2012/3/27
06:00。爆睡から目をさまし、ゴソゴソと準備を開始する。
暖房の効いた小屋の中でも足先が冷たい朝。
パッキングをすませ朝食を摂り外に出る。今週は冬型が強まったため、気温は−15℃とまあまあ寒い。
氷のように冷たい靴。
アイゼンよし!
スパッツよし!
スタンバイ完了。

本日の予定ルートはこんな感じ。まずは赤岳鉱泉を出発し、赤岩ノ頭より硫黄岳に登頂し、続けて核心部の横岳にアタック、さらに時間と様子を見て赤岳への縦走だ。
まずはまだ薄暗い樹林帯をこえ、最初のピーク硫黄岳を目指す。

淡々とした足取りで森をこえ進む。

だいぶ明るくなってきたが足先はまだ氷るように冷たい。
ハアハアと出る白い息とザクっザクっとリズミカルに響くアイゼンの音。

次第に少なくなる木々。森林限界が近いしるしだ。

稜線を望むと真っ白くガスを纏った不気味な横岳が見える

そうこうしている間に赤岩ノ頭直下へ到着。
ここからで直登で雪壁を詰め、一気に主稜線に飛び出すのだ。

まだここは風裏だ。しかし最初のピーク硫黄岳をみると雪煙がかなり上がっている。

風強そうだな〜。
阿弥陀岳方面風

あっちも雲が強風に煽られている。
雪壁の真上を見上げる

凄い速さで雪煙と雲が混ざった風がこちら側の上空に向かって流れてくる。
大丈夫なのか?
とりあえず上がってみよう。稜線に向け直登開始だ。

けっこう角度あるんだけど上向けて撮る写真だとこうなっちゃいます(笑)

雪壁をぬけ稜線に頭をだすと、ボワっという音とともに引きちぎれるような恐ろしく冷たい風が顔を襲う。
予想以上の風。軽く予報の数値は越えてる感じ(笑)強い時の瞬間風速は大袈裟でなく25〜30メートルといった感じだ。
そしてマイナス15度の稜線を凄いスピードで雲が流れてゆく。
バラクラバをとゴーグルを素早く装着し、強風でのアタック準備。

あ、YUくんは頑丈なので気合いでナシ(ゴーグル忘れた?笑)
さあ、硫黄岳へアタック開始だ。

とりあえず先にある岩まで

左から右へカッ飛んでゆく雲
右側には雪屁が発達中だがルートは明瞭。

ブワっブワ〜〜と唸りをあげる凍てつく風。
一歩一歩確実に
ボワっブワ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
やばい。突風だ。耐風姿勢をとる。
雪面に突き刺したピッケルにグイっと体重をかけた。なにせ体が浮くんじゃないかというくらいの風。
よし。クリア。一旦少しだけ戻ろう。
少し風が落ち着くのを待つ。
ここで横岳への縦走は無理と判断。とりあえず硫黄岳だけでも登頂を目指す。
再度アタック開始だ。

ちなみにインナーグローブはヒマラヤクラス対応の物だが、写真を撮る為ゴアのオーバーグローブをはずすだけで一気に手の感覚がなくなる。写真を撮るのもひと苦労なのだ。
とりあえず前方の岩尾根にとりつこう。
風に体を押される為、体を斜め倒しながらバランスをとって歩く。
ブオっ
ブオオオオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
耐風姿勢!
ふたたびピッケルのシャフトを突き立て耐え忍ぶ。
ブオオオオ〜〜〜〜〜ブオワ〜〜〜〜〜ブオオオオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
予報では午後に向けてこのまま風は強くなる一方らしい。
ダメだ。今回は諦めよう。

晴天のためわかりづらいが真横に吹きとぶオーバーグローブと後ろの雪煙で風の強さがわかるはず。
あか〜ん。悔しいが敗退だ。
硫黄岳なんて楽勝なんて思ってはいけない。こんな日もある。
山は逃げない。またくればいいさ。
そして安全地帯に避難した。

風裏はいたって穏やか。ゲラゲラとなぜか笑いがこみあげた。
S氏に携帯より状況と敗退を報告。
そのまますんなり敗退もなんなので下りルートをそれ、ジョウゴ沢の滝へ寄り道することとなった(笑)

これがジョウゴ沢の氷瀑(ひょうばく)
そしてダブルアックスの練習に
YUくんがダブルアックスで氷に取り付く

そして江原もダブルアックス

さらにねむ太郎もダブルアックス

しばらく練習を楽しみ、その後下山ルートへ。
今回は敗退の結果となってしまったのだが、登頂はできなかったものの経験値も上がりそれなりに楽しむことができた。

自分なりにだが、なかなか有意義で満足度の高い山行となった。

今回も感動をくれた八ヶ岳

厳しく美しく楽しいワイルドな山旅。

たまんないぜ!

八ヶ岳の大自然よ、仲間よ、ありがとう

ありがとう!

THANKS:YUくん(JR山岳会)、S氏(JR山岳会)、山でお会いした登山者の皆様
FIN

暖房の効いた小屋の中でも足先が冷たい朝。
パッキングをすませ朝食を摂り外に出る。今週は冬型が強まったため、気温は−15℃とまあまあ寒い。
氷のように冷たい靴。
アイゼンよし!
スパッツよし!
スタンバイ完了。

本日の予定ルートはこんな感じ。まずは赤岳鉱泉を出発し、赤岩ノ頭より硫黄岳に登頂し、続けて核心部の横岳にアタック、さらに時間と様子を見て赤岳への縦走だ。
まずはまだ薄暗い樹林帯をこえ、最初のピーク硫黄岳を目指す。

淡々とした足取りで森をこえ進む。

だいぶ明るくなってきたが足先はまだ氷るように冷たい。
ハアハアと出る白い息とザクっザクっとリズミカルに響くアイゼンの音。

次第に少なくなる木々。森林限界が近いしるしだ。

稜線を望むと真っ白くガスを纏った不気味な横岳が見える

そうこうしている間に赤岩ノ頭直下へ到着。
ここからで直登で雪壁を詰め、一気に主稜線に飛び出すのだ。

まだここは風裏だ。しかし最初のピーク硫黄岳をみると雪煙がかなり上がっている。

風強そうだな〜。
阿弥陀岳方面風

あっちも雲が強風に煽られている。
雪壁の真上を見上げる

凄い速さで雪煙と雲が混ざった風がこちら側の上空に向かって流れてくる。
大丈夫なのか?
とりあえず上がってみよう。稜線に向け直登開始だ。

けっこう角度あるんだけど上向けて撮る写真だとこうなっちゃいます(笑)

雪壁をぬけ稜線に頭をだすと、ボワっという音とともに引きちぎれるような恐ろしく冷たい風が顔を襲う。
予想以上の風。軽く予報の数値は越えてる感じ(笑)強い時の瞬間風速は大袈裟でなく25〜30メートルといった感じだ。
そしてマイナス15度の稜線を凄いスピードで雲が流れてゆく。
バラクラバをとゴーグルを素早く装着し、強風でのアタック準備。

あ、YUくんは頑丈なので気合いでナシ(ゴーグル忘れた?笑)
さあ、硫黄岳へアタック開始だ。

とりあえず先にある岩まで

左から右へカッ飛んでゆく雲
右側には雪屁が発達中だがルートは明瞭。

ブワっブワ〜〜と唸りをあげる凍てつく風。
一歩一歩確実に
ボワっブワ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
やばい。突風だ。耐風姿勢をとる。
雪面に突き刺したピッケルにグイっと体重をかけた。なにせ体が浮くんじゃないかというくらいの風。
よし。クリア。一旦少しだけ戻ろう。
少し風が落ち着くのを待つ。
ここで横岳への縦走は無理と判断。とりあえず硫黄岳だけでも登頂を目指す。
再度アタック開始だ。

ちなみにインナーグローブはヒマラヤクラス対応の物だが、写真を撮る為ゴアのオーバーグローブをはずすだけで一気に手の感覚がなくなる。写真を撮るのもひと苦労なのだ。
とりあえず前方の岩尾根にとりつこう。
風に体を押される為、体を斜め倒しながらバランスをとって歩く。
ブオっ
ブオオオオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
耐風姿勢!
ふたたびピッケルのシャフトを突き立て耐え忍ぶ。
ブオオオオ〜〜〜〜〜ブオワ〜〜〜〜〜ブオオオオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
予報では午後に向けてこのまま風は強くなる一方らしい。
ダメだ。今回は諦めよう。

晴天のためわかりづらいが真横に吹きとぶオーバーグローブと後ろの雪煙で風の強さがわかるはず。
あか〜ん。悔しいが敗退だ。
硫黄岳なんて楽勝なんて思ってはいけない。こんな日もある。
山は逃げない。またくればいいさ。
そして安全地帯に避難した。

風裏はいたって穏やか。ゲラゲラとなぜか笑いがこみあげた。
S氏に携帯より状況と敗退を報告。
そのまますんなり敗退もなんなので下りルートをそれ、ジョウゴ沢の滝へ寄り道することとなった(笑)

これがジョウゴ沢の氷瀑(ひょうばく)
そしてダブルアックスの練習に
YUくんがダブルアックスで氷に取り付く

そして江原もダブルアックス

さらにねむ太郎もダブルアックス

しばらく練習を楽しみ、その後下山ルートへ。
今回は敗退の結果となってしまったのだが、登頂はできなかったものの経験値も上がりそれなりに楽しむことができた。

自分なりにだが、なかなか有意義で満足度の高い山行となった。

今回も感動をくれた八ヶ岳

厳しく美しく楽しいワイルドな山旅。

たまんないぜ!

八ヶ岳の大自然よ、仲間よ、ありがとう

ありがとう!

THANKS:YUくん(JR山岳会)、S氏(JR山岳会)、山でお会いした登山者の皆様
FIN

投稿者:江原