「蜩ノ記(ひぐらしのき)」
2013年 東宝 129分
監督:小泉堯史 製作:市川南/太田哲夫 共同製作:長谷部剛/中村理一郎/松田陽三/堯部雅夫/井上裕/吉川英作/高橋誠/角田勉/宮本直人/井戸義郎/大矢明人/小関佳孝/飯田伸二/伊藤誠一/山下利一郎 エグゼクティブプロデューサー:上田太地/福田一平 プロデューサー:城戸史朗/鍋島壽夫/鈴木一巳/安井美紀子 ラインプロデューサー:竹山昌利 原作:葉室麟 脚本:小泉堯史/
古田求 撮影:上田正治/北澤弘之 美術:酒井賢 編集:阿賀英登 音楽:加古隆 衣裳デザイン:黒澤和子
出演:役所広司/岡田准一/堀北真希/原田美枝子/青木崇高/寺島しのぶ/三船史郎/井川比佐志/串田和美/吉田晴登/小市慢太郎/中野澪/綱島郷太郎/大寶智子/川上麻衣子/石丸謙二郎/矢島健一/渡辺哲
上映館:ユナイテッドシネマ新潟SC6
採点:★★★☆☆
7年前にお家騒動で切腹仰せつけられるべきところ、10年間猶予され、その間に藩史の編纂を命じられた戸田秋谷(役所広司)の元に、喧嘩の罪を許された祐筆の檀野庄三郎(岡田准一)が清書役兼見張りとして派遣されます。庄三郎は秋谷の清廉なひとがらにいつしか惹かれていきます。
7年前の事件とは、秋谷が幼馴染であった主君の側室と不倫をしたとの嫌疑をかけられたことで、この設定は藤沢周平の「蝉しぐれ」を思わせます。藤沢周平を読み慣れたひとにとっては、作品の内容はちょっとひねりが足りないというか、人物造形が浅い感じは否めません。それぞれの役者が精いっぱいの演技をしているだけに、作品に深みが感じられないのは、そもそものオリジナルストーリーに問題があるのかもしれません。
原作の舞台は九州の小藩らしいのですが、実際の撮影は東北で行われているようで、映画では設定は明らかにされていません。その辺もちょっと中途半端な気がします。最大のミステークは切腹する日にちが8月8日という設定にもかかわらず、前日に満月を映してしまっていることでしょうか。旧暦では日付と月の形は一致しているわけで、半月でないといけない。
それから、ヒグラシというのは、都会のひとはもの悲しい鳴き声という印象かもしれませんが、実際のヒグラシは超絶やかましいものです。山里ではヒグラシは夜明け前から一斉に鳴きはじめ、うるさくて寝ていられません。旧暦8月上旬は現在では9月中旬なので、朝3時とかいう時間ではないでしょうが、それでも早朝からかなりうるさいものです。
昔なら、当たり前の常識だったものが、現代、それも都会のひとでは分からないことが多いので、時代劇を作る側はかなり気を付けないといけません。特に日付と月の形、時間による月の天空での位置というのは非常に規則正しいもので、間違いがすぐにばれてしまうのですね。まあ、多くのひとが気づかないのでもはや気にすることではないのかもしれませんが。
http://higurashinoki.jp/

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