2016/8/24

『OKU NO HOSOMICHI』 第13回  国語科S先生の『OKU NO HOSOMICHI』

〜A long time ago in TOHOKU far,far away(昔々、遠い遠い東北の地で(「STARWARS」?)〜

1986 OKU NO HOSOMICHI(SHOWA〜HEISEI)

国語科 副島勇夫

第13回「仙台七夕恐怖の中華料理店〜後編(仙台、宮城県 1988年夏)」

 目の前のコップは2つ。客は私1人。(これはどういうことや?)

 私は注文したタンメンとギョーザが出来るまで、その揺れる水面を見ながら考えていた。きっと連れがもう1人来ると思ってコップを置いてしまったのだ。そうに違いない。客が私1人とわかって、今さらかたづけることもできず、こちらに気を使って奥からちらちらと見ているのだ。きっとそうだ。客をからかう店などやはり考えられない。2人連れと勘違いをしたのだ。

 そんな風に考えがまとまった頃、先ほどの店員が注文の品を運んで来た。腹が減った。朝の9時から夕方まで毎日歩いているのだ。夜の7時すぎ、当然腹ペコである。目の前のコップの横にタンメンが置かれた。立ちのぼる湯気。うまそうなニオイが鼻から胃に抜けるようだ。

 そしてギョーザが置かれた。置かれたのだが、やはり何かおかしかった。置かれた場所は私の席と向かいの席の丁度中間、大きなテーブルなので私は体を少し伸ばしてギョーザの皿を自分の方に引き寄せた。

 (やはりおかしい)どう考えても変だ。連れがいないのはもうわかっているはずだ。それならば、やはり店ぐるみで客の私をからかっているのか。店員の表情にそれを確かめようとするがそこからは悪意のようなものは感じられない。それならばこのギョーザの置かれた場所は何なのだ。

 もしかすると…。

 それは考えたくなかった。例えわずかであってもその可能性を認めたくなかった。考えることをやめて黙々とタンメンとギョーザを食べる。喉に詰まるようで水をゴクゴクと飲みほしてしまった。水が欲しい。向かいにもう一杯分あるがこの水は飲みたくない。飲んではいけない。何とも言えず落ち着かない夕食である。味もろくにわからない。

10 分も経たずに食べ終わり、勘定を払う。この出来事の説明を問いただしたかったが、それも躊躇われ、そのまま外に出た。店内は冷房が効いていたせいか外は妙に蒸し暑い。汗がどっと吹き出る。寄り道して気を紛らわしたい心境だったが、あいにく夜のオフィス街に開いている店はほとんどなかった。

 仙台の繁華街は今頃七夕祭りで賑わっているはずだ。そこから少し離れたオフィス街の裏通りは人通りも少なく、七夕祭りのポスターと小さな七夕飾りが街灯の下で揺れていた。仕方なくビジネスホテルに帰ることにした。

 先ほどの中華料理店での出来事のためかついつい急ぎ足になり、前だけを見つめて歩く。その薄暗い小さなホテルに戻りフロントでルームナンバーを告げ鍵を受け取る。エレベーターまでの廊下はなぜか左右が鏡張りである。それも壁の上から下まで全面鏡だ。

 左右が鏡の廊下を7、8メートル歩く。何とも言えない趣味の悪さ、そして気持ち悪さ。当然窓もなく、明るいとは言えない電灯がついている。立ち止まって右を見ると鏡に自分の姿が映っている。その中に左の鏡が映り、そこに今度は自分の後ろ姿が映る。その中に右の鏡が映り、そこに自分の姿が映っている。その中にまた左の鏡が…と次第に小さくなりながら自分の姿が無数に映っている。左を向くと同様に無数の自分の姿と後ろ姿が映っている。不気味だった。薄暗い電灯。

 中華料理店でのことが思い出され胸が重苦しくなる。手を上げピースをすると、無数の私がピースをする。手を振ると無数の私と私の後ろ姿が手を振る。そんな中、1人だけ手を上げず、手を振らない私の像がじっとこちらを見ている。

 心臓が凍りつく・・・ということは起こらず、鏡の中の私の分身は皆機嫌よく私のまねをしている。数えきれない私がスキップをしながら廊下を走る。エレベーターを呼び、5階のボタンを押す。扉が閉まると再び重苦しい空気が押し寄せてきた。今度は妙に明るい電灯。エレベーターの中が白く、そして薄く見える。圧迫感。ブーンという機械の音。上昇音。閉塞感。はやくこの狭苦しい箱の外に出たかった。

 私1人しか乗っていないエレベーターが5階を目指す。扉の上に表示された階を示す数字が2から3に移ったところでエレベーターは止まった。扉が開く。私は誰かが乗ってくると思い、扉の前から離れた。

 私は待った。が誰も乗って来なかった。3階の廊下に顔を出し左右を見たが人の気配もない。薄暗い廊下をエレベーターの中から流れ出した明かりが煌々と照らしている。きっとボタンを押してどこかへ行ったのだろう、部屋へ戻るか階段を使ったかしたのだろう。そう考えた時、私の近くで空気が動いた。「チン」と音がして扉が閉まる。気のせいかエレベーター内の空気が軽い。

 「そういうことだったのか』と思った。

 とにかくこれで眠れるだろう。部屋に戻ってさっさと寝よう。妙な夜だった。1人旅をしているといろいろなことがある。これで2度目だ。(第4、5回「ビジネスホテルの怪』参照)七夕祭で賑わう仙台の街で7軒目にしてようやく見つけた空室のあるホテル。どこの街であろうとこういうホテルでは何かが起こる。

次回は第14回「仙台のからくり時計・国宝ののりピー」(仙台・松島、宮城県。1988年夏)です。

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2016/8/24

普段は見ることがない光景  クラブ

この写真、一体どこが普段と異なるかお気付きになるだろうか。

そう、実は体育館の電球を交換しようとしているのだ。

どうやって交換するのだろうと自分もわからずにいたのだが、今日スッキリした。

なんと、あるスイッチを押すと、写真のようになり、床上1メートルくらいまで電動でおりてくるのである。

あとはドライバーなどでネジを緩め、電球をとりかえたら完了である。またスイッチを押せば天井まで上がっていく。

なんともまぁ面白い光景である。

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