Kota's Movie Review

　『小さな恋のステップ』
　チャン・ジン　（監督）
　イ・ナヨン　（主演女優）
　チョン・ジェヨン　（主演男優）
　2004年制作
　2006年日本公開
　☆☆

　『シルミド』『トンマッコルへようこそ』のチョン・ジェヨンが人生の危機に立たされた野球選手を、『フー・アー・ユー？』『英語完全制服』のイ・ナヨンがもう10年も彼だけを見つめている近所の女（笑）を演じるおバカラブ・コメディー。下らないんだけど…、下らないんだけど…、妙に笑いのセンスがマッチしてしまった〜。

　イ・ナヨン好きの人にオススメ！！　イ・ナヨンいいよ〜。『フー・アー・ユー？』で見せていた孤独な硬い表情と『英語完全制服』での浮かれた調子の両方を楽しむことができる。彼女、健気でね〜。健気でね〜。可愛いいんだよ〜。チョン・ジェヨンなんて、どう見ても香田普なのにね〜（笑）。24歳にして、香田普のために泣くことはない。

　オリジナルタイトルは「아는 여자（アヌン　ヨジャ）」＝「知り合いの女」。そう、イ・ナヨン、香田普みたいな野球選手にとって、近所のバーで働くただの「知り合いの女」に過ぎないんだよ。何故泣く？　何故に泣く？　香田普のために泣く必要は絶対にない！！

　日本映画、アメリカ映画、韓流映画、いろいろ観たけど、世界中で女のコは泣いてるね〜。女のコってのはそういうものなのかね〜？　本当に世界中の女のコが泣いてるよ？　だって、香田普のために、イ・ナヨンが泣いてるんだぞ？

　この映画、イ・ナヨン好きの人は必見ですが、それ以外の人には別にオススメしません。イ・ナヨンが可愛い、という、ただそれだけの映画。登場人物たちが比較的ゆっくりしゃべってくれている映画なので、ハングル字幕があればよかったのですが、僕が借りてきたレンタルDVDにはありませんでした。残念。

　今日の韓国豆知識：韓国には「キムチ冷蔵庫」なる電化製品があるようだ。イ・ナヨンは香田普によってもたらされた新品のキムチ冷蔵庫を前に興奮して「わ〜凄い凄い！　何を入れようかな？　やっぱりキムチかな？」とはしゃいでいた。可愛い〜！！　（※キムチ冷蔵庫というのは、要するに貯蔵用冷蔵庫なのだと思う。だとしたら、キムチを入れないとしたら何を入れるのだろうか？　冷凍食品とか非常用（？）のアイスクリームとか？）

　『チルソクの夏』
　佐々部清　（監督）
　水谷妃里　（主演女優）
　淳評　（男優）
　上野樹里　（女優）
　三村恭代　（女優）
　桂亜沙美　（女優）
　2003年制作
　☆☆

　1977年の下関を舞台に、日本人女子高生と釜山（下関の姉妹都市）に住む韓国人男子高校生との間の淡い恋と、彼女の初恋の応援をする陸上部の仲良し4人組の友情を描いた青春映画。

　「チルソク」とは韓国語で、ハングルで書くと「칠석（チルソク）」＝「七夕」の意。釜山で開催された下関・釜山の親善陸上競技大会で出会った2人は、1年後に下関で開催される大会で再び会うことを約束（약속（ヤクソク））して文通を続ける。そういう純愛物語。

　2人が文通をすることすら双方の親はよく思わない、なんてストーリーになっているのだけど、日韓関係をメインに描いた政治性の強い映画ではなく、監督の故郷である下関を舞台に、田舎の女子高生の初恋の物語をノスタルジックに描いた映画。『がんばっていきまっしょい』なんかに近いイメージ。「遠い昔、メールや携帯なんかなかった時代。私たちは彼と、一年に一度必ず再会すると約束した。」というコピーがついているんだけど、要するに韓国でなくて北海道の男子高校生でもいいわけ（だってもっと遠いよ）。

　僕は70年代の女子高生の純愛に触れても別に何の感慨もわかないんで恋愛映画としての評価はあまり高くないんだけど、ただの青春映画として釜山の人にも見てもらいたいなぁとは思いました。お互いのラジオの電波が届くような距離なんだし。

　地図で見てみると、下関・釜山間って直線距離で200kmくらいしか離れていない。200kmっていうと、札幌・帯広間くらいじゃないかなぁ（直線距離では札幌・帯広間はもっと近いと思うけど）。韓流映画を観始めるまで、韓国がこんなに日本に（距離的に）近い国なんだと本当に知らなかったよ。

　77〜78年頃のヒット曲が何曲か挿入歌として使われている。イルカの「なごり雪」が主題歌のようで、ラストのスタッフロールでは韓国語ヴァージョン（イルカ自身が歌っている）が流れる。彼女も長府高校の先生として一瞬登場する。

　実は下関を映像的に見たのはこれが初めて。瀬戸内海的風景（なのか？）って実はちょっと憧れで、いつか行ってみたいと思いました（旅行や観光に全く興味がないので、というか嫌いなので、たぶん一生行くことはないと思うけど）。

　『大変な結婚』
　チョン・フンスン　（監督）
　チョン・ジュノ　（主演男優）
　キム・ジョンウン　（主演女優）
　ユ・ドングン　（男優）
　イ・ソヨン　（女優）
　2002年制作
　2005年日本公開
　☆☆☆

　オリジナルタイトルは「가문의 영광（カムネ　ヨングァン）」＝「家門の栄光」。「家門」って何だ？　「家紋」か？

　名門ソウル大学出身のベンチャー企業の若手社長、朝目覚めると隣に裸の女性が！　2人とも昨夜の記憶はないのだが、彼女はヤクザの親分の独り娘で、若手社長はヤクザな兄貴たちに結婚しろと脅される。まぁ、韓流ラブコメディーですので、ドタバタやっているうちに2人は恋に落ちる。何故か『Matrix』のパロディーが満載。

　期待しないで観たぶんだけ面白かった。キム・ジョンウンの表情が豊かで面白い。このテの映画の面白さは、主演女優の力量にかかっている。あと日本版のDVDパッケージ等にはヤクザの兄貴たちは登場しないけど、韓国版ポスター等に大きくフィーチャーされていることからもわかるように、ユ・ドングンが存在感を示している。主役の2人を喰っちゃうくらい。

　さて、この映画を誰に勧めようか？　誰にも勧めないなー。何かもう修行の一環として観たというか…。

　今日の一言韓国語は「천천히（チョンチョニ）」＝「ゆっくり」。一瞬「本当に」かと思ってしまうんですよね。



→　「大変な結婚」Official Page（日本語）

　『トム・ヤム・クン！』
　プラッチャヤー・ピンゲーオ　（監督）
　トニー・ジャー　（主演）
　2005年制作
　2006年日本公開
　☆☆☆

　いくらタイの映画だからってこのタイトルはないと思うのだが。逆に言うと、この映画の一番の売りは「タイの映画です」ということだということなのだろう。ちなみに、オリジナルタイトルは･･･、読めません。

　国際密輸団の手に落ちた象（「像」ではない）を救うため、象と一緒に育ったタイのムエタイ戦士がシドニーで大暴れする、という話。要するに、同じ監督、同じ俳優主演の『マッハ！』とストーリーもコンセプトも同じ。

　カンジンのムエタイアクションは実は『マッハ！』の方が凄いと思う（まぁ、ムエタイ対カポエラなんて見応えあったのは認めるけれど）。ただし映像は『マッハ！』よりも格段と美しくなっているように思う。脚本もずっとしっかりしているし、セットにもお金をかけているし、映画としては『マッハ！』より数段上だと思う。アクション映画に全く興味のない人にはキツいかもしれないが･･･。

　ムエタイって殴る蹴るだけかと思っていたら、もう信じられないくらい骨を折っていく。ラストの格闘シーンでは、200秒ちょいの間に約40人の肘・上腕・肩・足首・脚・膝の関節や骨を次々と破壊していく（何故、こんな人間を相手に銃を撃たないのか不思議だ）。こんなに骨を折る映画を見たことがない。それはそれで圧巻。首の骨を折られるヤツも2人くらいいる。かわったところでは鎖骨だけ折られるヤツもいる。

　『マッハ！』では、タイの田舎の青年がバンコクに出てくるという話だったのだけど、今回はタイからオーストラリアに出てきているので、青年の怒りが、タイ人としての誇りを宣言しているようにも感じられた。



→　トム・ヤム・クン！　オフィシャルサイト（日本語）