泉谷しげるの今年5月に渋谷で行なわれたライヴのDVDが届いた。なんと、「35年なンで35曲制覇」の4時間に及ぶライヴ。その中から18曲収められている。
イズミヤのバンドはLOSERの後、藤沼伸一率いる「舞士」が務めていたが、ベースが元黒夢の人時に代わり、キーボードに70年代から泉谷のセッションに参加している中西康晴が加わった新編成。
さらにこのメンバーで現在、久しぶりのニュー・アルバムをレコーディング中という朗報。いよいよ本格的に音楽シーン復活か!?という事で、遅ればせながらDVDにてこのニュー・バンドをドキドキしながら拝見した。
オープニングは「ハレルヤ」(Setlistを見ると第二部の一曲目なんですね。曲数は仕方ないけど、順番も編集されているのか・・・)。いきなりLOSER時代の傑作ナンバー。イズミヤの曲の中では最高にドでかいテーマの曲。凝ったつくりのPVも発売されていた。
2曲目「ゲットー」はちょっと意表をついた選曲。(Setlistを見ると・・・そんなDVD未収録のナンバーがゴロゴロ)。これもテーマがデカイ曲。
このバンド・サウンド全開の2曲でニュー・バンドの凄さを確認した。まずはリズム隊の充実感。ドラムの大島が一段とパワフルになった印象。それに新加入の人時のベース。吉田建のフィンガー・ピッキングが泉谷サウンドの要だったと思うけど、彼はピックを多用するせいかな?今までにないシャープなノリが出ているような・・・なんだかとても新鮮な感じがした。
メンバーの衣装も黒で統一していて、パーマネントなバンドとしてこれからの活躍を期待させるものがあります。ビジュアル系もイケル(笑)。
イズミヤ氏もLOSER時代のライヴ盤「ハウリングライヴ」を彷彿させるような白いシャツ、頭にお馴染みの黒いタオルで20年前に戻ったような若々しさを感じた。さすがに当時の破天荒さはないけど、声の調子は良さそう。シャウトもいける。ただ、マイクの位置からあまり離れず何やら「足元の何か」をチラ見しているのがちょっと気になる。35曲歌わなくちゃいけないので仕方ないか・・・。
3曲目のレゲエ・ナンバー「テスト・ドライバー」では、NHK-BSでCharとのギター・バトルでも飛び出した、ギブソン335掻き毟りソロを披露。このギターだけは無敵だと思う(笑)。
アコースティック・セットではアルバム「家族」の3曲が印象的。それに初期の「陽が沈むころに」。若いころのナイーヴな一面が濃く感じられる曲。
「寒い国から来た手紙」もそんな優しさを感じる名曲だ。
「黒いカバン」だけはバンド誰もついて来れねえ。
この曲を完奏するのは非常に難しい。いまや作った本人も無理のようだ。
おまけの時事ネタはなかったのかな?
「ハレルヤ」からここまで、長年聴いてわかってはいても改めて凄げー振り幅だなぁと、ため息ひとつ。あらゆる場面をくぐってきた男にしか作れない偉大なオリジナルの数々。また、ため息ひとつ。
そして「春のからっ風」。泉谷しげるを語る上で絶対外せないであろう重要曲だと思う(毎回言ってますが)。歳を重ねるごとに意味が深くなる言葉に絡む藤沼の饒舌なスライド・ギターが最高。
さらに不滅の名曲「春夏秋冬」は初期のリズムと歌いまわしに新しいバンド・アレンジを融合させた最新バージョン。こっちの方がみんな歌いやすいのかな。
さて、後半戦は怒涛のバンド・サウンドで一気に突っ走る。高速ピッキング・ギターのイントロが導火線か?ダイナマイト・ポップス時代のパンクな「電光石火と銀の靴」!最近のライヴでは定番なのかな?私が参戦した2001年の表参道(ライヴ盤「R-15」としてリリース)でも大いに盛り上がった。
「褐色のセールスマン」は「セルフ・カバーズ」ヴァージョン。裏打ちリズムにバンドのバランス感も良くてとても気持ちがいい。いろいろな意味で男には「たまらねえ」詞なのだが。
大島の男気溢れるドラミングで「火の鳥」に突入。イズミヤ最高のハード・ロック・ナンバーだと思う。そして、寝る子も起きる「眠れない夜」、荒波と地響きのようなべース・ライン「国旗はためく下に」・・・会場にいたら私は確実に倒れていたであろう。人災だ。労災だ(何書いているのかわかりません)。
それにしても4曲連続、キーがAmというのもなんだか凄いなあ。
まだまだ容赦しないぜ!とばかりに「翼なき野郎ども」(これでもし次が「デトロイト・ポーカー」だったらやるほうも見るほうも会場もヤバイね)。
ここでは前半のギター・ソロをイズミヤが担当。私は初めて見たけど、定番なのかな?ちょっとスリリングすぎましたが・・・すかさず藤沼が流暢なフレーズをかましてくれる。藤沼のギターの歪みがいつもに増してさすがにイズミヤ氏、ふらふらのようです。俺も叫びたい「あーIRAつくぜ!」。
欲を言えばアルバム「'80のバラッド」から「裸の街」もやったそうなので、入れて欲しかったな。せっかく中西氏の鍵盤が入ったのだから。
アンコール含めて会場では36曲やったそうだけど、DVDでは35曲目の「長い友との始まりに」で占め。ミディアム・テンポながらじつに力強い。復活のテーマにふさわしい。というか、これしかない。
NO! NO! NO! もう一度だけ叫んでみるぜ
やっぱり新しいイズミヤ、「来るべき世界」がやってくるんだな。
アルバムは来年リリースになるらしい。次はライヴ活動だろう。「夏フェス制覇」とかでEZOにも来てくれないかなと個人的に願ってます。

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