既に夏は遠いが、今年の夏、ひとつの懸念がいよいよ色濃くなった。
・・・・と、今回これを書き始めたのは、10月初旬だった。またたく間に2ヵ月余り。誰に詫びる怠惰は我にあるのみと知りつつ、続きを御覧じろ。
前回(遺憾ながら8月6日だ)、僕が見るつもりの戦争関連のテレビ番組を十数本挙げたが、その中にNHKの証言記録シリーズが今年は一本もなかったことだ。
『NHK証言記録シリーズ』
それは2007年8月12日から不定期に始まったドキュメンタリーで、「兵士たちの戦争」と「市民たちの戦争」という2つのシリーズを持つ番組だった。
「証言」という言葉の如く、嘗て戦場に行った「兵士」からの、そして戦争を体験した「市民」からの声を集めたものだった。
これまでに、シリーズとしては「兵士たちの〜」48本。「市民たちの〜」19本が製作されている。
因みに、『兵士たちの戦争』にはこんなものがある。
▼西部ニューギニア 見捨てられた戦場 〜千葉県・佐倉歩兵第221隊〜
▼北部ビルマ 密林に倒れた最強部隊 〜福岡県・陸軍第18師団〜
▼マリアナ沖海戦 破綻した必勝戦法 〜三重県・鈴鹿海軍航空隊〜
▼ビルマ 退却戦の悲闘 〜福井県・敦賀歩兵第119連隊〜
▼中国大陸打通 苦しみの行軍1500キロ 〜静岡県・歩兵第34連隊〜
▼フィリピン最後の攻防 極限の持久戦 〜岡山県・歩兵第10連隊〜
▼満蒙国境 知らされなかった終戦 〜青森県・陸軍第107師団〜
▼フィリピン 絶望の市街戦 〜マニラ海軍防衛隊〜
▼フィリピン・レイテ島 誤報が生んだ決戦 〜陸軍第1師団〜
▼ガダルカナル 繰り返された白兵突撃 〜北海道・旭川歩兵第28連隊〜
▼沖縄戦 住民を巻き込んだ悲劇の戦場 〜山形県・歩兵第32連隊〜
▼ペリリュー島 終わりなき持久戦 〜茨城県・水戸歩兵第2連隊〜
▼ニューギニア・ビアク島 幻の絶対国防圏 〜岩手県・歩兵第222連隊〜
▼インパール作戦 補給なきコヒマの苦闘 〜新潟県・高田歩兵第58連隊〜
▼ビルマ濁流に散った敵中突破作戦 〜徳島県・歩兵第143連隊〜
▼従軍看護婦が見た戦争
▼中国雲南 玉砕・来なかった援軍 〜福岡県・陸軍第56師団〜
▼フィリピン・シブヤン海 “戦艦武蔵の最期”
▼人間魚雷 悲劇の作戦 〜回天特別攻撃隊〜
▼東部ニューギニア 絶望の密林戦 〜宇都宮 歩兵第239連隊〜
▼重爆撃機 攻撃ハ特攻トス 〜陸軍飛行第62戦隊〜
▼中国戦線 大陸縦断 悲劇の反転作戦 〜福島県・若松歩兵第65連隊〜
▼戦場の少年兵たち 〜沖縄・鉄血勤皇隊〜
▼インパール作戦 補給なき戦いに散った若者たち 〜京都 陸軍第15師団〜
▼ガダルカナル島 最後の部隊 繰り返された失敗 〜名古屋・歩兵第228連隊〜
▼“ベニヤボート”の特攻兵器 〜震洋特別攻撃隊〜
▼偽装病院船 捕虜となった精鋭部隊 〜広島県・歩兵第11連隊〜
▼飢餓の島 味方同士の戦場 〜金沢 歩兵第107連隊〜
▼フィリピン・エンガノ岬沖 〜囮(おとり)とされた空母 瑞鶴〜
▼昭和二十年八月十五日 玉音放送を阻止せよ 〜陸軍・近衞師団〜
証言する人の殆どが兵卒もしくは下士官だ。将官は殆どいない。実際の戦闘では銃を持って敵と交戦した兵卒がより多く死に、後ろで指揮を執っていた上官のほうが生き残っているはずだが、負け戦の将は何かと語りたくないのだろう。無論、生存率は低いとは言え元々の数が圧倒的に兵卒の方が多いのは事実である。
その点、只管命令通りに動かされていた下の者たちは、手柄にせよ、恨みにせよ、苦しみにせよ被害者でもあるので語り易いし語りたいということが多いとは思われる。加害者は何かと語りにくいものだ。
だが、加害者こそが犯罪の何たるかを知っているのだ。これは戦争犯罪に限ったことではない。だからこそ、一般の犯罪に於いても加害者(犯罪者)から真の言葉を引き出すことで再犯防止を目論み、また被害者遺族の事実を知りたいという願いにも寄与できることになるのだ。つまり殺してしまっては折角の素材、存在が元も子もなくなってしまうのである。故に(これだけが僕の理由ではないが)死刑反対!話がそれましたが・・・
無論、戦争である、下の者にも語りたくない体験はあろう。置き去りにせざるを得なかった友のこと。占領した村や町の人、家からの強奪、或いは暴行、強姦。そして味方にせよ敵にせよ人の肉を食ったこと、などなど。だが、番組でそれを語ってくれる人たちもいる。
さて、番組は始まった時点で既に戦後62年が経っており、証言する兵士たちは殆どが80歳を超え、市民たちも70歳を超える人々であった。NHKがこのシリーズを始めた裏には「早くしないと戦争を語る人がいなくなる!」という焦慮もあったことだろう。見ている僕も、いや誰もが、その画面から、語る人々から、戦争の風化を恐れる気持ちを抱いたはずだ。
そして今年それが無くなった。
もう生き残っている兵士も市民もいなくなったというのだろうか!
いやいやまだご存命の方もおられよう。だが如何せん高齢だ。記憶も体力も十全のはずがない。これ以上はとNHKもスタッフも諦めざるを得ない戦後68年ということであろうと推察する。
けれど、戦争証言は人に限らない。今に至っても時として、戦争中の書類や写真や日記が発見さている。無論、まだ全ての日中戦争、太平洋戦争、そして第二次大戦経験、体験者が死に絶えたわけではない。NHKの執拗な意欲に期待します!!!
※念の為、「証言記録」シリーズには「東日本大震災」もあります。こちらも放送頻度は減ったものの、NHK、頑張ってます。
さて、今は秋。別の懸念が僕を襲っている。
かの
『特定秘密保護法』だ。
特定秘密保護法案とは正式には「特定秘密の保護に関する法律案」で、日本の安全保障に関する情報のうち「特に秘匿することが必要であるもの」を「特定秘密」として指定し、取扱者の適性評価や漏洩した場合の罰則などを定めることを目指す法案
2013年10月25日、第2次安倍内閣はこの法案を安全保障会議の了承を経たうえで閣議決定し、第185回国会(臨時会)に提出した!
何が「特定秘密」であるかを判断するのは各行政機関の長だそうだ。かなり恣意的だ。長が右翼的だったらと思わずにはいられない。
そして、「特定秘密」の指定対象となりうる情報は以下の4分野だ。
• 第1号 - 防衛に関する事項(自衛隊法別表第4に相当)
・第2号 - 外交に関する事項
• 第3号 - 外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止(スパイ防止)に関する事項
・第4号- テロ活動防止に関する事項
誰でもわかることだが、これらに関する情報を新聞やテレビが流した時、それが「特定秘密」にかかわるものだったら、犯罪者として処罰の対象になるということだ。勿論、週刊誌の特ダネでも、ジャーナリストの渾身のレポートでも同じ目に合う!
旧ソ連の時代の有名なジョークにこんなのがある。
ある人が酒場で「フルシチョフはバカだ!」と言ったら、国家機密漏洩罪で捕まった。
何も言えなくなる時代を安倍ファッキング晋三は到来させようとしているのだ。治安維持法だ。
更に、面白情報。行政の長が決める「特定秘密の取扱いの業務を行うことができる者」は、「適性評価により特定秘密を漏らすおそれがないと認められた職員等」に限定されるのだそうで、その評価は以下のような観点で行われることになっている。
1.テロ活動等との関係
――え、そんなレベルも問われるの?そこで引っかかる人なんか公務員になろうとした段階でカットされてるんじゃないの?
2.犯罪・懲戒の経歴
――これも上に同じ。
3.情報の取扱いについての非違歴
――「非違歴」ってなんだぁ!調べました。非違歴とは非法行為、違法行為の履歴をいい。特に国家公務員の資格に関して問われることが多いらしい。上と同じじゃん!
4.薬物の濫用・影響
――結局、公務員として大丈夫かってことなんだろうけど。何がイケナイ薬物かという判定自体が国家によってるからね。
5.精神疾患
――精神疾患なんて日本人全員そうだとも言えるしね。境界線も難しいし。誰が病んでるか分かるんなら、それを精神病の現場で役立てて欲しいもんだ!
6.飲酒についての節度
――飲酒もそうかもしれないけど、ギャンブルや女や男や、宗教や投機で一杯限度超えてる人いるよ。酒だけでいいのかな?
7.経済的な状況
――うわ、最後に言っちゃった!貧乏人は危ないってことだよ。
なんだか戦前の思想犯対策みたいだ!結局治安維持法だ!
しかし、この法案が通ったら、公務員全員が思想信条、趣味、私生活、性生活、経済状況、健康状態・・・全部調べられるってことだ。個人情報法案とどっちが勝つのかな?
勿論、反対の声は上がっている!
9月17日、民間放送連盟が「国民の知る権利と報道の自由を侵害する恐れがあり、強い懸念を表明せざるを得ない」と意見書を提出。
10月2日、新聞協会が「国民の知る権利が損なわれる恐れがある」と強い危惧を表明する意見書を提出。
10月3日に「日本弁護士連合会」が、プライバシーの侵害や、行政機関の都合で秘密としたい事(在日米軍基地問題、自衛隊海外派遣、TPP、原子力発電所の安全性や被曝)を「特別秘密」に指定し隠蔽する事など、法案には問題点があると反対。
その他、共産党、社民党、生活の党をはじめ、日本ペンクラブや憲法学者(142名)、刑事法学者(120名超)などの団体が反対を表明している。
因みに、あの藤原紀香さんもブログで恐怖を感じると反対を表明している!
安倍バカタレ晋三は、オリンピックを東京へ持ってきたいがために放射能は「アンダー コントロール」といい、汚染水はある範囲以上へは漏れていないと、ヒーロー気分でウソを連発している。一国の首相とは思えぬひとりはしゃぎぶりだ。
これを止めるのは冷静な国民しかいない。
あなたは如何か?
だが!現在、自民党、公明党、維新の会、みんなの党が修正案に合意し、26には衆議院を通過、今国会中に成立しそうなのだ!
暗黒が僕らを待っている!
国家が僕らを暗澹とさせる!
国家とは何か?個人とは何か?自由とは何か?
そんな折も折、「国民の知る権利」と「報道の自由」に負けじと、「表現の自由」を掲げて、第8回・コント衛門です!
“反笑い”の坩堝「コント衛門 VOL・8」
今回の会場は再び梅田へ戻って「amHALL(アムホール)」
時は2013年11月26日(火)⇒もう明後日なのです!
開場18時半 開演19時
入場料 前売り1500円 当日1800円
【出演】※若手が二組入ってきました!復活メンバーもいます!
ライフバーナー(清友学・くすみ)
屋上のつどい(大西ユースケ・吉見明洋)
ヒコロヒー
小森園ひろし
金光真人
プリンストン・かなえ
サンドロップ(ジェット菅原・山内克信)
ラニーノーズ(洲崎貴都・山田健人)
藤井昌志
そして作家にも新メンバーが加わりました!
田中亮治・高山拓志・上野大輔・武村圭祐・松井亮太
キタカタカツユキ・井本恵・・・かわら長介
そのコント群は!
『友達割』(上野大輔)
『効果には個人差がある』(高山拓志)
『行ける日』(キタカタカツユキ)
『次やったら許さない』(上野大輔)
『生涯で最も発す』(田中亮治)
『離婚』(武村圭佑)
『夢にときめけ』(松井亮太)
『親子愛』(高山拓志)
『罰ゲーム』(武村圭佑)
『かわら短編長介集』(かわら長介)
※( )内は作家。
是非是非、“反笑い”の坩堝をお楽しみください!

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