2004年 韓国映画 『春が来れば』
チェ・ミンシク ・・・イ・ヒョヌ
キム・ホジョン ・・・ヨニ
チャン・シニョン
ユン・ヨジョン
キム・ガンウ
気取った中年主婦たちを相手に市民講座で音楽を指導しているイ・ヒョヌ。
交響楽団のオーデションに何度応募してもボッになってしまう・・・
いつしかメンバーになる夢も消え果ててしまった。
恋人ヨニはそんな彼に愛想を尽かし、新しい相手と見合いをすると電話が掛かる。
ヨニがヒョヌのお母さんの為に持ってきた栄養剤を、素直に受け取れないヒョヌ・・・
「結婚するかもしれない」とヨニに告げられると、口では「幸せになれよ」と応えるが、何か心に引っかかるものが有るらしい。
何かとヒョヌの事を心配し小言をいう母親を、つい煙たがってしまうヒョヌは、田舎町のトゲ中学校で音楽指導者を募集していることを知り、心機一転、その寂れた炭鉱の町に向かう。
トゲ中学の吹奏楽部は、部員も少なく学校の中でもお荷物のような扱いを受けていた。
今度の全国吹奏楽コンクールで入賞しなければ、廃部になってしまうという噂が立っている。
吹奏楽部の中でトランペットを吹くのは、おばあさんと二人暮らしのジェイル。
サックスのヨンソクは、彼女を連れた大人びた少年。
何の意欲もなくやって来たヒョヌだったが、次第に子供たちと心を通わせていく。
雪道で転んだジェイルのおばあさんの入院費を稼ぐため、ヒョヌはナイトクラブに飛び込んで派手な衣装を着て演奏する。
退院したおばあちゃんは、正月、雑煮をごちそうしてくれる。
吹奏楽部でも主要なメンバーのヨンソクは、父の反対で吹奏楽部を抜けてしまった。
ヒョヌは炭鉱に行き、父親を説得しようとするが、「叶わない夢もある」と静かに言い切られ、言葉を返せない。
「彼女にうまいものをおごったり、プレゼントをあげたくても、音楽で成功できなければ無理なんだ」とヨンソクに言った言葉は、かつてヨニと別れたときのヒョヌ自身の身の上だった。
ヒョヌは生徒たちを携えて、雨が降りしきる炭鉱場で、炭鉱労働者たちを讃える演奏をする。顔を真っ黒にした炭鉱労働者たちは、無言のまま楽団を取り巻き、じっと耳を傾けてくれる。
ヨンソクの演奏を聴きながら、父親がにっこり笑った。
ジェイルのおばあさんが、不慮の怪我で亡くなってしまい、悲しみからジェイルがトランペットが吹けないという・・・
ひとり酒を飲みながらヒョヌは思わず母親に電話をかける。
「かあさん、俺、最初から全部やりなおしたい」
母さんは「これからが始まりなのに何をやり直すの?」と答える。
ヨニの運転する車でギョンスがヒョヌに会いに来るが、ヨニはヒョヌには会わずそのまま走り去る。
ギョンスとヒョヌが海辺の飲み屋で酒を酌み交わしているとき、近くの海岸を歩いていたヨニは、ひとり海を見つめて泣いているジェイルに声をかける。
トランペットを抱いて落ち込んでいるジェィルに、何か音楽を聞かせて頂戴とヨニが頼む。
思いがけずジェイルは、ヒョヌが作った曲を吹く。
ヒョヌのメロディにそっと泣き出すヨニだった。
コンクール当日、ヒョヌと生徒達は生き生きとした演奏を披露した。
演奏後、海岸で遊ぶ少年たちとヒョヌの笑顔はキラキラ輝いていた。
ふと、ジェイルが「海岸で女の人に会い、ヒョヌの作った曲を演奏したら泣いていた」
とヒョヌに伝える。
ソウルに戻ったヒョヌは、桜が満開になったヨニのアパートの近くで電話をかける。
「お前、またピアノ教室をやっているんだって?ひょっとしてサックスかトランペットの講師は要らないか?」
「イ・ヒョヌという、いい講師知ってるんだが・・・」
二人の間に春が訪れた・・・

0