『とかげの可愛い嘘』
カン・ジウン (監督)
チョ・スンウ (主演男優)
カン・ヘジョン (主演女優)
イ・ジェヨン (男優)
カン・シニル (男優)
2006年制作
2006年公開
☆☆

『
フー・アー・ユー?』(チェ・ホ監督 2002年)、『
ラブストーリー』(クァク・ジェヨン監督 2003年)のチョ・スンウと、『
オールド・ボーイ』(パク・チャヌク監督 2003年)、『
トンマッコルへようこそ』(パク・クァンヒョン監督 2005年)のカン・ヘジョンの主演によるラブストーリー。現代のお伽話。原題は「
도마뱀(トマベm)」=「とかげ」、英題は「Love Phobia」=「恋愛恐怖症・恋愛嫌い」。監督は、これが監督デビュー作のカン・ジウン。ハングル字幕のオプションあり。
いつも不思議な嘘ばかりついている女のコ・アリと、彼女に淡い恋心を抱いている純朴少年のジョガンは田舎の小学生。いつも突然現れては忽然と姿を消してしまう彼女には、誰にも言えない秘密があった…。

表情豊かな若い実力派俳優2人による童話のような純愛物語。正直言ってストーリー自体はクダラない話だと思うが、韓流映画ではこれまであまりなかったようなカメラワークが見られ面白い。緑溢れる韓国の田舎の映像も、色彩が奇麗。
考えてみると、日本映画『
ただ、君を愛してる』(新城毅彦監督 2006年)とストーリー上の共通点が結構あるんですね。『ただ、君を愛してる』もクダラないアイドル映画だと思うけれど、「種明かし映画」としては本作より1枚上手かなぁ、と思う。本作では、彼女の秘密を観客にバラした後の終盤の展開(ミステリーサークル云々)が正直蛇足のように感じられる(「私は宇宙から来た呪われたお姫様」という小学生の頃からついている嘘を伏線として、「彼は私の嘘を全部信じてくれた」ということで、彼の純朴さを表現したかったんだろうけど…)。「種明かし」に全てをかけている『ただ、君を愛してる』の思い切りの良さってのは、あれはあれで見事。

基本的に男性目線の映画で、哀しい嘘をつき続けざるを得ない彼女の切なさが上手く伝わってこないように思う。本作を制作したのは新しい映画制作会社だそうで、その設立第1作として相応しいシナリオを公募したりシナリオデータベースから探したのだそうだ。映像的には1歩踏み出している映画だと思うのだけど、ストーリー展開の処理はイマヒトツ。ストーリー上の小道具が上手く1本につながっていない、というか…。「どんな嘘も信じてしまう彼なのに、自分を遠ざけようとする私の嘘だけは通じなかった…」といったあたりを明確に押し出せば、もっと切ない映画になっていたと思うのだけど…。
ま、途中まではコミカルに進む純愛青春モノとして結構良かったかも。2人とも撮影時20代半ばのところをカン・ヘジョンなんてうまく高校生に化けていたし(逆に20代女性として登場したときはオバさんパーマで(笑)ちょっと…)、社会人となったチョ・スンウも良い感じ。邦題は「とかげの哀しい嘘」でも良かったかな?

ところで、高校生時代の2人が「
오자 토크(オヂャ トク)」=「五字トーク」という遊びをしています(ハングル表記で5文字で会話する)。韓流TVドラマの『コーヒープリンス1号店』(MBC 2007年)の第13話でも主人公の2人がやっていたのだけど(こちらでは「
다섯 자 토크(タソッ チャ トク)」=「五つ文字トーク」と呼んでいた)、昔からある子供の言葉遊びなんだろうか。
今日の一言韓国語は、「
나 부탁이 하나 있는대, 들어 줄래?(ナ プタギ ハナ インヌンデ トゥロ ヂュrレ?)」=「私、お願いが1つあるんだけど、きいてくれる?」 僕の耳には、「
부탁이」が「
부탁에(プタゲ)」、「
들어」が「
드려(トゥリョ)」に聴こえますね〜。う〜ん、まだまだ修行が足りんな!

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