『どこかで誰かに何かあれば間違いなく現れるMr.ホン』
カン・ソッポム (監督)
オム・ジョンファ (主演女優)
キム・ジュヒョク (主演男優)
キム・ガヨン (女優)
2004年制作
日本劇場未公開
☆☆☆

30代俳優のオム・ジョンファとキム・ジュヒョクを主演に迎えた、20代後半〜30代前半くらいの女性を対象にした(?)ラブ・コメディー。オリジナルタイトルも、「
어디선가 누군가에 무슨 일이 생기면 틀림없이 나타난다 홍반장(オディソンガ ヌグンガエ ムスン ニリ センギミョン トゥルリモpシ ナタナンダ ホンバンヂャン)」=「どこかで誰かに何かが起きれば間違いなく現れるホン班長」。英語タイトルは“Mr. Hong, Mr. Handy”。この場合「Handy」ってのは、「役に立つ」「頼りになる」って意味でしょうね。「頼りになる男、ホンさん」。
ポスターやDVDパッケージのキム・ジュヒョクの写真は選択ミスだと思う。彼が若くイケ面風に写っているのだ。それじゃ、映画のテーマと食い違ってしまう。だってこの話、「格好良くもお金持ちでもない(そして社会的ステイタスもない)けど、頼りになる男、の良さをシミジミ感じられるようになる」という話なのだから。

タイトルや他の映画のDVDで観た予告編の印象から、主人公の女性が奇天烈男に振り回されるという内容のコメディーだろうと思っていた。ところがこれは勘違い。実際はむしろ逆で、奇天烈なのは女性主人公の方。美人で頭も良く育ちも良い、おまけにお金まであるのに、何故か男性と縁のない30歳女性歯科医師のドタバタ独り芝居をコミカルに描いている。
30歳を過ぎ、「いつか(私だけの)王子様が現れてくれる」という夢から目を覚ます、という話。ルックスは並だけど何をやらせても器用にこなす田舎の「何でも屋」の男性をキム・ジュヒョクが演じている(ちなみに、「班長」というのは、隠居じいさんがやるような町内会の役職の1つのようだ)。彼、『
シングルス』(クォン・チリン監督 2003年)でも、格好は良くないが誠実な男性、というのを演じていた。後半はまさにそんな雰囲気(前半はガミガミうるさいけど)。

主演女優のオム・ジョンファというと、このテの「もう若くはない女性」役で観ることが多いように思う(上述の『
シングルス』とか、『
情愛』(ユ・ハ監督 2002年)とか)。韓国の芸能界だと、若い美人女優ばかりがチヤホヤされる傾向が日本よりも強いようで、「大女優」みたいなポジションが存在しないのだそうだ。「大女優」までいかなくても、こういう役を演じられる人もあまりいないのかもしれない。ちなみに、俳優のオム・テウンと彼女、実の姉弟だそうである。知らんかった。
恋愛映画にはなってないと思う。女性が年齢を重ねて、身近にいる頼れる男の魅力に気付き始める、という、強いて言えば「(片方向的な)視線の変化」を扱った話だから(その変化によって2人の関係がどう変わっていくかっていう話にはなってないので…)。最後のハッピーエンドには、正直、「あん?」ってな感じ。
今日の一言韓国語は、「
근데, 우리 어제 아물도 없었지?(クンデ〜 ウリ オジェ アムrド オプソッチ?)」=「ところで、昨日私たち何もなかったよね?」「
아물(アムr)」は、「
아무 일(アム ニr)」の縮まったかたちだろうと思う。

0