本日、トップチームにエスパルスユース所属の加賀美翔が昇格することが発表された。
加賀美翔。
ジュニアユース時代はエスパルスジュニアユースの宿命のライバルであるジュビロ沼津に所属し、ユースからエスパルスに加入した。
そして本日ついに清水エスパルスTOPチームに加入が内定となった。
加賀美がここまで歩んできた道は決して順風満帆というわけではなかった。
ジュニア時代にエスパルスジュニアユースのセレクションを受験するも4次試験当日に嘔吐下痢の体調不良の中プレー。
セレクションから漏れ、東部の強豪ジュビロ沼津に進む。
中学3年間で県内No1ストライカーに成長した加賀美であったが、当然ジュビロ沼津の提携先であるジュビロ磐田ユースのセレクションに招聘されるもセレクションでのプレーは本人も満足の出来であったにも関わらず何故か落選。
その後開催されたエスパルスユースのセレクションを受験し見事合格。
一直線でエスパルスの道を進んできた同級生で同郷の石毛秀樹とは違い、紆余曲折あってのオレンジ戦士への仲間入りとなった。
中学1年生時代から背番号10を背負いエスパルスジュニアユースの天敵であった加賀美。
夏の日本クラブユース選手権でも加賀美の活躍によりベスト4進出したジュビロ沼津のエース。
個人的には何より中学3年生時のスルガカップ準決勝でのハットトリックの記憶が鮮明にある。
準決勝でエスパルスジュニアユースと対戦することになったジュビロ沼津。
勝てば高円宮杯東海大会出場権獲得となるこの準決勝でハットトリックの活躍。
5−0でエスパルスジュニアユースを撃破し、県内No1の称号を得た。
ユースの加入後1年生時は一学年上の柏瀬暁が2年生ながらエースを務め、プリンスリーグ東海では途中出場での出場がほとんど。
ユースに入ってから徐々に伸びてきた髪をなぜか突然坊主にしてきたこともあった。
柴原誠、石原崇兆ら後にプロとなる厚い攻撃の選手層の中でなかなか出番に恵まれない中、ヴァンフォーレ甲府とのサテライトの試合で日本平デビューを果たすといきなり得点を決める活躍。
2年生になると柏瀬が代表で負傷して得たプレミアリーグの東京ヴェルディ戦で先発出場のチャンスを得るとカウンターからゴールを奪う。
チームが4−1−4−1のシステムになると右サイドハーフとしてレギュラーポジションを獲得。
夏以降チームの急成長の要因の一つに加賀美の成長も大きな部分。
ポジションに拘らず、時にはゴール前でボールに食らいついてくる嗅覚。
『怖さ』が付いてくる。
CF以外でも得点の獲れるSHとして成長を遂げる。
そして最上級生となった今年。
シーズン開幕直前の清水フェスティバルで負傷し、プレミアリーグの開幕に間に合わず。
石毛のTOP昇格と重なってチームはどん底まで落ち開幕3連敗。
4節の鹿島戦で途中出場から戦線復帰するとこの試合でゴールを決め、そこから現在まで得点王争いに絡む大活躍。
現在プレミアリーグEASTの得点ランク1位に上り詰めた。
1年生時には国体。2年生、3年生時ではSBS杯の静岡県代表選手に選出され、今年はヤングサッカーフェスティバルと合わせて静岡県代表のエースストライカーを務めた。
そこでもしっかりとゴールを決めてくる天性のストライカーだ。
加賀美翔を語る上で外せない魅力的なゴールシーンの数々。
過去昇格していったユースのFWの選手たちはどちらかといえば前線でボールを収めテンポを作って起点となる選手が多かった中、加賀美はフィニッシャーとしての能力がずば抜けている。
嗅覚を兼ね備えながら、どうすればゴールが奪えるのかが体に染みついているストライカーだ。
そんな加賀美の面白いデータがある。
エスパルスユースに加入後アウトソーシングスタジアム日本平で加賀美が出場した試合。
1年生時は先述したサテライトのヴァンフォーレ甲府戦。
2年生時はプレミアリーグの浦和レッズユース戦、青森山田高校戦、JユースカップのFC岐阜U-18戦の3試合で各1点の3ゴール。
今年の現時点でプレミアリーグの浦和レッズユース戦、鹿島アントラーズユース戦の2試合で各2点の4ゴール。
加賀美が出場した日本平での試合計6試合で毎試合ゴールを決めている。
本人も日本平を憧れの舞台と自認している中、必ずゴールを決めている。
正に「日本平の男」。
サックスブルーのユニホームでエスパルスの天敵だった男がオレンジのユニホームに袖を通し、成長してついにプロまでたどり着いた。
今では身も心も完全なオレンジ戦士。聖地に認められた男。
ユース時代に魅せた石毛とのコンビプレーは絶妙だ。
来年が本当に楽しみな選手が新たな道を進みだす。
まずその前にプレミアリーグ得点王という勲章をTOPチームに手土産として持っていけるように残りのユースでの試合をエースストライカーとして活躍して欲しい。
頑張れ!加賀美翔!