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シズちゃんの初体験〜その1、チャット〜  









『静雄。お前、ネット何かには興味ないのか?』
「ネット?」


唐突にセルティに聞かれ、静雄は首をかしげた。
ネット。言葉は知っているが、実際に使ったことは一度もない。
自分の力ではパソコンが壊れてしまうのではないかと思ったので(携帯は慣れたから壊さない)高校の授業でも触ったことはなかった。


「あー、興味ねぇわけじゃねえけど、俺が触ったらパソコン壊れると思ってな」
『軽く指でキーボードを押せばいいんじゃないか?』
「でもなあ…俺の軽いは他の奴にしてみれば軽くねぇみてぇだし…」
『なら、携帯でやればいいじゃないか』
「あ?携帯でもできんのか?」
『ああ。私がいつも行ってるチャットルームがあるから、後でアドレス送っておくよ』
「サンキュ」


それじゃあ、とセルティはバイクに跨り、仕事に行ってしまった。
残された静雄は、チャットねえ、と未知の世界に思いを侍らせる。


(セルティが紹介するところなんだ、きっと良い奴ばかり集まるんだろうな…)


吸っていた煙草を地面に落とし、靴底で火を消す。
調度休憩終了の時間になり、静雄は向こうからやってきた上司の元へ向かった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――



仕事が終わって家に帰り携帯を開くと、一通のメールが届いていた。
セルティからだ。
休憩時に話していた通り、チャットルームのものと思われるURLが添付されていた。


(……………果たして俺はなじめるのだろうか、)


初めてのチャットで緊張しているのか、柄にもなく顔が強張っている。
顔が見えない相手にキレるなよ、と自分に言い聞かせ、静雄はURLをクリックする。




―――オズさんが入室しました―――



甘楽【ありゃ?新人さんですかぁ?】
甘楽【はじめましてー!私、このチャットルームの管理人でみんなのアイドル甘楽と申します!】
甘楽【オズさんは誰かの紹介でいらしたんですかぁ??】
オズ【はじめまして よろしくお願いします】
甘楽【いや、あの…私の話聞いてます??】
オズ【チャット初めてなんで、お手柔らかにお願いします】
甘楽【あるぇー!?新人さんまでも私を無視するんですかっ!?やーん、甘楽ちゃん泣いちゃうー><】
田中太郎【甘楽さん、新人さんまでもってなんですかw】
セットン【本当ですよ。私達、無視したこと無いじゃないですか】
甘楽【Σえぇー!?みなさん、自分が都合悪い事は忘れちゃうんですかっ!?】
田中太郎【オズさんはじめまして!私は田中太郎と申します。お好きなように呼んでいただいて構いませんよ】
甘楽【ちょww言ったそばから無視www】
セットン【私はセットンです。オズさん、これからよろしくー】
甘楽【セットンさんまでwww】
オズ【太郎さん、セットンさん、よろしくお願いします】






「……甘楽に太郎にセットンか………中々いい人そうだな…」






甘楽【もー!どうしてみんな私の事シカトするんですかぁー!】
田中太郎【あ、甘楽さん。いたんですか】
セットン【すいません。視界に入ってなかったみたいです】
甘楽【Σ(゜Д゜)!!!!】
甘楽【うぅぅ………太郎さんもセットンさんも酷い…!】
甘楽【うわーんっ!オズさん、二人がいじめるぅうーっ!!!(泣)】
オズ【仲良いんスね】
甘楽【今のやりとり見て何故そう思うし!?もしや、オズさんって天然さんですか??】






「天然?…初めて言われたな、そんなこと」





オズ【初めて言われたッス】
甘楽【えー?!意外!絶対天然だと思いますよ!】
オズ【よく普通じゃないとか化け物とは言われます】
甘楽【化け物!?……そうなんですかー……】
オズ【?】
オズ【どうかしたんスか?】
甘楽【いえ、ちょっと………】


―――――――――――――――――――――――

甘楽【帝人君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど】
田中太郎【何ですか臨也さん】
甘楽【今日入ってきたオズってさ、もしかしてシズちゃんなんじゃない?】
田中太郎【はあ?どうしてそう思うんです?】
甘楽【だって、普通じゃないとか化け物とかって言われるって言うし】
田中太郎【そうですね……でも、そんなあだ名なのかもしれないですよ?】
甘楽【………でも、】
田中太郎【そもそも、静雄さんってこーゆーの好きなんですか?】
田中太郎【イメージにないって言うか……興味なさそうじゃないですか】
甘楽【さーね。でも、機械使う授業は一回も出たこと無かったね】
田中太郎【……………】
甘楽【ちょっと、何で黙るの?】
田中太郎【……いや、いつもながら仲良いなぁ、と…】
甘楽【帝人君。明日帰る家がないと思ってね】
田中太郎【ごめんなさい。でも、臨也さんちゃんと授業出てたんですね。意外です】
甘楽【シズちゃんが出てないんなら出てやっても良いかなーって思ってね。つまんなかったけどさ】
田中太郎【当時の担当教諭に心底同情します】

――――――――――――――――――――――――



「……甘楽と田中太郎が出てこなくなったな…」




甘楽【すいませーん!ちょっと田中太郎さんと内緒のお話してましたぁ☆】
セットン【またですか?ホント仲良いですよね】
オズ【付き合ってるんスか?】
田中太郎【!!!!?無い無い無い無い無い!!!!それはありえないですよオズさん!!!!】
オズ【あ、すんません】
甘楽【やーん☆もぅ、太郎さんったらそんなに照れなくてもいいのにぃーっ!!】
田中太郎【甘楽さん!!!!いい加減にしてください!!!!(怒)】
オズ【仲良いんスね】
甘楽【本日三度目www】
田中太郎【そういえばオズさん、どうしてこのチャットに?】
甘楽【太郎さん、それ私が最初に聞きましたよw】
オズ【今日、友達が誘ってくれたんス】
田中太郎【なるほど】
甘楽【えwちょww私が聞いた時は答えてくれなかったのにwww】
オズ【その友達、この中の誰かだと思うんスけど】
オズ【誰っすか?】
セットン【あー、多分、私だと】
オズ【そうか。ありがとな】
セットン【いや、構わないよ】
甘楽【ということは、お二人は顔見知りの間柄ってことですね!】
甘楽【オズさんってどんな方なんですかぁ??】
セットン【オズさんは…優しくて強くて、ちょっと短気なところもあるけど私の大切な友人ですよ】
甘楽【きゃー!美しい友情!!私も仲間に入れて下さーいっ☆】
セットン【だが断る】
甘楽【なん……だと………!?】
甘楽【ぷーん!いいですよー!私は太郎さんとラブラブしてますからぁーっ!!】
田中太郎【だか断る】
甘楽【お前らなんか死ね】



―――――――――――――――――――――――

田中太郎【ちょ!臨也さん!素が出てますよ!?】

―――――――――――――――――――――――



甘楽【爆ぜろ】
セットン【甘楽さん!?】
オズ【怒ったんスか】



―――――――――――――――――――――――

田中太郎【ねえ、臨也さん!聞いてます!?】
甘楽【うるさいよ帝人君。ぼっちの辛さがわからない君なんて杏里ちゃんに刺されて死んでしまえ】
田中太郎【落ち着いて下さい!!!謝りますから!!!】
甘楽【じゃあ明日俺と一緒に鍋しよう】
田中太郎【えー………】
甘楽【死ね。帝人君なんて死んでしまえ。シズちゃんが投げた自販機に潰されて死んでしまえ】
田中太郎【ああもう、わかりましたよ!そんなに死ね死ね言わないで下さい!】
甘楽【わっふーい⊂⊂(^ω^)⊃⊃】
田中太郎【臨也さん戻ってきてください怖いです逆に怖いです】
甘楽【特別に紀田君と杏里ちゃんも招待してやっても良いよ!】
田中太郎【……ただ単に大人数で食事したいだけですよね?】
田中太郎【わかりました。じゃあ、二人に連絡しておきますね】

――――――――――――――――――――――――――――


甘楽【じゃあ、私、今日はこの辺で!】
田中太郎【あ、私も。明日は学校ですし】
セットン【あー、私も】
オズ【じゃあ、俺も】
甘楽【それではみなさん、おやすみなさーい☆】
田中太郎【おやすみでーす】
セットン【おやすー】
オズ【っす】



―――甘楽さんが退室しました―――
―――田中太郎さんが退室しました―――
―――セットンさんが退室しました―――
―――オズさんが退室しました―――






携帯を閉じて、静雄はベッドに横たわった。


「………何か、途中から俺とセルティしか話してなかったような…」


甘楽と田中太郎は途中何度も話が途切れ、戻ってきたかと思えばまた途切れた。
本当に付き合っているのではないのだろうか。ネットでの恋愛もあると聞いたことがあるし…


「俺は感心しねえがな………しかし、あの甘楽っつーやつ…」


(全然似てないが、臨也と話している感じがしてイライラした…)


甘楽に失礼だと思ったのか、静雄はその考えをどこかに放り投げた。
無駄に勘の鋭い静雄は、また明日も行こうかな、と頬を緩ます。


「………楽しかった、な…」


良い奴ばっかりだったし、と、
普段ではめったにならない気持ちになり、その日の夜はよく眠れた。

















場所は代わって新宿。


「あのオズって奴……絶対シズちゃんだよね。セルティめ……何教えてんだ…」


でも、あっちは俺が「甘楽」だとは気付いていない。


「…………ふふふ、楽しいなぁ。これからはチャットでもシズちゃんで遊べるのかぁ!」


嗚呼、イライラする。



とりあえず明日は鍋だ。
イライラしているのか、ワクワクしているのか。
よく分からない感情を心に秘めて、臨也は今日のログをもう一度読み直した。






―――――――――――――――――――――――――――――――


ごめんなさい。

シズちゃんの初体験その1、チャット!


オズってシズちゃんに似合わねえwww
静雄→おずし(逆から読んで)→オズになりました^^
臨也はすごいね。どんだけシズちゃんについて詳しいんだろうね。
気持ち悪いね。
てか途中から臨也と帝人のお話メインみたいになってるねごめんね。
鍋するんだね帝人ドタキャンしろ(ひでぇ


楽しかった!

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