『僕の、世界の中心は、君だ。』
チョン・ユンス (監督)
チャ・テヒョン (主演男優)
ソン・ヘギョ (主演女優)
2005年制作
2006年日本公開
☆☆☆

言わずと知れた『
世界の中心で、愛をさけぶ』(片山恭一 小学館 2001年)の韓流映画版。
日本版の映画(行定勲 監督 2004年)のリメークというより、原作小説を改めて映画化した作品と考えた方がよさそう。
オリジナルタイトルは「
파랑주의보(パラ
ンヂュイボ)」=「波浪注意報」。
日本版の映画よりも本作の方が、
原作小説により忠実な印象。実は、
原作はそれほど面白い小説ではない。そのため皮肉にも、本作もそれほど面白い映画にはなっていない。つくりはしっかりしていて、安心して観ていられるのだが・・・。
日本版の映画やTVドラマが大ヒットしたのは作品のテーマを巧みにすりかえたことによるのだろうと、僕は考えている。
原作のテーマは、恋人の死を通して、人を愛するということ、大切な人を失うということがどういうことなのかを「学ぶ」、というもので、極めて思弁的な小説だと言える。そんなものは映像化しようがないので、
日本版の映画では、テーマを「途切れていたコミュニケーションの終端を適切な場所に位置づける」というものに変更している。
本作は、そういうすりかえはしないという選択をしたらしい。しかし、映像化しようのない「学び」の部分を切り捨ててしまった結果、死んだ恋人を一途に愛し続ける男を主人公とする、単なるメロドラマに終わってしまっている。
美しい田舎の風景を背景として、平凡な男のコが学校一の美女に好かれるという、おとぎ話のような初恋の物語としては、
日本版の映画よりもよく出来ていると思う。何しろチャ・テヒョンの不細工振りが凄まじい。本作の舞台は、釜山付近の観光地として知られる巨済島(コヂェド)で、島ののどかな風景が実にいい感じ。韓国は水の多い国で、そのメリットを活かした設定だと思う。

初めて見たソン・ヘギョは、DVDパッケージ等から受けた印象よりもずっと可愛かった(誰かに似ているなーと思って観ていたのだけど、途中で『
マドレーヌ』のシン・ミナだろうと気がついた)。チャ・テヒョンは撮影時29歳だったらしいが高校生役を熱演しており、随所で「いかにも」なチャ・テヒョン顔を披露している。
今日の一言韓国語はもちろん「僕の、世界の中心は、君だ。」 たぶん「
내 세상의 중심은 너야.(ネ セサ
ングゲ チュ
ンシム
ン ノヤ)」と言っているのだろうと思う。機会があったらチャ・テヒョン顔で言ってみよう!
→
「僕の、世界の中心は、君だ。」公式サイト(日本語)

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