『ウェディングキャンペーン』
ファン・ビョングク (監督)
チョン・ジェヨン (主演男優)
スエ (主演女優)
ユ・ジュンサン (男優)
クォン・テウォン (男優)
2005年制作
2006年日本公開(劇場未公開という説もあり)
☆☆

オリジナルタイトルは「
나의 결혼 원정기(ナエ キョロ
ン ウォ
ンヂョ
ンギ)」=「私の結婚遠征記」。女性と目を合わせることもできない、婚期を過ぎた韓国の独身男性が、(朝鮮族の住む)ウズベキスタンまで嫁探しツアーに行く、という純情コメディ。『
ダンサーの純情』もそうだったが、純情ラブロマンスでありながら、現代韓国の陰の部分が滲み出ているのが面白い。韓国のド田舎の農家の1人息子を『
トンマッコルへようこそ』『シルミド』のチョン・ジェヨンが、朝鮮系ウズベキスタン人(を装っているが実は・・・、という設定)の若い女性を『
ファミリー』『夏物語』のスエが演じている。監督はこれが第1作なのにウズベキスタンロケなんか敢行して、大変だったみたいだ。
日本同様、韓国でも農村の嫁不足という問題が起きているようだ。解決策も日本と同じ。国内で嫁が見つからなければ外国に探しに行くのである。韓国には1つ奥のテがあって、それが中央アジアの朝鮮族女性(スターリン時代に沿海州地方の朝鮮族が強制移住させられた経緯があり、ウズベキスタンやカザフスタンには「高麗人」と呼ばれる人々が30万人ほど住んでいる)。「祖国である韓国にお嫁に来ませんか」と誘いをかけるわけだ。もちろん、現代韓国の経済力あっての奥のテなのだが。

彼らの母語はロシア語であるため、韓国人とのお見合いには通訳が必要となる。通訳を通して、ハッタリばかりの嘘八百を並べ立て、女性をその気にさせるのである。スエが演じるのは、この少々怪しげな「ウズベキスタンお見合いツアー」の現地スタッフ(通訳)。女性とマトモに会話もできない主人公を見かね、いろいろ世話を焼いてくれる彼女と、主人公は少しずつ打ち解けていく。同時に彼女も、ウソを言えない彼の純朴さに惹かれていく。しかし、彼女には彼と恋に陥るわけにいかない事情があって・・・。
前半のお楽しみは、チョン・ジェヨンによるコミカルな演技。後半は、恋の予感を感じた2人の「もどかしさ」がじれったい(「
합니다(ハ
ムニダ)体」による会話の醸し出す2人の距離感が意外と良い感じ・・・。)。男38歳、1度も女性と交際したことのない彼の、(しかも12歳も年の離れた若い女性に対する)一世一代のプロポーズは見事だったねぇー(ハングル字幕オプションがなかったのが本当に残念。彼が韓国語で何と言ったのか是非知りたいところ。そのために韓国語勉強してるのに〜。2007年3月16日追記:「
다시 데리러 와도 되겠죠?(タシ テリロ ワド テゲッチョ?)」みたいなことを言っているのだと思う(「迎えに来てもいいでしょう?」の意))。

イカリ肩の女って実は好きだ。スエは前半は男勝りの勇ましい感じ、後半は憂いを帯びた良い表情を見せている。この人、ネガティブな表情が良い、という変わった人で、笑った顔よりも怒った顔だとか困った顔の方が印象的。役柄的に野暮ったい格好をしていることもあり、実際よりも少し年長に見えた(最後の涙のシーンだけ妙に子供っぽく見えて、本当は若い人なんだと気がついた)。
今日の一言韓国語は「
저를 보시라니까요(チョル
ル ポシラニッカヨ)」。字幕では「私を見てください」と訳されていたが、「私を見てと言ってるでしょう?」みたいな意味なのだと思う。実際は「チョルプシラニカヨ〜」みたいに聞こえた。「
보(ポ)」が「
부(プ)」っぽく聞こえるのは、どちらも唇を丸く突き出して発音する母音だからだろう(電話の「もしもし?」にあたる「
여보세요?(ヨブォセヨ?)」も「ヨブセヨ?」と聞こえることがあるし)。問題は「
를(ル
ル)」。これが発音できない。韓国語の発音は、日本語のように常に母音で終わるわけではなく、子音で終わる場合もある。「
를」もそうで、口を左右に引っ張っての「ル」の後に母音を伴わないr音が続く。これが言えない。なるべく似た音になるように頑張っているが、僕が言うと「ルゥ」みたいになってしまう。でもこれだと、「子音なしの母音のみ」みたいじゃない? 「母音なしの子音のみ」なのにー。
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「ウェディングキャンペーン」公式サイト(日本語)

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