2枚も下になったのでは。
・今回のネタを全うするなら、「フリップ芸」も完成させるか、それとも、「フリップ芸」無しで、「7万円を盗られたと思って怒ったが、それが間違いでバツの悪い男」を徹底して演じることだ。つまり純然たる「ひとりコント」だ。
・「バツの悪い男」はヤクザでも、都知事でも、医者でも、僧侶でも、インド人でも、女将の白平でも、太眉白面でもいいのだ・・・大悟の計算が読めない。
■ヤナギブソン■〜3人目の技巧派芸人〜
・サラーリーマンである。残業でも終わったのか、「帰って、飯食って、風呂入って、屁こいて、寝よ」と安易に吐いた一言。ところがその「帰って、飯食って、風呂入って、屁こいて、寝る」の順番と、「屁をこく」を何処でするのかという問題が生じる。
・色々と順番を考えるが覚えられないので「メモに書く」ことにする。しかし!今時のパソコンどっぷりの彼は、ここから再び怒涛のような仕事的螺旋状態に取り込まれていくのである。
・先ず手書きではなく「ワードでファイルを作ることに」⇒「更にUSBに落として家のパソコンで練り直そうとする」⇒「そこに煙草を吸いたいがどうするかという問題が発生」⇒「Yahoo知恵袋で聞くことに」⇒「幅広い層にも聞きたいので、動画に撮ることに」⇒「しかも英語で入れて、YouTubeで世界中に発信することに」⇒「Hello.I have a qestion.I will gas and gohome and gas and bath and gas and eat and gas and sleep and gas.But I have no idea to smoke place.」⇒「ついでに嫁の意見も聞くことに」⇒「嫁に電話、パソコンでYoutubeを見させる」⇒「検索ワードはミルフィーユ・スペース・屁」⇒「すると既にもう閲覧者が2人!」⇒「コメントはMe too」⇒「後はYahoo知恵袋の返事を待つだけ」⇒「その返事:ドトールコーヒーではミルフィーユも食べれますし煙草も吸えますよ」・・・「何を言うとんねん」とひとこと。
・結局、彼はパソコンに使われているのか使っているのか?勝っているのか負けているのか?パソコンなのか彼なのか?
・そんな事が言いたいのではなく現状肯定の上で、だがパソコンどっぷりは面白いでしょうというなら、もっと狂気が欲しい。もっと人間描写が欲しい!
■ヒューマン中村■〜未知なるフリップショー〜
・「英語ってかっこいい」、「日本語は美しい」。だったら日本語の中に英語を滑り込ませたら、「カッコ美しい言葉ができるんじゃないか」
・そこからは『ことwar the 辞典』6ネタと『名言・名台詞shoot』17ネタのオンパレードである。それらはどれも(MCも言ってたように)上手い!十分な出来です。だが!
・前にも書いたが、「フリップ芸」はネタ帳をそのままやっているようなところがある。そうではなくそれらを混合、化合、合成、撹拌、分離、抽出、捨象、そして再び合成、有機物を作る!きっとその方が面白いはず!但し、力が要ります。そしてそれはピン芸にとってもきっと進歩です。後は状況と自己への意欲です!ピン芸への客観性といってもいい。
■スギちゃん■〜勝手にワイルド宣言〜
・最早、多くの人がご存知のワイルド・スギちゃんネタだ。「ある種のワイルド性のあるある、もしくはないない」ネタと言っていい。ま、大喜利だ。
・だが、これまでに見たどの舞台より切れや間が悪かった。緊張か。
・大喜利であるからストーリーはない。同じことを書くが、その方が客を引き付けられるし、その分笑いも大きくなる。
・しかも、と言うことはネタが持つということであり、恐らく彼自身が自分の将来、それもこの先1年ぐらいの近い将来さえも不安に思っているであろうが、それが、もう少し先まで見通せることにも繋がるはずだと思うのである。
・これは僕の管見であるが、ピン芸人に限った上で、所謂一発屋と呼ばれる人たち、お名前を出させて頂くが、波田陽区、ヒロシ、つぶやきシロー、いつもここから、ダンディ坂野、テツ&ともなどなど、彼らがそうでしかなかった(勿論、まだ最終的な答が出たわけではない)理由の一端に、彼らのネタが羅列であった、つまり思いついたネタを順番にやっていただけだということがあるのではと推測するのだ。
・ではストーリーのあるネタをやっていた芸人は誰かと考えると、全員が30年前は日テレの「お笑いスター誕生」に出ていたが、イッセー尾形、そして、でんでん、九十九一、小柳トム。どの人も一発屋になることなく、差こそあれ今日に命脈を繋いでいる。
・実は、このところそうしたストーリー性のあるネタをやるピン芸人は少なくなってきているようだ。思いつくところで、陣内智則、劇団ひとり、柳原可奈子、友近・・・少ない。しかし、お気付きであろう、この顔ぶれのネタの確たることを。そして笑いの世界においても個性と場所をしっかり得ていることを。そう言えば、あの今田耕二も、二〇歳前後、心斎橋二丁目劇場でひとつのストーリー展開のあるネタをやっていた。
・フリップネタ、羅列ネタ、あるあるネタ、大喜利ネタ。再々々度言うが、ネタ帳をそのままやっているようなネタだ。どうしてこのところそんな芸人が多くなったのだろう。僕は思う、楽なのだと。つまり安易なのだ。芸とはとか、一生お笑いとはどういうことか、というようなことを考えないのだろう。その先を見通さないで思いついたことを、まるで友達の前で発表するように舞台でやる。そんなことではないのか。否定的過ぎるかもしれないが、お笑い好きなもので・・・・
・だが、ピン芸に物語性を持ちこめばこの先も100%間違いないという訳ではない。そうでなくても個性や立場を確保して活躍している人はいる。小島よしお、ふかわりょう、バカリズム・・・微妙か。
・畢竟、誰がピン芸の可能性を信じて、それを追究するかだ!お笑い好きだから、期待しよう!
・さて、「スギちゃん」だ。彼も語尾に「〜ぜぇ」と付けて、客席に投げ掛けるというか、反応を見る。大悟じゃないが客に投げかけると楽なんだろうな。だけど寄席というところが‘客いじり’を何故卑怯な手だと、NGとしてきたかは、芸をダメにするからだと言うことを考えれば、その方法や演出は様々にあろうけど‘客いじり’をやるべきかどうか、答は何十年も前に出ているということではないのか。
そして「C・ブロック」の審査結果は!
【千鳥・大悟】 =0票
【ヤナギブソン】 =0票
【ヒューマン中村】=8票
(三枝2、関根、天野、木村2、板尾、高田)
【スギちゃん】 =13票
(三枝、関根2、天野2、木村、石井3、板尾2、高田2)
で、決勝は!
・COWCOW多田!
・徳井義実!
・スギちゃん!
という顔ぶれ!
決勝戦は次回、もしくは次々回!
お知らせ!
第5回『コント衛門』!
2012・6・19(火)
ミナミ・「ザザ ハウス」
19時開演 前売り1500円!
御来場をお待ちしております!

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