倉木麻衣、待望のニュー・アルバム。
早速CDを一回り聴いて、
いいアルバム作品に仕上がっているなと思った。
いまだに音楽はCDウォークマンで聴いているという、
若いのにアナログ人間だという彼女。
工場で丁寧にパッケージされているのに感銘を受けたという話もしていた。
「合法的」に音楽を聴いていない人への警告ともとれたが・・・。
そんな思いが今回のアルバムでは強く反映されているのかも知れない。
昨年は10周年の節目でフル回転の日々。
多彩な活躍ぶりに大丈夫かな〜と心配だったが、
やはり、力を振り絞ってからの新たなスタートを切るのに苦労したという。
モノクロのジャケットデザインからすでにそんな佇まいが濃厚。
すでにシングル、ベスト盤などで発表済みの曲も別アレンジになったり、
アルバムに組み込まれることによって新たな魅力がちりばめられている。
オープニングの「FUTURE KISS」。
最新シングルでも使われていたボイス・エフェクトがここでさらに効果的に。
しかしイントロのシンセの音からなんだか80年代のMTVを思い出す。
ちなみに私はユーリズミックス。そんなところも含めてかっこいい。
いったい、いつの未来なんだ?という気もしないでもない。
このテクノなナンバー、先日の「僕らの音楽」で演奏されたときは、
ツイン・ギターの轟音炸裂の大ロック大会に。
ギターは大賀好修、狩野良昭、ドラムは小田原豊。
ちょっと麻衣さんの声がバンドに埋もれ気味だったが、
とてもノリノリで、観ていて熱くなった。
このバンドでまたほかの曲も聴きたいと思った。
初めて聴くナンバーでもっとも興味深いのが、「I scream」。
40代なら思わず♪ユー・スクリームと返してしまいそうな(笑)、
甘いポップ・チューンと思いきや・・・。
彼女が写真週刊誌に狙われた実体験を元に書いた詞だという。
この曲を聴いて思い出すのが、山下達郎の異色作「HEY REPORTER!」。
あの感じ。わかる人にはわかるかも。
多重人格的な声の使い分けもうまい。
エンディングのボーカルがまた、
彼女の「まったくもう!」感が強烈に出ていて超クール。
倉木麻衣ならではのパンク表現か。シビれるな。
「Tomorrow is the last Time」。
ギターのアルペジオで始まるミディアム・テンポの曲で、
イントロの雰囲気から心を掴まれてしまう。
サビのメロディの滑らかな歌い方が心地よくてたまらない。
どこか、ビートルズ的なサムシングも感じる。
これからライヴでも重要な曲になっていきそうな予感。
すでにブロガーさん等が語っているように、
アルバム前半はビートの利いたダンス・チューン、
後半はバラード、いにしえの歌謡曲風でしっとり聴かせる曲へ移り変わっていく。
彼女の演歌好きが見え隠れするような、和風ソウルな感じも定番になっている。
この曲順の妙が優れたアルバム作品だなあと思う一番の理由か。
そして、最新シングルにも入っていた「anywhere」。
この軽快なロックンロールがラストに選ばれた。
過激さやブルーな気分を一旦吹き飛ばして、
ニュートラルに戻して新しい道を歩いていこう。
そんなメッセージを受け止めてほっとさせてくれる。
今回はボーナストラック的なCover曲がないのも正解だった。
(過去のCoverはどれも良かったけど)
このアルバムは光と影を潜り抜けた末の労作。
アーチストとして避けて通ることのできない通過点か。
これから何度も聴くであろう、
ずっしりと確かな手ごたえのある盤。
曲も粒ぞろいで、全部好きだ。
でも、つぎはもうすこしリラックスしたアルバムにしてほしいなという、
わがままなファンの心情も最後にちょっと書いておこうかな。
ツアー札幌公演のチケットもとれた。
きっと、素晴らしいステージになるだろう。
新年早々楽しみだ。

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