Kota's Movie Review

　『赤い靴』
　エメリック・プレスバーガー＆マイケル・パウエル　（監督）
　モイラ・シアラー　（主演女優）
　アントン・ウォルブルック　（男優）
　マリウス・ゴーリング　（男優）
　1948年制作
　1950年日本公開
　☆☆☆☆

　母の想い出の映画をDVDでレンタルしてきて一緒に観た。母が1942年生まれで、この映画の日本公開が1950年だというから、（母が）8歳のときに観た映画、ということになる。数年前まで札幌丸井デパートの向かいに大きな映画館があった。そこに祖父と2人で観に行ったのだそうだ。映画上映中か終了直後にボヤ騒ぎが起き、イノチカラガラ劇場から脱出したのだそうだ。それで、強烈な印象が残っているらしい。

　祖父の想い出話をするたびにその話は聞いていたが、そのとき観たという映画がビデオ化・DVD化されていないかと考えたことは1度もなかった。この映画がDVD化されていて、比較的簡単に手に入ることを知ったのはつい先日だ。インターネット、その上に構築されているAmazonのようなシステムってのは凄いもんだと、改めて思った。

　本作は「バレエ映画の傑作」とされているらしい。ヨーロッパのバレエ団の舞台裏を描いた映画で、劇中で上演される「赤い靴」のバレエシーンは圧巻。僕はバレエには興味がなかったが、つい引き込まれてしまった。このシーンは単にステージ上を撮影しているだけでなく、映像的にも随分凝った作りになっていた。主演のモイラ・シアラーは女優ではなく、当時のトップバレリーナのようだ。とにかく踊りが見事。人間の身体ってのはこんな風にも動き得るんだな、と思ったほど。

　1948年制作の古い映画だが、扱っているテーマが普遍的なものなので、単に映画史的に意義のある作品というわけでなく、時代を問わず観客に訴えかけるもののある映画だと思う。

　劇中のバレエ「赤い靴」はアンデルセン童話をもとにしたもので、1度はいたら死ぬまで踊り続けることになってしまう魔法の靴をはいてしまう女のコの物語。本作のテーマはまさにこれ。一方で、才能を発揮するためには他の全てを放棄すべきだという考えがあり、他方、当然生身の人間にはそんなことはできないから、才能のある人ほど理想と現実との間で苦しむことになる。

　彼女自身、バレエ芸術の完成を目指すためには他の一切を犠牲にしなければならない、という考えを受け入れているが、それが簡単なことではないことも充分すぎるほど知っている。このことについて真剣に考えるなら、もう死んじゃうしかない（才能があり、理想を完成させたい人ほど、その不可能性を理解しているから）。芸術の完成、理想の追求、というのは、死ぬまで踊り続けることになる魔法の靴をはく、ということなんだなと思いました（そういう意味で、非人間的行為。だけど、非人間的行為を敢えて行うっていうのは、これまた非常に人間的な行為）。僕には才能がなくて本当良かったよ。

　『同い年の家庭教師』
　キム・ギョンヒョン　（監督）
　キム・ハヌル　（主演女優）
　クォン・サンウ　（主演男優）
　コン・ユ　（男優）
　2002年制作
　2005年日本公開
　☆☆☆

　『青春漫画〜僕らの恋愛シナリオ〜』の主演コンビ、キム・ハヌルとクォン・サンウによる、毒にも薬にもならない韓流ラブコメディ。

　学費を稼ぐためにお金持ちのお坊ちゃんの家庭教師をすることになった女子大生。現れた生徒は高校を2年も留年している同い年の不良学生。当然反目し合う2人だが、やがてお互いを意識するようになり…、という韓流青春恋愛映画お決まりのストーリー。韓流ファン以外の人には決してオススメしない。僕自身はキム・ハヌルの出ている映画をぜひ観たいと思っていたので、特に不満はないのだが。

　キム・ハヌルは角度によっては、（あごの線が）掘北真希に似ていることに気がついた。その角度で見ると可愛い。

　インターネット上に掲載されていた実話にもとづいたお話なのだそうだ。ネット上で話題になり、漫画化され映画化までされた、とのこと。DVDパッケージの写真では、キム・ハヌルがかなりのツワモノの役なのかと思ったけれど、そうでもなかった。韓流映画のDVDって、DVDパッケージ裏の作品紹介のクォリティーがイマイチだと思う。実際に観てみると、観る前に想像していた内容とかなり異なる内容である場合が多々ある。

　珍しくハングル字幕表示のオプションあり。これはありがたい。だいたい文字にしてどのくらいの分量をどの程度のスピードでしゃべっているのかがよくわかる。それと、息継ぎするようなポイントで、語尾として何を使っているのか（ゴーだったり、ミョンだったり、デーだったり）に意識を集中しやすいのもよかった。映画としては評価しないが、キム・ハヌルも好きだし、韓国語教材として買ってもいいかな、という気になった。

　オリジナルタイトルは「동갑내기 과외하기（トンガムネギ　クァウェハギ）」。WEB上の翻訳ページでこれを一気に翻訳すると「同い年の家庭教師」と出たが、前半4字と後半4字をそれぞれ別々に翻訳すると「同い年　課外する」と出た。「課外」というのが、高校生にとっての「課外授業」のことなのか、大学生にとっての「アルバイト」のことなのかまだわからない。

　今日の一言韓国語は…、「잠깐만요（チャムッカンマニョ〜）」。直訳すると「ちょっと待ってください」という意味のようだが、日本語で「あの〜すいませんが…」「ちょっと悪いけど…」と言うだろうシチュエーションで用いられる。「わっかんないよ〜」みたいな勢いで言う。友達同士や緊急の場合には「チャッカッマンッ」。「저기요（チョギヨ〜）」とどう使い分けるのかわからないけれど、「チョギヨ〜」の方がもっとオズオズとしている感じがする。「チョギヨ〜」には「チャッカンマンニョ〜」とすら言い出せないような気分を感じる。