今日、昼過ぎに仕事をしていると、
一人のお客さんがいらした。
うちの営業に会う為にいらしたお客さんだったのだが、
これがもう大きなお声でお話になる、
久方ぶりに見た『にっぽんの営業マン』という形容詞を
御贈りしたい感じの人だった。
見た感じでは、そういう風に話すようには思えないが、
なんだかよく有り体な冗談なのかおべんちゃらなのかを
言った後に笑った声がいけなかった。
私のセンシティブな脳みそが
「空気、少なくなってま〜す!」と信号を送ってきた。
あ〜〜はっはっはっはっは。
あ〜〜あ〜〜っはっはっはっは。
ず〜〜きずっきっきっき。
ず〜〜きず〜〜きっきっきっき。
呼応するように、頭痛が増し上がって行く。
そのお客さんは1時間きっちりと応接セットに座り込んで、
ひっきりなしに色々の事を喋って帰った。
私は途中で薬を飲んだが、一向に効いて来ないので、
席を立って紅茶を入れに行き、
カフェインを摂取せねばならない程に頭痛がひどくなった。
「・・・わたし、この人の事、全然知らないけれど、
わたし、わたし、わたし、このノリ、ついてけない。
てか、なんでこないに声がでかいんだろうか。
どうして、どうして、この人に出会ってしまったんだろうか。
いや、私は出会っている訳ではない。
現に私はここにいて、デスクに座って、
電卓をはじいているではないか。
でも、近くにいる事はいるけれど、
まるで関係のない事をしている私をここまで不幸な
感慨に押しやるこの人に、どうして私は出会ってしまったのか」
などと、そういうやる方ない事を考えて、
心の中でくたびれていた。
「では、また来ます」とそのお客さんが帰った時、
私がホッとすると同時に、
私と同じフロアに詰めている私以外の二人が、
私の方を向いて、
「困った人だったね」とか
「私、あの人の感じ嫌だった」と言うではないか。
なんと、皆さん、同じ思いだったのね?
隣のデスクの人が言う。
「あの人は、俗にいう『仕事の出来る人』なんだろうね、
だけど、自分はああならねば仕事の出来る人間って
言わないよ、と言われたら、じゃ、仕事の出来ない人間で
かまいませんって、言っちゃうかも」
まさしく同感だった。
「どうして、ああいう感じなのかしらね?
やっぱり調子が良すぎるのかしらね?」
そうそう、その上に口先だけって感じが、
私には臭い立ったんだよ!てかさ、同感なんだよ!
そうして、3人で口を揃えて、
「でも、ああいう人が世間では仕事が出来るって
言うのよね、どういう訳か、ねぇーーー」
・・・だが、ふと私は我に返らずにはいられない。
本当の本当は、
「世間ではあんたら3人が変人って言うのよね、
ほんまのとこ、ねぇーーー」なのかしら!?
全く、世の中とは面白いものだ。
自分と全く正反対の人もいる代わりに、
揃いも揃って同じ様な感性の人間が、机を3つ並べて、
楽しく仕事もしているのだからにして。
こっちの方が感慨深かった。
そうして、私は心の奥深くから謙って、
こんな二人に囲まれて、日常気持ちよく仕事出来る事に
感謝せずにはいられないのである。
この最高の環境を思うなら、
例え今日のような客人の一人や二人、
いつでも来なさい!!!
頭痛にも耐えようぞ。

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