今朝、会社へ出勤すると、
電報側のコンピューターがダウンして全く繋がらず、
その部署の仕事が全く出来ない状態だった。
「プロバイダの問題かな?」
「その内、2、30分もすりゃ、繋がるんじゃない?」
だが、一向にインターネットが立ち上がる気配もなく、
とうとう昼も過ぎてしまった。
そんな日に限って、電報の申し込みが多い。
とうとうしびれを切らした電報業務の彼女は、
テックサポーターを呼ぶ事にした。
普通、会社にはテックサポートと呼ばれる仕事をする人の
一人や二人、今の時代には必ずいるものだが、
我が社にそんな人はいない。(ギョヘーーー!)
正確に言うと、一人や二人、いたんだが、
なんでも、社長と折り合いが悪くなったとかなんとかで、
辞めてしまってから後、誰もその後がまについていないのだ。
一応求人もやっているし、応募も時々あるのだが、
どうしてそこを埋めるべく人間がやって来ないのか、
私にもその理由がほのかに分るが、分らない。(あれ?)
だから、仕方がないので、外の会社の人を呼ぶ事にした。
最初の会社に見積もりを取ると、
「1時間120ドルです!」と言われた。
それを聞いた社長は、「た、た、高いな」と怯えておる。
そこで、私は声を大にして、
「社長!120ドルは高い様に思えて、高くありません!
今の時代、IT部分が一番大切なのに、そこをケチると録な
事がありませんよ!」
社長は、『ケチる』という言葉に少々傷ついたみたいだ。
だが、私はそんな社長の傷心を無視して、
「さぁ〜!さぁ〜!さぁっ!!!」と頷かせる為に詰め寄った。
「ううむ、致し方ない・・・」
だが、社長が折角「うん」と言ったのに、最初に電話した所は
昨晩のストームでベイエリア中PC環境が不安定になっている為、
そこいら中走り回っていて、明日の朝以降でないと来られない、
と、すげなく断って来た。
社長、ちょっとホッとしている。
だが、私は追撃を辞さず、
「社長、では、次っ!」と次の会社に電話をかけた。
そこは1時間130ドルでやってくれる上に、
必ず1、2時間の間に来てくれる、と言う。
しかし、突如崩れた天気と、
やはり前出の会社が言っていた通り、
昨夜のストームの余波で不安定なベイエリアの為に、
実際に来てくれたのは、それから2時間半経ってからだった。
しかし、その技術者は凄かった。
私達が、
「どうしたんだろうねぇ?」と小首を傾げてPCを見守った
あの7時間にも及ぶ時の流れはなんだったんだろう?と、
違う意味で小首を傾げてしまう程、
アッと言う間にインターネットに繋がるようにしてくれた。
「一体何がおかしかったんですか?」
「ううーん、どうやらですね、DSLに繋ぐ設定の所で、
ボニャララ(意味不明単語)になっていましてね、
それでDSLに繋げない。で、それを解除した後・・・・」
延々と続く説明である。
電報の彼女も私も、密かに脇の下に汗をかいている。
一通りご丁寧な説明を聞いた後、
私の隣の人が2週間の出張から帰って来ると、
全てのデータが消えてしまっていたPCの事をちょいと聞いてみた。
すると、それも、物の10分程で直してしまった。
で、隣の机の彼も、思わず、
「どうして、こうなっちゃったんでしょうかね」と質問してしまう。
「ううーん、それはですねぇ・・・・云々云々」
・・・申し訳ないが、私には正直、意味不明の説明である。
後で、彼に何が理由か聞いてみよう。
そんなテックサポートの人が帰ってしまって、
夕方もいよいよ暮れかかった頃、
隣の机の人がスタジオの仕事から出張の清算をしに
机に戻って来た。
おもむろに、彼が言う。
「いやぁー、本当、コンピューターの人って凄いよね?」
「うん、アッと言う間でしたもんねぇ」とは電報の彼女。
「で、何が原因だったんです?」と聞く私。
「うん、何だかね、色々と説明してくれたけど、
途中で意味不明になっちゃって、知ったかぶりして聞いてた」
「ギャハハハ!!!」
「ああ、わかる、わかる」
「そうなっちゃうよね?」
そこで、ふと私は思ったのである。
どうして、どうして、どうして。
どうして、コンピューターの人ってのは、
数ある職業の中でも、専門用語をズブの素人に、
それがまるで日常語だと言わんばかりに言えてしまう、
そんな達人みたいな人ばっかりなのだろう。
すっごく自分だけの世界に住んでいて、
すっごく自分の周りしか見えていなくって、なのに、
すっごく自分が普通に思ってるんだなぁ。
本当は違うのに。(爆)
コンピューターを直して頂いて、
うんとうんと感謝しているけれど、
ヲタクの真髄をも見せて頂いて、誠に深くこれまた感謝である。
この会話をした3分間、腹の底から笑わせてもらった。
で、そのコンピューター屋さんの彼は、
私達にたったの30分間分を請求し、
角のよく尖った名刺を置いて帰って行ったのだった。
私と電報業務の彼女とは、それをよく見える所に掲げ、
思わず柏手を打って、お参りした程だった。
「ありがとうございます!
これで仕事に精進できます!で、また今度、何かあったら、
ぜひともお願いしたいでございます!」
コンピューターの達人は、不思議ちゃんだ。
だけど、神業を持った不思議ちゃんだから、嫌味はない。
むしろ、そのストイックな姿勢に、見惚れてしまう。
だけど。
服は、ダサイ。これまた、ご多分に洩れず・・・。

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