2012/7/29
※当ブログはソルトウォーターの釣りブログです。山ネタ続いて申し訳ありません!m(__)m
ご興味ある方のみご覧下さい。
まだ雪の残る奥穂高岳山頂直下。標高3000メートルの穂高岳山荘にいる。

今回のミッションは穂高岳に登ることではない。北アルプスに来る一般登山者のほとんどが敬遠するあの頂きを目指すのだ。
そう。ジャンダルム3163mだ。
ジャンダルムとは衛兵の意味。奥穂高岳の前衛峰として異様な存在感を出す黒い岩峰。そこまでの行程の難易度は一般縦走路の中では北アルプス1とも日本屈指とも言われている。
このルートは西穂高岳まで続いており、通常2泊を要するのだが、今回はトレーニングの意味もかね、1泊での踏破を目指した。
●ジャンダルムに直登せよ
03:30。まだ真っ暗な穂高岳山荘。
ブォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
コーヒーを沸かすバーナーの音が暗い炊事室に響く。
ヘッドライトを着けたまま冷めたい朴の葉寿司を無理やり口に突っ込み、グビッと沸かしたての熱いコーヒーで流し込む。
山小屋に泊まる登山客はまだほとんどが寝ている様子だが、空はだんだんと明るくなってきた。
早朝04:30。さあ出発の時間だ。

今回もメンバーはお馴染みJR山岳会のYUくんと自分の2名。グローブをはめ冷たいハシゴを淡々と上がって行く。

今日の東京は32℃越をえるらしいが、ここ北アルプスの主稜線ではまだ気温は一桁台前半。長袖の上にはフリースジャケット。
口からは白い息が立つ。
とりあえずはジャンダルムの分岐点となる奥穂高岳山頂を目指している。
横から上がるまぶしい太陽

ほんのり暖かい。

奥穂高への登高中、右を振り向くと、存在感のある黒いアイツが現れた。
ジャンダルムだ!

実際にアタックをかけるとなると一段と迫力を増して感じる。
かかってこいと言わんばかりの威圧感。
大概の一般登山者はジャンダルム(通称ジャン)登頂を目標にしてしまった時点で、北アルプスの最高峰=奥穂高岳ですらかすんで見えてしまうものなのだ。
ほどなくして奥穂高岳(3190m)に登頂

すでに何度となく踏んでいるこの頂き。周りの素晴らしい景色を見ながらリラックスし、これから行くルートへの緊張を和らげる。

一息ついたら穂高主稜線からジャンダルム方面へと進行方向を変え出発だ。
周りの登山者たちが、奴らはジャンに向かうらしいという顔でこちらを見ている。このちょっとした優越感は、はっきり言って快感でもある。
さあ、ジャンを目指すぞ。行く先はあっちだ!
先行に赤く見えるのはソロでジャン越えを目指すモンベルのOKZさん

ナイフリッジのスタートだ。YUくん、テンション上げてゆこうゼ!

うっす!
緊張を上回るワクワク感。だが油断は禁物(笑)
スタートから暫くしてウマノセで立ち往生するOKZさんに追いつく。

江:大丈夫ですか?
OKZ:予想以上の高度感と険しさにちょっとてこずってます。
江:ではトップを交代しましょう
最後尾に馬力ナンバーワンのYUくん、真ん中にOKZさんをはさむ3人パーティーの形をとり自分が先頭を行かせてもらう。
トップの任務はルートファインディング(適切なルートを見つけること)だ。
クライムダウン開始!やっぱりトップはいいね(感謝)

写真では判りづらいのだが、両脇は常に切れ落ちた500メートルの断崖だ。ホールドは沢山ある為、クライミング的な難易度はさほどではないのだが、高度感はかなりある。
言うなればスカイツリーの屋上にグレードの低いクライミングウォールが沢山あるような感じの場所を登ったり下ったりするのだ(笑)
当然落ちたら一巻の終わりだ。

ウマノセを先に通過し、後続にホールドの位置を伝え見守る。

ウマノセって書いてあるね
ちなみに今回のルートはロープを使用しない一般登山ルートの限界レベルだ。ロープを使うアルパインルートはみなここ以上に険しいルートなのだが、反面ロープがある安心感もある。
丸腰のロープなしって、やっぱスリリングなんだよね。
徐々に迫り来るジャンダルム。左隣の三角のピークはロバノミミ。

ロバノミミへの鞍部を目指しグングン下る。この世のものとは思えない断崖を(笑)

たまんね〜〜!
そして鞍部に到着。次はロバノミミを一気にトラバースするぞ。

難所の連続にテンションアップ。しかしこう言ったオチャラケは禁物だね(笑)

ちなみにこのルートはクサリがあればまだイイ方だ。ペンキマークも少ない。

まぁなんとかなるでしょ!アップダウンを繰り返すよ。

そして気がつけばジャンダルムは目の前に。真ん中に小さく見える白っぽい岩が直登ルートへの目印だ。

ジャンダルムへのアタック前に軽く休憩を入れ、直登ルートをよく確認する。角度はキツイがホールドは沢山ある。
さあ!ジャンダルムにアタック開始だ!
ジャンダルム直登ルートは完全にクライミング。まずは左から回り込み白い岩を目指して三点確保。
白い岩の上部に来たらそのまま垂直の壁を詰める。
バッテンマークは気にするな。俺らの行くのはジャンダルム直登ルートだ〜〜〜〜〜!

真上に、天に向かってクライムオン!
そこをクリアするとお次はオーバーハング(垂直以上の壁)が現れた。
大丈夫。ホールドは沢山あるんだ。落ち着け。
よく見ろ。一手、二手、三手先までくっきり見えている。
中央に残置ボルトもある。腕二本でホールドをガッチリ掴み、背中がのけ反るオーバーハングの壁に足のフリクションを効かせる。
そして残置ボルトに右足をかける。
どりゃ〜〜〜〜〜〜!
オーバーハングをクリア。
そのまま岩を這い上がるように上がると山頂直下の残置スリングが見えた!
そして目の前に飛び込んで来たあの有名な小さなカザミドリ(エンジェル)。

うおぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!
一人歓喜の雄たけびをあげるオレ。後続のOKZさん、YUくんは来ているか・・・
一人
二人
二人とも来た!!
うおぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
そして一緒にジャンダルムの山頂に立つ。

YUくん今回もありがとう
ここがあのずっと見ていたジャンダルムのテッペンだ。

OKZさん、本当に感動したよ。
みなでまわりの美しい景色をながめた。
なんなんだ。この充実感は。

大袈裟かもしれないが、登山は本当に色々なことを教えてくれる。人生に通じるピュアでシンプルな遊び。生きて行くって何が必要でなにが大切なのか・・
そして3人で固く握手をした。
ついに上がったジャンダルムの頂。ずっと山頂に居たい気持ちだったがまだこの先もある。山頂滞在時間約15分でジャンダルムをあとにした。
その後は天狗の逆層スラブを経由し

西穂高岳方面の下山ルートへ。

そして今回もミッションは無事終了した。

今回も沢山の感動をくれた北アルプス。

美しく雄大で

険しくて厳しい穂高の山々

けしてブログでは伝えきれないスケールに沢山の出来事と思い出

仲間よ自然よ本当にありがとう

ありがとう!
THANKS:YUくん(JR山岳会)、OKZ氏(mont-bell)、事務局S氏(JR山岳会)

FIN

ご興味ある方のみご覧下さい。
まだ雪の残る奥穂高岳山頂直下。標高3000メートルの穂高岳山荘にいる。

今回のミッションは穂高岳に登ることではない。北アルプスに来る一般登山者のほとんどが敬遠するあの頂きを目指すのだ。
そう。ジャンダルム3163mだ。
ジャンダルムとは衛兵の意味。奥穂高岳の前衛峰として異様な存在感を出す黒い岩峰。そこまでの行程の難易度は一般縦走路の中では北アルプス1とも日本屈指とも言われている。
このルートは西穂高岳まで続いており、通常2泊を要するのだが、今回はトレーニングの意味もかね、1泊での踏破を目指した。
●ジャンダルムに直登せよ
03:30。まだ真っ暗な穂高岳山荘。
ブォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
コーヒーを沸かすバーナーの音が暗い炊事室に響く。
ヘッドライトを着けたまま冷めたい朴の葉寿司を無理やり口に突っ込み、グビッと沸かしたての熱いコーヒーで流し込む。
山小屋に泊まる登山客はまだほとんどが寝ている様子だが、空はだんだんと明るくなってきた。
早朝04:30。さあ出発の時間だ。

今回もメンバーはお馴染みJR山岳会のYUくんと自分の2名。グローブをはめ冷たいハシゴを淡々と上がって行く。

今日の東京は32℃越をえるらしいが、ここ北アルプスの主稜線ではまだ気温は一桁台前半。長袖の上にはフリースジャケット。
口からは白い息が立つ。
とりあえずはジャンダルムの分岐点となる奥穂高岳山頂を目指している。
横から上がるまぶしい太陽

ほんのり暖かい。

奥穂高への登高中、右を振り向くと、存在感のある黒いアイツが現れた。
ジャンダルムだ!

実際にアタックをかけるとなると一段と迫力を増して感じる。
かかってこいと言わんばかりの威圧感。
大概の一般登山者はジャンダルム(通称ジャン)登頂を目標にしてしまった時点で、北アルプスの最高峰=奥穂高岳ですらかすんで見えてしまうものなのだ。
ほどなくして奥穂高岳(3190m)に登頂

すでに何度となく踏んでいるこの頂き。周りの素晴らしい景色を見ながらリラックスし、これから行くルートへの緊張を和らげる。

一息ついたら穂高主稜線からジャンダルム方面へと進行方向を変え出発だ。
周りの登山者たちが、奴らはジャンに向かうらしいという顔でこちらを見ている。このちょっとした優越感は、はっきり言って快感でもある。
さあ、ジャンを目指すぞ。行く先はあっちだ!
先行に赤く見えるのはソロでジャン越えを目指すモンベルのOKZさん

ナイフリッジのスタートだ。YUくん、テンション上げてゆこうゼ!

うっす!
緊張を上回るワクワク感。だが油断は禁物(笑)
スタートから暫くしてウマノセで立ち往生するOKZさんに追いつく。

江:大丈夫ですか?
OKZ:予想以上の高度感と険しさにちょっとてこずってます。
江:ではトップを交代しましょう
最後尾に馬力ナンバーワンのYUくん、真ん中にOKZさんをはさむ3人パーティーの形をとり自分が先頭を行かせてもらう。
トップの任務はルートファインディング(適切なルートを見つけること)だ。
クライムダウン開始!やっぱりトップはいいね(感謝)

写真では判りづらいのだが、両脇は常に切れ落ちた500メートルの断崖だ。ホールドは沢山ある為、クライミング的な難易度はさほどではないのだが、高度感はかなりある。
言うなればスカイツリーの屋上にグレードの低いクライミングウォールが沢山あるような感じの場所を登ったり下ったりするのだ(笑)
当然落ちたら一巻の終わりだ。

ウマノセを先に通過し、後続にホールドの位置を伝え見守る。

ウマノセって書いてあるね
ちなみに今回のルートはロープを使用しない一般登山ルートの限界レベルだ。ロープを使うアルパインルートはみなここ以上に険しいルートなのだが、反面ロープがある安心感もある。
丸腰のロープなしって、やっぱスリリングなんだよね。
徐々に迫り来るジャンダルム。左隣の三角のピークはロバノミミ。

ロバノミミへの鞍部を目指しグングン下る。この世のものとは思えない断崖を(笑)

たまんね〜〜!
そして鞍部に到着。次はロバノミミを一気にトラバースするぞ。

難所の連続にテンションアップ。しかしこう言ったオチャラケは禁物だね(笑)

ちなみにこのルートはクサリがあればまだイイ方だ。ペンキマークも少ない。

まぁなんとかなるでしょ!アップダウンを繰り返すよ。

そして気がつけばジャンダルムは目の前に。真ん中に小さく見える白っぽい岩が直登ルートへの目印だ。

ジャンダルムへのアタック前に軽く休憩を入れ、直登ルートをよく確認する。角度はキツイがホールドは沢山ある。
さあ!ジャンダルムにアタック開始だ!
ジャンダルム直登ルートは完全にクライミング。まずは左から回り込み白い岩を目指して三点確保。
白い岩の上部に来たらそのまま垂直の壁を詰める。
バッテンマークは気にするな。俺らの行くのはジャンダルム直登ルートだ〜〜〜〜〜!

真上に、天に向かってクライムオン!
そこをクリアするとお次はオーバーハング(垂直以上の壁)が現れた。
大丈夫。ホールドは沢山あるんだ。落ち着け。
よく見ろ。一手、二手、三手先までくっきり見えている。
中央に残置ボルトもある。腕二本でホールドをガッチリ掴み、背中がのけ反るオーバーハングの壁に足のフリクションを効かせる。
そして残置ボルトに右足をかける。
どりゃ〜〜〜〜〜〜!
オーバーハングをクリア。
そのまま岩を這い上がるように上がると山頂直下の残置スリングが見えた!
そして目の前に飛び込んで来たあの有名な小さなカザミドリ(エンジェル)。

うおぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!
一人歓喜の雄たけびをあげるオレ。後続のOKZさん、YUくんは来ているか・・・
一人
二人
二人とも来た!!
うおぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
そして一緒にジャンダルムの山頂に立つ。

YUくん今回もありがとう
ここがあのずっと見ていたジャンダルムのテッペンだ。

OKZさん、本当に感動したよ。
みなでまわりの美しい景色をながめた。
なんなんだ。この充実感は。

大袈裟かもしれないが、登山は本当に色々なことを教えてくれる。人生に通じるピュアでシンプルな遊び。生きて行くって何が必要でなにが大切なのか・・
そして3人で固く握手をした。
ついに上がったジャンダルムの頂。ずっと山頂に居たい気持ちだったがまだこの先もある。山頂滞在時間約15分でジャンダルムをあとにした。
その後は天狗の逆層スラブを経由し

西穂高岳方面の下山ルートへ。

そして今回もミッションは無事終了した。

今回も沢山の感動をくれた北アルプス。

美しく雄大で

険しくて厳しい穂高の山々

けしてブログでは伝えきれないスケールに沢山の出来事と思い出

仲間よ自然よ本当にありがとう

ありがとう!
THANKS:YUくん(JR山岳会)、OKZ氏(mont-bell)、事務局S氏(JR山岳会)

FIN

投稿者:江原