2005年 韓国映画 『台風太陽』
チョン・ジョンミョン ・・・ソヨ役
キム・ガンウ ・・・モギ役
チョ・イジン ・・・ハンジュ役
イ・チョニ ・・・がっば役
オン・ジュワン
ソヨは平凡な高校生活を送っていたが、いつも授業はうわの空・・・
学校が終わると彼の生活が始まる。
スケート靴を持って公園の隅で、にぎやかなインラインスケートのグループをじっと見つめているのが日課だった。
或る時、そのグループの中でビデオの撮影が趣味の、ハンジュという女性がソヨに声を掛けてきた。
『仲間はずれ君、こっちに来て一緒に滑らないか?』 と・・・
ハンジュは、そのグループの中でもずば抜けた技量を持つ“モギ”という男性の彼女だった。
ソヨはその“モギ”のスケートをする姿にいつもあこがれて見とれていた。
ソヨがその日家に帰ると、家の中は借金取りに荒らされていた。
両親が海外に逃亡し独りぼっちになったソヨは、学校に行くのをやめスケートグループを家に呼び一緒に暮らすようになった。
ソヨは次第にスケートにのめりこんでいく・・・
そして、モギの彼女ハンジュにほのかな思いを抱くようになる。

チョン・ジョンミョン
そのグループのリーダー“がっば”は、なぜか世界大会の出場にこだわっている。
その世界大会への出場にむけての資金を稼ぐ為、映画のスタントマンをしていた。
しかし、監督からこの映画のスタントでは、君は背が高すぎるから駄目だと言われ、ちょうどいい人材が居ると監督に告げる・・・
がっばの言う人材とはモギのことで、彼はモギに事情を告げずに映画の撮影現場に連れ出す・・・
撮影現場で初めて事情を知ったモギだったが、がっばの為に撮影に協力しようとする。
しかし、撮影用のワイヤー吊りを経験したことのないモギは、どうしてもうまくいかない。
撮影スタッフもかれのに対し言いたい放題のことを言うようになる。
休憩後の撮影スタートでモギは静かに背中のワイヤーをハズシ、超人的なすべりを見せそして、狙ったようにカメラを壊し、その場を去る・・・
カメラを壊された撮影スタッフ達は怒り狂い、モギを呼び戻し謝罪させろとがっば達に詰め寄る・・・
馬鹿にされ続け、怒りを抑え続けていたスケート仲間たちが、火に油を注いだように撮影道具を壊し、とうとう警察に連れて行かれる。
リーダーのがっばはモギに謝罪するように交渉するが、モギは取り合わない。
モギはがっばに対し『一生懸命やってみたが、怖かった!これからは自分の滑りたい時にだけすべる』と告げ、謝罪にも出かけようとしない。
大きな借金を背負ったリーダーのがっばは、スケート仲間と募金ショーをこなし借金を返そうとするがそれにも、モギは出てこない・・・
モギは徐々に仲間から離れていってしまう、恋人のハンジュもどうする事も出来ない・・・

チョ・イジン
尊敬していたモギのていたらくぶりに、業を煮やしたソヨは家を出て行ってくれと怒鳴る。
モギは次の日スケート靴だけを持ってソヨの家を出る。
そして、最後のすべりを楽しむかのように軽快にすべり、その靴を忘れ物センターに預け立ち去る。
『いつか取りに来るかもしれない』と告げ・・・
ソヨの元を、モギが去り密かに思いを寄せていたハンジュも去った・・・
そして、リーダーのがっばも2年間休養だと言って去った・・・
ソヨの肩を、今からは君の時代だと叩きながら・・・

キム・ガンウ
脱力感からソヨは学校に戻った。
時間通りにことを進めて行けば何も言われることはない、以前の平凡な生活に・・・
しかし、何か違う・・・
或る時、地下道で年下の若者達がスケートに興じている。
いつも通り、役人から邪魔者扱いにされ追い回されながら・・・
ソヨはふとその場から動くことが出来なくなっていた。
数年後、インラインスケートの世界大会が開催されている・・・
活発なアナウンスがされている中、韓国から一人だけの参加者が紹介される。
ソヨの名前が高らかに読み上げられ、喝采の元彼は滑り始める・・・
兄貴達が後押しをしてくれているようだとつぶやきながら・・・
台風が吹き荒れ、吹き飛ばされていった物も有るが、じっと耐えた者の中には太陽のように輝く者も現われる・・・


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