本日、トップチームにエスパルスユース所属の北川航也・水谷拓磨・宮本航汰の3人が昇格することが発表された。
平成の清水三羽烏と成り得るこの3人のエスパルスで歩んできた道のりを振り返って、プロの道を歩むことになった彼らへ餞の言葉として。
2009年3月10日 彼らがエスパルスの選手として初めて鈴与育成Gに足を踏み入れた日。
ここから彼らの憧れのオレンジのユニホームを着てトップチーム昇格を目指す日々が始まる。
初めての公式戦は5月10日。
U−13ボルケーノの名古屋グランパスU15戦。
航汰が航也のドリブルのこぼれを押し込み先制するも、U12から組織された名古屋にその後は一方的にやられ1−6での大敗からのスタート。
しかしその名古屋との再戦となった11月末の対戦では4−0と完勝。
1年生大会では向かうところ敵なし。
WINNERSCUPでは浜松開成館中学校を7−1と一蹴。
JFAプレミアカップ東海大会で名古屋とは2−2のドロー。
同時刻開催ではなかったリーグ戦最終戦でエスパルスと名古屋の得失点勝負。先に試合したエスパルスよりも後から試合をした名古屋が1点多く獲ったため全国大会出場ならず。
4月から開幕したU−15東海リーグには開幕戦から2年生ながら拓磨航汰は先発出場。航也も途中出場。
2年生ながらもチームの主力として活躍。
そのままクラセン東海を勝ち進み、一つ上の世代と一緒に全国大会へ。
J−VILLAGE最後の日本クラブユース選手権U−15。
全国の舞台でも躍動し13年ぶりの優勝。
2冠を狙った高円宮杯では残念ながら準々決勝敗退。
3年生になり、拓磨がユースのスタメンに定着。プレミアリーグ開幕戦からスタメン出場。航也も開幕途中出場。
拓磨はジュニアユースとユースの2チームを兼任。
拓磨不在の中チームは順調にU−15リーグを勝ち進み、連覇することとなるクラセンへ。
小野伸二が突然鈴与Gに現れて観戦した東海大会初戦の津ラピド戦。延長後半AT2分に航也が決めて初戦を乗り越える。実はこの試合がクラセン全ての試合で絶対絶命に追い込まれた試合との話もあるほど。
初の帯広開催となったクラセンで全国の強豪を蹴散らし連覇達成。
高円宮杯ではまたも準々決勝敗退となってしまうが、3人は順調にユースに昇格。
中3時からユースに出場していた拓磨、航汰、航也と順調に出場機会を得ると2年生時には3人ともスタメンに完全定着。
航也はクラセン得点王、拓磨はU−17W杯で日本代表の10番。
チームになくてはならない存在へ。
そして2014年シーズンへ。
スペイン遠征で航也が長期離脱。
それでもチームは快進撃で開幕5連勝。
クラセンが終わり大榎監督がTOPへ昇格すると拓磨もTOPに呼ばれJデビュー。
そして今日、3人の来季TOPチーム昇格が正式発表となった。
北川航也。
世代No.1ストライカー。
今年は怪我で出遅れ未だノーゴール。それでも今まで何度も見るものを引き付ける強烈な「個」は圧巻。
航也がいることでどんな苦しい試合も勝ってきた。
個人的ベストゴールはユース1年生時のJユースカップ柏戦の日本平で決めた35mロングシュート。
その強烈な「個」は時にチーム全員ボランチとかいう強烈な「組織」にはシンクロすることはできないけれど、そんなことを傷とも思わせない素質を持つ。
強烈すぎるが故に気性も荒い。責任感が強すぎて時にそれはマイナスな方向へ向かってしまうこともある。
だけど、そこが航也の魅力でもある。
すぐにでもTOPレベルに挑戦し、活躍を期待したいが、昨今の大久保のように経験を重ねてさらに味がでるような選手にもなってほしい。
まずは怪我を万全にコンディションをトップレベルに戻し、ユースの優勝へ導く活躍を期待したい。
水谷拓磨。
すでにTOPチームで出場し活躍しているように圧巻のアジリティ。CBとGK以外はどこでもできるユーティリティ。
先述の通りU−17W杯では日本代表の10番を背負って活躍。
中学3年生からプレミアリーグに出場し活躍。
個人的ベストプレーはその初出場となった浦和戦か2年生時のJユースカップ京都戦でのプレー。
和製長友の異名も一部では囁かれるなど繰り返す上下動からの正確なボールコントロール。
現在掴んでいるチャンスを離さず、物怖じしない性格。プレーで地0無に貢献してほしい。
宮本航汰。
オレンジレジスタ。
ジュニアユース加入時から杉山浩太の次代を担う存在だと勝手に意識してきた。
いよいよ浩太と一緒の場所に立つことになる。
将来浩太が現役を退くとき、浩太のチャントをそのまま航汰に引き継いでほしい。
だから、出来れば航汰に浩太を脅かす存在になってほしい。
個人的ベストゴールは昨年のプレミア最終節での養和戦のATの同点ゴール。
三保在住の三保育ち。純粋培養型オレンジ戦士。
会見で本人が話したように、中3のクラセン東海大会の期間中に父さんが急逝し、父に誓ったプロへの道。
その父の盟友が社長を務めるエスパルスのTOPチームの選手になる。
支えてくれた家族にこれからは恩返ししていくことが使命。
誰からも愛される航汰がこのエスパルスで日本平であの綺麗な放物線を描くパスを通す日を待っているよ。
新清水三羽烏。
昇格おめでとう!
でもこの3人で終わりじゃない。6年間一緒に戦った仲間が必ず帰ってくる。
それまでエスパルスを支える存在となって仲間の帰りを待つ代表だ。
エスパルスから一度巣立つ仲間の留守をしっかり守れ。一日でも早くチームの中心となって。