「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」
2012年 フランス/スイス(ショウゲート)96分
監督:ステファニー・アルゲリッチ 製作:ピエール=オリヴィエ・バルデ/リュック・ピーター 撮影:ステファニー・アルゲリッチ/リュック・ピーター
(ドキュメンタリー)
上映館:ユナイテッドシネマ新潟SC4
採点:★★☆☆☆
世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチを三女のステファニー・アルゲリッチが追ったドキュメンタリーです。冒頭自身の出産シーンから始まるこの映画は、言わば家族の内側を描いたプライベートな作品とも言えます。その意味ではかなり貴重なものと言えます。
アルゲリッチは少女の頃から天才と謳われ、同時に恋多き女として浮名を流した存在でもあります。三度結婚して三人の娘を設けた、ということになっていますが、この映画を観る限り、正式な結婚というのはせいぜい二番目のシャルル・デュトワ(指揮者)だけなのでは、と思われます。三人の娘はそれぞれ父親が違うということや、ステファニー自身が戸籍上の父親が不明となっており、スティーヴン・コワセヴィッチに認知の手続きを求めている最中という描写が出てきています。
現在三人の娘とも、コワセヴィッチとも良好な関係を築いているアルゲリッチ。しかし家族が撮ったドキュメンタリーというのは、やはり主題に対して鋭く迫るということも難しいという面もあります。作品の中では別府で行われるアルゲリッチ音楽祭の様子なども写されているわけですが、アルゲリッチ自身が日頃どう考えているのか、過去をどう思っているのか。それに対して娘たちの反応は、といったことがあまり見えてこないのです。結果として、家族の日常を淡々と描いたというだけに留まってしまったのが惜しい。作品にまで達していないという印象でした。
http://www.argerich-movie.jp/

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