会社の人が、アルマーニの新作コロンの試供品を二つもくれた。
私はパフュームアレルギーがあるので、
自分では滅多にコロンなんかつけたりしないが、
その新作コロンはメンズだったので、
もっとつけたりしないな、とそれでも有り難く
家に持って帰った。
最近、思うのだが、
男の子って、臭いですな。
思えば、長男は幼い頃は無臭な子供だった。
耳垢もドライなだけに、本当に「臭い」という言葉とは
無縁の子供だった。
それがどうだ!?
妙齢をに近づけば近づく程、なんでこうも臭くなる。
毎日丁寧に風呂に入るにも拘らず、
一日の終わりにはすでに臭い様な気がする。
だから、半ば無理矢理、
「君、これを使いたまえ!」と、その試供品を
彼の手に二つとも握らせた。
すると、それまで隣で憑かれた様な目してゲームに興じていた
次男が、突然パタンとDSを折り畳んでしまうと、
私の方へ向き直って、
「僕にも、一つくれない」と言った。
・・・正直、驚きだった。
まるで、心の中に強風が吹きすさんだような衝撃であった。
次男は、親が言うのもなんだが(と、言いつつ毎回言い切るが)、
ものすっごくかっこええ。足は長いし、顔は白人の顔がでかいと
思える程小さいし、手も長いし、で、顔の中身も近所で
評判になる位に男前だ(ほら、言い切った)。
最近思ったのだが、俳優の堺直人に似ている、とさえ思う。
だが、しかし、彼には最大なる欠点がある。
そ、そ、それは、なんてたって、ダサイって事である。
とにかく、ついこの間まで「おしゃれ」には無関係の
人生を生きていた。
「服を買いに行こうか」と言えば、
「ネットで買っておいてくれ」だし、
「じゃ、どこで買う?」と言えば、
「ああ、面倒臭いな(ええ・・、ネットなのに)、
もうねぇ、ターゲットでいいよ!(と、何故か切れ気味)」と、
めちゃくちゃ投げやりになる。
で、着る服と言えば、常にTシャツと短いカルゴパンツ。
ええ、短パン。外が氷点下でも短パン。
「あんたは良くても、見てる側の人間が寒い。
そういうのを、はた迷惑の我が侭放題って言うんや」と
憎まれ口を聞いても、鼻で笑って取り合おうともしない。
それが、何故に、「コロンをくれ」になるのか!?
衝撃以外の何物でもない。
が、ハッ!と我に返った私は、これを逃してなる物か!と、
急いで長男の手からコロンを一つもぎ取ると、
「どうぞ、おつけ下さい」と進呈させて頂いた。
で、満足げに受け取った次男は、翌日から
『ちょっとおしゃれさん』に目覚めてしまったのである。
いや、ほんまにちょっとやねんけど。
朝のシャワーが終ったら、その物を必ずひと滴手首や
耳の後ろ、胃の上あたりに、丁寧に擦り込んでいるらしい。
長女の誕生日に中国人の友達がコロンの詰め合わせを
プレゼントしてくれたのだが、手違いでメンズが来てしまった。
で、それも長女はボーイズに進呈したので、
この頃は、「今日はどれにしようかな」と香りを選んでるらしい。
香りは服装にも微々たる変化をもたらし、
とうとう短パンをやめた。
あんなに言っても、微動だにせず短パン一筋だった男が、
突然にきちんと長いジーンズをはき始める。
アバクロのビンテージ物をお直しせずにはける日本人は、
世界広しと言えども、竹野内豊とうちの次男くらいしか
いないんじゃあないの、と、何の根拠もなく思う。
ああ、かっこええ。めっちゃ、かっこええ。
そうして、このダサ男がようやっと目覚めたのか、と
思うと、何とも何とも感慨深い。
苦節13年、ようやっと来たよ、この時が・・・・・(涙
本当に、生きとし生きるもの皆、色づく季節があるのね。
青いフルーツだった次男も、
ほのかに色づき始めてるのよね・・・。
ま、それから30年も経ったら、
私みたいにグズグズに腐り果てるんすけどね・・・。
ああ!
若いって、ええなぁーーーーーー!!!(絶叫)
とは言え、まだまだダサオ君な次男です。
おしゃれにうるさい長女は、改善のあった今も尚、
小首を傾げて、難しい顔をしている。
まだまだ美しく色づくには、時間がかかるようだ、ね?

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