うう・・・、念願のダイニングテーブル、買ってしまった。
とっても嬉しい。
IKEAにするかPottery Barnにするかで悩んでいたが、
すっかりIKEAに愛想を尽かして、Pottery Barnへ行ってしまって、
で、買ってしもうたがな。
うちのダイニング・テーブル、これで3代目である。
最初のダイニング・テーブルはそれこそ数万円で丸四角な
テーブルと椅子が4脚ついてきた安物だった。
本当の本当に安物だったので、
すぐにガタが来て、何度つけ直しても椅子の座る部分と
脚の部分を止めるネジが取れてしまう。
私は、そんなふと気を許すとすぐにポトンと落ちるネジを
ぶーに頼んで締め上げて貰いながら、
何度も何度も思ったものである。
「安物買いの銭失いとはこの事を言うのではないか」
そんな激安でも、1万円か2万円はしたのである。
で、子供が座れば安定が悪くて椅子が転び、
そうしていつでもテーブルの脚がガタつくので
そこかしこに厚紙を挟み・・・、こんなんでええのか。
それ以来、安物買いだけはやめようと心に誓った。
到底手の届かない舶来物を買う必要も全くないが、
そこそこ良い買い物をしたい、と
私はそのテーブルを使い込みながらも思ったものである。
結局、そのテーブル、結婚7年目にさようなら、となった。
1万だか2万で7年も使えば本望ではないか、と
言う人もあるだろうが、一生に近く使えない物は
元を取ったとは、どうしたって言い難い。
2代目は当時住んでいた横浜は青葉台の駅近くにあった
輸入家具の店で思い切って購入した。
リーブが1枚ついた長方形のテーブルで、
椅子が6脚ついていた。6脚の内2脚は肘掛け椅子で、
全部で22万円もした。
白木のテーブルには木目込み細工が施してあり、
店のおばさんは「スペインの伝統的工芸です」と言った。
その一言にぶーはグラリと来てしまった。
それは、とても大きなテーブルで、それを置くと、
日本のアパート住まいだった我が家のリビングは一杯に
なってしまった。だけれど、もうネジが落ちるのを
心配しなくたって良い、それに安定性のあるしっかりした椅子が
家族の人数分あるのだもの、本当に幸福な気持ちになった。
しかも!我が家にはなんだか不似合いな「スペイン製」である。
ある日の事、昼ご飯を食べている時に、
当時、まだまだ小さかった我が子がスプーンを床に落してしまった。
スプーンを拾おうとして床にしゃがんだ私に目に
飛び込んで来たのは、テーブルの裏に書かれた
「MADE IN TAIWAN」の文字だった。
え?MADE IN TAIWAN?スペイン製だったんじゃあないの?
みるみる顔が青ざめる思いであった。
ぶーが帰宅するやいなやその事を伝えると、
ぶーは「へぇ、そうやったんや。でも、いいやん。
僕はこの細工が気に入って買ったんやから」と潔が良い。
私はなんだか家具屋のおばはんに一言言ってやりたい気もしたが、
でも、よくよく考えるとどこ製の家具かなんてどうだって良い事だ。
白木のテーブルの内側20センチのくるりを、
まるでチェッカーのように黒と地色の小さな木のピースが
丁寧に埋め込まれた家具は、例え台湾製であろうと愛らしかった。
そう思うと、とても気に入ったような気がして大切に使った。
そのテーブルを購入の翌年にアメリカへやって来たのだが、
私達を居を構えた町の大量生産の家具屋さんに、
それと全く同じなダイニング・テーブルのセットを見つけた時には、
もう大笑いするしかなかった。
なんだ、アメリカに売られていたんだ。
なぁ〜んだ。台湾で作って、アメリカで売られるんだ。
で、その店で豪華に飾り付けをされて売られていた我が家と
寸分違わぬテーブル・セット、お値段は私達の買った丁度半分だった。
なんなんだかなぁ・・・。ま、気に入ってるから良いけれど。
そうして、その2代目も8年使った所で、
今度はカリフォルニアへ越してくる事になり、
どうしてもこのカリフォルニアでの住宅事情が許さず、
仕方が無いので友人に売って来た。
丁寧に使っていたし、どこも悪くなっていなかったし、
今後20年は絶対に使える物だったから、本当の本当は150ドル位で
売りに出したかったのだが、とても仲良しの友人が買ってくれると
言うので、その半額でお買い上げ頂いた。
そのテーブル・セットが友人宅へと運ばれる時には、
なんだか涙が出そうだった。
ああ、短い付き合いだったなぁ・・・。
で、この間まで住んでいたS市のアパート、
いつまで住むのか本当に分からなかったし、
それにそうそう長く住む気持ちもなかったので、
何も買う気がしなくって、ご飯はまるで日本の昭和家族の
ように、ちゃぶ台で頂いていた。
これはこれで、なんだか楽しくて良かった。
だけれど、新しく引っ越したこのアパートでは、
きちんとダイニングのスペースもあるし、
それにここは当分、何か余程の事が無い限りは出て行く
事もないと思うので、ここは思い切ってダイニングのセットを
購入する事にした。
そうして、IKEAの他、幾つかの家具屋も回った結果、
Pottery Barnのダイニングに白羽の矢を立てた訳だ。
今度は、マホガニー色の濃い茶色のテーブルで、
普段は小さめの丸テーブルだが、リーブが2枚ついていて、
来客時には大きなテーブルにもなる。
Pottery Barnではテーブルと椅子のセット売りはしておらず、
自分で好きなテーブルと椅子をセットに出来るのが魅力である。
椅子は何種類も実際に座ってみて、
座り心地だけでなく、実際に何年も使ってみたらどういう風に
変化するかも考慮して実際的な物を選んだ。
その際、肘掛け椅子を買うかどうかも考えたが、
ダイニングにテーブルと椅子を置いた時、肘掛け椅子があった方が
格段に見栄えはする。だけれど、肘掛け椅子は実際使い勝手が悪い。
前のテーブルの時も、誰も肘掛け椅子に座りたがらずに閉口した。
なので、今回は普通の椅子のみ6脚にした。
そういう融通が利くのもPottery Barnの良い所である。
お値段はズバリ!テーブルと椅子とで2000ドルだった。
これを高いと言うか、安いと言うか。
私達にとっては結構高い買い物だった。
だけれど、もう40歳過ぎて、しょぼい安物買いの銭失いを
するのは嫌だったし、天文学的に高い物でもない。
そうして、死ぬまで付き合う事になるかもしれない物に
少々でも妥協するのがとてもとても嫌だったのだ。
値段も自分達には高いけれど、出せる額だったし、
何と言ってもそのダイニング・テーブル、とっても好きだったのだ。
そこが一番大切な事だった。
安い物は幾らでもある。それがとても好きだったら良いが、
好きでもないのに「安い!」というだけで買って、
後々不具合に文句を言いながら付き合って行くのは
考えただけで健康に悪い。
これが、私のストレスを溜めない生き方だし、
私の人生の黄金律かもしれない。
そういう自分なりのこだわりで買ってしまった物だけが
私の側にはある。
包丁は大阪堺市の職人さんに作ってもらった物で、
文化包丁が3000円だった。
同じ職人さんの手なるペティナイフと出刃が
私の持っている包丁の全てである。
鋼で出来ているので、きちんと研げばいつでも切れ味抜群である。
鋼が無くなるまで、一生物である。
鍋はウィリアムズ・ソノマでオールクラッドというシリーズ
のベイシックセットを購入し、
後は少しずつ買い足している。
ベイシックセット、全部で600ドル弱だったか強だったか。
壊れたら、即交換、又は修理してくれる。
これも一生物である。
掃除機はドイツのミーレ、アメリカで買ったが、1000ドルした。
高い掃除機である。でも、空気清浄機能HEPAが搭載されている
上に、一生涯保証。壊れたら何度でも直してくれる、
交換してくれる。これで、掃除機も一生物である。
食器などは自分の気に入った物を買う。
実用を重視した壊れにくい普段使い用と、
自分の観賞用とである。
もし使えるお金が湯水のようにあるなら、食器にももっと
お金をかけたかもしれないが、頭のどこかに、
食器は壊れ物、壊れてたら修理不可能!という観念があるようで、
なかなか大きな買い物はできない私である。
なので、自然、好きだなぁ〜、と思う食器は手の届く範囲内である。
鍋物用の小さな深皿なんぞは10個で1000円だったが、
もの凄く気に入って買った物である。
えい!と気合いを入れて買った和食器はのりたけ。
それとて、5客で5000円とかそんなものである。
つまり、大きな買い物は私の頭の中で考えうるだけの
安全保障が成り立っている物に、どうやら限られるようで、
それ以外は自分が好きかどうかが大きな目安である。
そうして、自分がどれ程貧乏かを熟知しているから、
一生物買いを念頭に置いているのだ。
見栄なのかもしれないが、年齢も大きくそこへ加担する。
とにかく、この年になってから、アホな物は買いたくない。
少々高くても、良い物、自分が見る度に好きだなぁ、と思う物
だけを買って行きたいと思う。
そう思えないのなら、我慢して安いのを買うのではなく、
買わないだけである。なしで済ませるのだ。
てな訳で、テーブルセット、来週の水曜日に到着予定である。
私は日本へ帰っていていないけど、
ぶーちゃんがきちんとセッティングしておいてくれるらしい。
日本からアメリカへ帰る時は、それは今までユタだったというのも
大きく災いしていたかもしれないが、
いつでも嫌な気持ちがしたものだが、
今回は私の大好きなカリフォルニアへ帰ってくるのだし、
そこにはきっと私が毎日眺めても好きだなぁ、と思える
旦那とテーブルが待っているのだ。(旦那、まるで付けたし)
良い気分であるのなぁー。

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