僕はNHKをよく見るほうだ。
政治、歴史、犯罪、スポーツ、芸能、何によらずノンフィクションものを見ることが多いからだが、実際民放には所謂ドキュメント番組が少ない。そして、流石というべきか、NHKには時間と金の掛かった良いドキュメント番組が少なくないからでもある。
NHKのドキュメント番組には同じテーマを数回に分けて特集するシリーズものがある。
それだけ時間を掛けて録られた番組ということである。
例えば、
『日本海軍400時間の証言』(全3回・2009年)
『あの日 昭和20年の記憶』(全5回・2010年)
『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』(全4回・2011年)
『日本人は何を考えて来たのか』(全12回・2012〜13年) 他にも、ここ数年に亘って元兵士へのインタビューを敢行している『証言記録』シリーズというものもある。
そして今、新しいシリーズが放映されている。
戦後史証言PROJECT
『日本人は何をめざしてきたのか』
今のところ4回分が放送された。
【第1回】(7月6日・土)90分
「沖縄」“焦土の島”から“基地の島”へ
【第2回】(7月13日・土)90分
「水俣」戦後復興から公害へ
【第3回】(7月20日・土)60分
「釧路湿原・鶴居村」開拓の村から国立公園へ
【第4回】(7月27日・土)90分
「猪飼野」在日コリアンの軌跡
戦後は既に68年。それを90分や60分で何が言えるモノではないが、今回はその中身より、僕は敢えてNHKが「戦後の何」に目を向けるかに興味を向けた。次に何が来るかだ。
ところが、5回目が放送されるはずの8月3日(土)にはこのシリーズはなかった。その日の同時間にオンエアされたのは、ETV特集「人を動かす絵 田中泯 画家ベーコンを踊る」である。これはこれで面白そうだが。※録画したがまだ見てません。
まさか4回で終わり!?
いやそんなはずはないと、僕は期待している。
番組はナレーションで自らをこう言っている。
「日本の戦後を地方から見つめるシリーズ」
ならば追うべきテーマはもっとあるはずだ。
そこで、僕が期待するテーマ、取り上げて欲しいテーマを書いてみる。いや、予測だ。きっとこんなテーマを取り上げるだろうという推測だ。あからさまに言うと「これはやれよ、NHK」だ。
「三里塚」〜勝ったのは誰だ?〜
「太秦村」〜娯楽の王は何処へ行った?〜
「敦賀湾」〜原発はヒーロー足りうるのか!〜
「夕張」〜無暗な展望!〜
「浅草」〜泣いて笑ってまた明日!〜
「広島」〜過ちは二度と繰り返しません?〜
これで全10回だ。
但し、中には「三里塚」の空港や「敦賀湾」の原発のように戦後しばらくして登場したものもあって、「日本の戦後を地方から見つめる」という視点からはそぐわないものもある。だが、途中からではあれ戦後に大きな影響を及ぼしたモノが建つ場所であることは間違いない。
――また、「太秦村」は大船(神奈川県鎌倉市)でも構わない。要するに「日本映画」の本質の変遷を伝えてくれればいいのだ。
――無論、「敦賀湾」は東海村でも、六ヶ所村でも、福島でも、原発がある所ならどこでもいい。それは確かに戦争を戦後へ伝達した最大の功労者である。―
――「夕張」も同じだ。筑豊でも、常磐でも、「石炭」産業の興亡を見られるなら何処でも構わない。
――「浅草」は「お笑い文化」を追えである。だが浅草は地方ではない。ご存知のように東京だ。だったら今や一地方都市に陥落した大阪「道頓堀」でも良いが・・・如何?
――「広島」は「長崎」でもかまわないが、ここはやはり「広島・長崎」というテーマ設定が適宜かもしれない。
他にも候補がないわけではない。
「宝塚」〜歌劇の青春と影〜
「宮崎」〜新婚旅行のメッカの顚末〜
「八郎潟」〜日本の農政の紆余曲折〜
※「釧路・鶴居村」と被るが。
「浦安」〜ディズニーの傲慢〜
「富士山」〜科学から自然の存在へ〜
「九段」〜靖国の光芒と陰影〜※これも東京ですが
「徳島」〜阿波踊りは不滅〜
などなど。1時間番組にするのが難しそうなところもあるが、そこはNHKの金とディレクターの才能、もしくは情熱だ。
さて、第5回以降があるのだろうか?あるとしたら、そのテーマは?
勿論、既に取材は終わり、編集段階だと思うが、是非是非、頑張って頂きたい!!!
あ、最後にひとこと、第1回の「水俣」。死ぬまで現地水俣で患者のために闘った原田正純氏のことが全く出てこなかったけど、これって都合?それとも不勉強?ひょっとして主義?
ところで、期待すると言えば今僕が鶴首しているのは!
※順番に意味はありません。
◆桐生祥秀(男子陸上100m高校生選手)
◆松本人志監督4作品目「R−100」※偉そうでスイマセン
◆魁塾18期生
◆Dal☆Shabet
(K―pop女性グループ・少女時代とかKARAに押され気味)
◆浜口・浜村
(マサキ芸能の漫才コンビ・期待し続けて10年になるなぁ〜)
◆藤崎マーケット
(よしもとの漫才師・最近のネタとトキがいい!)
◆南無荼譲(なんだゆずる・小説「LTM」の主人公)
これ以外にも毎年この時期に僕が期待するものがある。8月15日、終戦の日の前後、各局が放送する戦争関連番組だ。
そういう何かの時期に合わせて特番を放送することはメディアではよくある。
美空ひばり、黒沢明、石原裕次郎、手塚治虫を初め、テレサ・テン、尾崎豊、ジョン・レノン、マイケル・ジャクソン、フレディ・マーキュリーなど、彼らの命日には彼らの追悼番組が放送される。
昔だと、12月14日には何処かの局が必ず「忠臣蔵」をやったもんだ。
お盆シーズンのホラーものもその類といってよいだろう。
東日本大震災もしかりだ。今はまだ3年目なので、時折とは言え1年中、関連番組が作り続けられ、放送され続けている。だが、後何年もすれば3月11日だけになるかもしれない。
アメリカなどは9・11は未だに毎年だ。余程の衝撃だったということだ。
しかし、それらに圧倒的な差をつけて日本の8・15は戦争関連番組を多発する!
それに僕は期待する。
今年はどんな視点の、どんなテーマの番組が作られるのだろうと!
僕はそれらを録画する。では、今、1週間分予約できる僕のディスクレコーダーに予約されているその手の番組を列挙してみると。
8・4(日)■戦争特集:映像は世紀を超えて〜戦争の記憶〜
CS293
8・4(日)■日曜討論「防衛大綱・集団的自衛権 どうする安全保障」
NHK総合
8・4(日)■特集・戦争「天使たちの真実〜元従軍看護婦の証言〜」
CS342
8・5(月)■「満州へ花嫁を遅れ 女子択務訓練所」YTV
8・5(月)■特集・戦争「NHKスペシャル・赤紙が来た村〜」
CS342
8・5(月)■映画『原爆の子』(監督:新藤兼人)BS255
8・5(月)■「海底の戦艦大和」 CS340
8・6(火)■「平成25年 広島平和記念式典」 NHK
8・6(火)■百二十八枚の写真〜広島からみつめる昭和の足跡〜
CS342
8・6(火)■「べニチオ・デル・トロ広島へ行く」 BS255
8・6(火)■日本の戦争:勝利への執念 CS340
8・6(火)■日本の戦争:耐えがたきを耐え CS340
8・6(火)■映画『海ゆかば』 WOWOW
8・6(火)■「終わりなき被曝との闘い〜被爆者と医師の68年」
NHK
8・6(火)■映画『トラ・トラ・トラ』 WOWOW
8・7(水)■終戦特別企画・報道ドラマ「生きろ」毎日放送
8・7(水)■映画『ミッドウェイ』 WOWOW
8・7(水)■特別講義「太平洋戦争」 CS342
8・8(木)■封印された旋律〜ガス室に消えた音楽家たち〜
CS342
8・9(金)■映画「ソハの地下水道」 WOWOW
8・9(金)■「ヒバクシャからの手紙」 NHK
8・9(金)■「平成25年 長崎平和祈念式典」NHK
8・9(金)■衝撃の瞬間6「長崎〜2発目の原子爆弾」CS343
8・9(金)■ノンフィクションW「偉大なる指揮者の栄光と苦悩・ナチスとフルト―ヴェンクラー」 WOWOW
8・9(金)■BS世界のドキュメンタリー「チャーチルを裏切った男たち〜日英海軍の諜報戦」NHKBS
8・9(金)■学徒兵 許されざる帰還〜陸軍特攻隊の悲劇〜
CS342
8・10(土)■特集・戦争「郷土の戦跡をたずねて」CS342
8・10(土)■復興〜長崎原爆 市民の記録〜NHK
8・10(土)■特別講義「戦争の20世紀」#1 CS342
8・10(土)■特別講義「戦争の20世紀」#2 CS342
8・10(土)■「トム・ハンクスが語る第二次世界大戦」CS342
8・10(土)■零戦〜搭乗員たちが見つめた大平洋戦争〜後篇 NHKBS
8・10(土)■秘録・第二次世界大戦#1〜5 CS342
8・10(土)■「8・15玉音放送を死守せよ」CS342
8・10(土)■ETV特集「ガタロさんが描く町〜清掃員画家のヒロシマ」NHK
8・11(土)■ETV特集「原爆・終戦関連番組2週目」NHK
8・11(日)■「鎮魂・硫黄島」 CS342
8・11(日)■特別講義「戦争の20世紀」#3、4 CS342
8・11(日)■秘録・第二次世界大戦#6〜12 CS342
8・11(日)■「ヒバクシャと被爆者 繰り返される悲劇」関西TV
8・11(日)■「池上彰の戦争を考えるSP第4弾」テレビ大阪
8・11(日)■「自衛隊と憲法 日米の攻防」NHK
ざっとこんな感じだ。これが11日までだから、実はここからが本番。15日が近付くにつれ漸次増えていくはずだ。
だが、どうした民放!いや、どうするのだ民放諸氏!
毎日、関テレ、読売、テレビ大阪、各一本だ!朝日に至ってはゼロ!とはいえ、これは僕が録画予約しているものだけなので、それ以外に作っていないとは言わない。でも無いのだ・・・・
CSは多いが事情が違う。外国の番組や、他の民放の番組、或いはNHKの過去の番組などの再放送が多いので、戦争への関心や意欲がNHKどころではない!とは限らないのでご理解を。
ところで、これはこんな番組を数年以上に亘って結構見ている僕だけの漠とした感じだが、こんな番組は増えて来ている。特にあの年以来だ。2011年。あの3月11日。日本を大震災が襲い、地震と津波だけでなく、放射能がその災禍を更に深刻に過酷にした。あの日以来、日本には優しさや温かさや癒しといった人間的な顔や声や時を求める人が増え、それを与えよう、作ろう。届けようといった人たちも確実に増えた。
その日々の思いが知らず知らず8・15にも及び、あの悲惨な戦争への視点や声が増えたのだと僕は思っている。いいことだ。
だが、だがだ!あの原発はゆっくりといや、結構早急に再稼働、増設、はては海外輸出へと着実に悪魔の道を進んでいる。加えて、先日の選挙!改憲から戦争への道を模索しているとしか思えない自民党が勝利!
はははは!僕の日本は今優しさにあふれている判断が間違っているだけのことか!
とすれば、戦争関連番組が増えて来ているという現状は!!!!!
恐ろしいぞニッポン!
ともかく、2013年の夏に挙って期待しよう!

4