清水エスパルスの勝利を祝うセレモニーとして定着した「勝ちロコ」。
クラブのアイデンティティーとして下部組織でもユース世代最高峰リーグのプレミアリーグでのホームゲーム、ジュニアユースではタイトル獲得時や全国大会出場決定時に勝ちロコを行っている。
昨日のプレミアリーグFC東京戦でも粘り強く戦い見事を勝利し、選手の挨拶と合わせて「いつも通り」勝ちロコをする予定だったのだが・・・
クラブ側から直前になって、芝生保護のため勝ちロコNGを言い渡されてしまった。
観客席に選手を引き入れて行うヴェルディ方式でのロコの案が出たり、選手たちからスパイクを脱いでやればOKなのでは?という案も出るが、クラブの回答はNG。
結局ロコはできなかった。
90分の試合を本拠地で行うことがホームゲームだということなのであれば、そのホームゲームの定義は違う。
試合前の移動、慣れ親しんだロッカールーム、慣れ親しんだピッチ、ホームの数的優位な応援、そしてセレブレーションまで含めてHOMEゲーム。
相手への敬意を表することもあって、アウェーでは行わないロコ。
まさかHOMEでそれを阻まれるとは思ってもみなかった。
明日から練習が再開されるTOPチームのために、芝生を守ることが絶対という理由。
その後説明を受けた話としては、三保グラウンドはサッカー以外を行うことが禁止されているという理由。
結局その禁止を育成部に通達した担当者が誰なのかはわからないのだが、
「育成型クラブ」へ注力しているクラブとして、クラブのアイデンティティーを植えつけるべき存在なユースの選手たちが、90分走り続け得たロコの権利を、クラブ側から奪ったのは非常に悔しい思い。
年間18試合の日本ユース世代最高峰リーグであるプレミアリーグ。
そのホームゲームは年間9試合。
全部勝ってもリーグ戦で勝ちロコができる可能性は最大9試合しかない。
今節のFC東京戦と来週の市立船橋戦の2試合が今年は三保グラウンド開催。
これで今年は残り最大5回しかできないことが確定した。
三保グランドは清水エスパルス専用グラウンドであることは明確な事実なのだが、
それはあくまで、清水エスパルス「TOPチーム専用」グラウンドだったということだった。
クラブの象徴であり、本質であるTOPチームをリスペクトし、全ての中心であることが最優先事項なのは当たり前であり、理解はしている。
でも、今回三保グラウンドで開催された試合はエスパルスユースが試合をクラブから「させてもらっている」ピッチを「貸してもらっている」立場だということが非常に残念だった。
育成型クラブを謳うクラブが、その大きなファクターであるユースチームに特別に試合をさせてやっているという組織といての判断。
選手を金で買えない、毎年レギュラーの大半が「卒業」して抜けるというユースの世界において、
大会設立以来常にプレミアリーグに所属して戦っている清水エスパルスユースというチームはクラブの誇りではないのか。もっとリスペクトされていい存在ではないのか。
クラブの将来を背負って立つ可能性を秘めた選手たちへクラブ愛を植え付け、クラブのアイデンティティーを体現する選手を育て、その選手たちがTOPチームへ昇格し活躍することが、地域に愛され、クラブの繁栄へと導いてくれる可能性を秘めた選手たちであるユースへの対応としては悲しい判断。
最後に日本平も含めて芝生が大事、芝生が大切っていう使用を極端に制限して、
良い状態をキープするこのクラブの管理体制は他クラブと比較して劣っていることを自覚するべきである。
日本のクラブで最多のタイトルを獲得している鹿島は鹿島スタジアムで連日のように試合を開催している。クラブが指定管理しているのにも関わらず。磐田だってサッカーよりも消耗度が激しいラグビーと併用している。
昨今のTOPチームの怪我人の多さがグラウンドが起因であるのでは?という疑念から三保のグラウンド状態は最高で、大久保グラウンドを比較したら圧倒的に良い数値を得たと、サポーターミーティングで久米GMは発した。
それはもちろん誇るべきことではあるが、そこに重きを置くが故にクラブとして大切なものをお座成りにしているのであればこのクラブを愛する一人として、非常に悲しい判断だった。