子どもの頃だったので、記憶がぼやけているが、米の収穫が終わったあと、田んぼの畦で育った大豆の脱穀をしたと思う。
年内に新豆が採れて、冬の間の何日かの、暖かい陽の差し込む時間に、豆よりをするのが、父の冬の仕事だった。
豆をより終えたら、節分やみそ作りがあった。
節分には、炒った豆を一升ますに入れて、父が「鬼は外、福は内」と言って、豆まきをした。
家の外も、畳の上も、豆だらけだった。
畳の上の豆を子ども達が拾い、外の豆は土に返ったか、鳥が食べた。
ある年、父は「鬼は外、福は外。福は内、鬼も内」と言って、豆を撒いた。
母が「そんなこというから、ちっともいいことない!」と、真剣に怒った。
父へのいろんな思い、葛藤もあったが、今、遠い思い出を手繰り寄せれば、家族の姿は懐かしい。

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