『デュエリスト』
イ・ミョンセ (監督)
ハ・ジウォン (主演女優)
カン・ドンウォン (主演男優)
アン・ソンギ (男優)
2005年制作
2006年日本公開
☆☆☆☆☆

時は朝鮮王朝時代。国中を揺るがす贋金事件の捜査にあたる捕盗庁の若き女刑事と、事件と何らかの関係があると思われる「悲しい目」をした刺客、という宿敵どうしの禁断の愛を描いた異色時代劇。そう、この邦題にして何と時代劇! オリジナルタイトルは「
형사(ヒョ
ンサ)」=「刑事」。久し振りに星5つ作品の登場。
『
恋する神父』のハ・ジウォンが男性のような女性を、『
彼女を信じないでください』のカン・ドンウォンが女性のような男性を演じている。この人物設定そのものも面白いと思うが、とにかくカン・ドンウォンの美しさに息をのむ。『
彼女を信じないでください』でのイモくささが微塵も感じられないのだ。カン・ドンウォンってこんなに格好良かったっけ? 対するハ・ジウォンは、「男子」小学生をそのまま大きくしたような「女性」の役。『どろろ』の柴崎コウも凄い表情を見せているようだが、この映画でのハ・ジウォンも凄い。このハ・ジウォンを優しく見守る父親のような先輩刑事にアン・ソンギが扮している(やはり名優)。

この映画の魅力は、ストーリーでも役者の演技でもなく、その映像美だ。『Matrix』シリーズの格闘シーンが独特の美しさを追求していたのと同様、この映画の格闘シーンもこの映画独自の美しさを追求していると言える。『Matrix』シリーズでは、格闘者の身のこなしそのものをCGを用いて非現実的に強調していたのに対して、本作では、群舞としての殺陣という表現方法がとられており、暗闇に光る刃だとか渦巻く数十本の槍、時には柱や欄干まで用いて、画面全体が構成されている。また、夜の闇はとことん暗いが、昼間の市場や、王朝の重臣の館で行われている宴は一転して色鮮やか。こういった対比も面白い。
この監督、どう考えても只者だとは思えないが、何者なのだろうか。調べてみると前作が『NOWHERE 情け容赦無し』。うぅむこれも観てみるか。

ちなみに、日本で公開されたバージョンは韓国で公開されたバージョンとは異なるのだとか。監督自身が再編集し、冒頭と最後のシーンが大胆にカットされているらしい。どうもストーリーがわかりづらいなと思っていたのだけど、そのせいだったのかも。ブログ等で韓国版を推す声もよく見かける。ここはやはり韓国版を観てみたいものだ。日本版DVDのうち「コレクターズBOX」という商品には韓国版Diskも含まれているらしい。
今日の一言韓国語は「
죄송해요(チュェソ
ングゲヨ)」=「ごめんなさい」。「愛してる」の「
사랑해요(サラ
ングゲヨ)」同様、「ゲ」を「
ングゲ」という具合に鼻濁音にするのがポイント。
→ 「
『デュエリスト』公式サイト」(日本語)

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