『純愛中毒』
パク・ヨンフン (監督)
イ・ビョンホン (主演男優)
イ・ミヨン (主演女優)
パク・ソニョン (女優)
イ・オル (男優)
2002年制作
2004年日本公開
☆☆☆☆
「純愛中毒」という邦題はどうかと思う。この映画を「韓流純愛映画の王道」と紹介することもあるようだけど、正直かなり的外れな紹介の仕方だと思う。「純愛」というよりは「狂気の愛」を描いた異色のラブストーリーだと思う。「痴人の愛」とかそっちに近い。純愛が行き過ぎれば狂気の愛になるってのもわかるから、完全に的外れな邦題だとは思わないけれど、この邦題で多くの潜在的な視聴者を失ってしまっていると思うとやや残念。

オリジナルタイトルは…、読めない(涙)。ハングルにももちろん「書き順」というものがあると思うんだけど、それを知らないと手書きハングルの読み取りには限界がある。それなのに韓国語の入門書でハングルの書き順を示している本は少ないと思う。正解は「
중독(チュンド
ク)」=「中毒」。

身寄りのない仲の良い男兄弟と兄嫁の3人の物語。兄弟2人とも交通事故で意識不明に。1年後奇跡的に意識を取り戻した弟は、自分は兄貴の方だと言い張り、夫婦しか知らないはずの2人の想い出を嫁さんに語る。
イ・ビョンホン演じる弟に注目すれば「純愛中毒」という邦題もまぁわからんでもないのだけど、兄貴の嫁さんに注目すれば、純愛だ何だというより、愛する人の魂が宿った別人を愛することができるか、という話なんだと思う。そして、そちらの方がこの映画にとって重要なテーマなのではないかと思う。結局、人が誰かを愛するというのは何を愛しているってことなのかなぁと思わず考え込まずにはいられなくなるから。

この映画での1つの決め手は「共有された想い出」なんですね。想い出を共有しているってことは、過去に存在していたはずの自分達の関係性そのものを示唆するわけですよ。誰かを愛するというのは、その人そのものを愛しているんじゃなくて、その人との関係性を愛しているということなのかな、なんて考えました。昔
そんなことを考えたことがあったのでピンときました。こういうのは、人間にとって普遍的なテーマだと思うんですよ。そういう意味で、この映画は、韓流映画だ何だという枠を越えて観る人に訴えかけるものをもっている映画だと思う。『
私の頭の中の消しゴム』も、記憶を失っていく、そのときに2人の関係性がどうかわっていってしまうのか、という部分にもっと焦点を当てれば単なる恋愛映画以上のものになったのだと思う。

イ・ビョンホンって正直顔が格好良いだけの色男俳優なんだろうと思っていたのだけど、違うみたいね。どっちかって言うと(ちょっと思いツメた)真面目な男の役の方が似合うみたい…。彼、好演していると思いますねー。イ・ミヨンも綺麗。韓流女優の中では1・2を争う美人女優だと思う。演技も上手いし。韓流映画にしては珍しく、キスシーンだけでなくベッドシーンまであった。次のシーンではもう妊娠してたんでビックリした(笑)。
ハングル字幕表示のオプションあり。これ重要。早口でまくし立てるようなシーンが少ないので、映画と一緒にセリフを読み上げたりすると韓国語の勉強に凄くなると思う。
今日の一言韓国語は…、「
정말(チョンマ
ル)」=「本当」。「Really?」みたいに「チョンマ?」と言う。関西弁の「ホンマ?」というのはこれに由来するものらしい。
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「共有されない想い出」
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「純愛中毒」オフィシャルサイト(日本語)
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「ハングルの書き順」

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