高円宮杯
第22回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会
準々決勝
清水エスパルス vs 横浜Fマリノス追浜 at 瑞穂陸上競技場
≪試合結果≫ ※40分ハーフ
清水エスパルス 2−2(PK:5-6) 横浜Fマリノス追浜
(前半:0−2、後半:2−0、延前:0−0、延後:0−0)
≪得点者≫
●追浜09番 (前半12分、抜け出した追浜09番がGK石塚と1対1をループ)
●追浜17番 (前半21分、カウンターから左サイドから追浜17番が切れ込み決める)
●北川航也 (後半06分、ドリブルで切れ込んだ北川が左足で突き刺す)
●宮本航汰 (後半13分、右クロスを海野が競りこぼれを宮本が決める)
≪PK戦≫
清水:中村〇、北川〇、宮本〇、柳沢×、聖矢〇、菊池〇、粟冠×、森主×
追浜:15番〇、05番〇、03番〇、08番〇、10番×、02番〇、06番×、09番〇
≪スタメン≫
------聖矢--北川------
----------------------
海野--------------西澤
------宮本--森主------
----------------------
菊池--粟冠--中村--柳沢
----------------------
---------石塚---------
◆ポジションチェンジ
前半13分以降 海野がCFに入り、聖矢がRSH、西澤がLSHへ
大分でのJFAアカデミー福島という曲者との試合を制し、名古屋に戻ってきたエスパルス。
対するはクラセンベスト4のサンフレッチェ広島を激戦の末倒し勝ち上がってきた横浜Fマリノス追浜。
追浜となれば思い出すのはクラセンでの決勝で終了間際に追いつかれ逆転された試合。あの時以来の公式戦の戦いだ。
この冬一番の寒さとなったこの日。
準決勝、西が丘への切符を掴む戦いが始まる。
アカデミーとの試合でマルが負傷、凌多が体調不良で帯同せずということで、怪我から復帰しアカデミー戦で途中出場した健太がRSHに入り、CHには日章学園戦でU-15デビューを果たした麗司が入る。
試合への入り方こそ悪くなかったが、徐々に試合を支配し始めた追浜。
どうもバタバタした感じで落ち着かず、自分たちのペースに持ち込めないことでイライラし、裏にボールを入れられると誰が対応するのかはっきりせずにバタバタとパニック。
それでも今大会無失点のDFが耐えて攻撃陣が応えるという形に持ち込めればよかったのだがアンラッキーな形で失点してしまう。
12分。
ロングボールに抜け出した9番がそのままGK石塚と一対一。
ここまで一対一の場面で立ちふさがってきた石塚だったが、この場面では芝に足を取られ踏ん張りきれず体勢を崩してしまう。
するとここで冷静だった9番はそのままループで石塚の頭上を抜いて先制点。
追浜が良い時間帯に耐えられず先制点を献上する。
この失点で目が覚めたか、聖矢をサイドに出したことで縦への推進力を得て強引にも前に進むエスパルス。
一点奪ってからが勝負というのを覚悟していたかのような追浜の粘りと焦りからくるシュートミスとなかなかゴールを奪えない。
21分。
カウンターから追浜。
左サイドから17番が攻め込むと戻った拓弥と一対一。
拓弥はシュートコースを塞ぎ簡単にはシュートを打たせない。
そこに追浜がどんどん選手が入り込んで選択肢を増やす。
17番が右足でボールを持ち一瞬右にスライドして拓弥を外した瞬間に右足を振りぬくとボールはゴール右サイドネットに包まれて2点目。
0−2と追い込まれたエスパルス。
もう後がないという状況から試合を圧倒する。
ゴールまで本当にあと一歩という状況にまで持ち込むが決めきれず。
航也のダイレクトボレーや海野のヘディングシュートなど非常に惜しい場面もあっただけに1点取れれば・・・という状況が続く。
40分が過ぎて前半を0−2と折り返す。
後半開始。メンバー交代なし。
後半開始と同時に猛攻を仕掛けるエスパルス。
ハーフタイムでしっかりと修正し、落ち着きを取り戻し追浜ゴールに迫る。
次の1点をどちらが取るかが勝負所。
その1点はエスパルスに訪れる。
6分。
右サイドからの崩しで航也がボールをペナライン付近で受けて、スルスルと中に切れ込む。
左足でキックフェイントを仕掛け対峙するDFを外しにかかる。
一瞬コースを開けた瞬間、シャープに左足を振りぬく。
ボールはゴール左隅に突き刺さりエスパルスが1点返す。
1−2。
猛攻は続く。
13分。
右サイドからのアーリークロスに対し、GKの前に入り競る海野。
ボールを海野がコントロールすることはできなかったが、GKにうまく体を入れていたためクリアされたボールは弱くルーズに。
このボールに走りこみ右足を振りぬいたのは航汰。
航汰のシュートは無人のゴールに吸い込まれ2−2の同点に追いつく。
この時点で後半残りは27分。
逆転は時間の問題かと思われた。
おそらく会場にいたほとんどの人がそう感じたはずだ。
そして選手たちも。
試合は完全にエスパルスのものであり、勢いもエスパルス。
追浜は完全に押し込まれカウンターから攻撃をするのが精いっぱいで、後半しっかり裏へ出たボールの対応を修正できておりピンチというピンチも数回に抑えていた。
ところが試合は時間だけがどんどん過ぎていく。
試合は終盤を迎えるも、攻めても攻めても追浜のゴールを破れない。
試合は2−2のまま、延長戦へと進む。
延長戦。お互い死力を尽くして戦う。
それでも試合エスパルス有利に進むがゴールを割れず。
次第にお互い一発を狙う形に移るが最後のところでお互いミスや体を張った守備で守りきりゴールできず。
20分の延長の末、勝敗の決定はPK戦へ委ねられる。
先攻のエスパルス、後攻の追浜。
お互いに極限状態の中進んだPK戦は5本で決着つかず。
サドンデスに。
8本のPKの末勝利の女神がほほ笑んだのはエスパルスではなく、追浜だった。
PKの結果というのは単に実力以外の部分がウェイトとして多くを占める。
単に運がなかったで片付けることもできるだろうが、あれだけ試合を支配していただけに悔しさが大きく残る。
80分間で、後半2点目を奪ったあとの時間だけでも、十分に相手を潰す時間があっただけに悔やまれる。
これでこのチームの3年間が終わる。
中学1年生大会を制し、プレミア東海で名古屋を倒し東海チャンピオンとして挑んだJFAプレミアカップ。
準決勝で名古屋と再び対戦し、リベンジを喰らう。
そして3年生となってからは無敗街道で日本クラブユース選手権を制し、エスパルスが頂点に立つ。
U−15リーグ後期リーグでは名古屋に完勝し、ジュビロに敗れ約1年ぶりの黒星を喫すもその後順調に勝ちリーグ優勝。
高円宮杯への切符を掴み挑んだ高円宮杯。
準々決勝で追浜に負けて今年は2敗しかしなかったチームだ。
後だしジャンケンになってしまうが、名古屋が完勝しての優勝という結果を聞くとこの追浜戦で勝ちさえすれば優勝に一番近い位置にいたのはエスパルスだっただろう。
本当に強いチーム、強い世代だった。
最後にベストメンバーで戦えなかったことは致し方ないが、ベストメンバーで戦うところを見たかった。
これから先、ユースに行く選手、高校サッカーへ行く選手、道は大きく分かれ、それぞれの道を進む。
どの選手もこの世代の欠けてはならないピースだった。
このピースがそれぞれの道へと進み、どのように花開くかが本当に楽しみだ。
2年生の台頭もあり、出場機会の少なくなってしまった選手も決して大きく劣っていたとは感じていない。
それぞれがこれから先どこまでやれるのか、エスパルスで学び、エスパルスで培った力、経験をそれぞれ活かして戦ってほしい。
また会える日を楽しみに、エスパルスと戦う時は、エスパルスを倒しに来て欲しい。
必ずそれを俺たちが跳ね返す。
良き仲間、良きライバルとしてこれから先のサッカー人生を楽しんでいって欲しい。
3年間本当にありがとう!SUPER ORANGE BOYS!!