「日本のいちばん長い日」
2015年 松竹=アスミック・エース 136分
監督:原田眞人 製作総指揮:迫本淳一 エグゼクティブプロデューサー:関根真吾/豊島雅郎 プロデューサー:榎望/新垣弘隆 原作:半藤一利 脚本:原田眞人 撮影:柴主高秀 美術:原田哲男 音楽:富貴晴美 VFXスーパーバイザー:オダイッセイまさ江
出演:役所広司(阿南惟幾)/本木雅弘(昭和天皇)‣松坂桃李(畑中健二)/堤真一(迫水久常)/山崎努(鈴木貫太郎)/神野三鈴/蓮佛美沙子/大場泰正/小松和重/中村育二/山路和弘/金内喜久夫/鴨川てんし/久保酎吉/奥田達士/嵐芳三郎/井之上隆志/矢島健一/木場勝己/中嶋しゅう/麿赤兒/戸塚祥太/田中美央/関口晴雄/田島俊弥/茂山茂/植本潤/宮本裕子/戸田恵梨香/キムラ緑子/野間口徹/池坊由紀/松山ケンイチ
上映館:ユナイテッドシネマ新潟SC6
採点:★★★★★
岡本喜八監督で1967年に製作された作品のリメイク。その作品はずいぶん昔に見たので記憶も薄れていますが、アクション主体の群像映画であったと記憶しています。本作は1945年4月の鈴木貫太郎内閣成立から終戦の日までを鈴木(山崎努)、阿南陸相(役所広司)、そして昭和天皇(本木雅弘)を中心に心理的な側面を描いています。
画面は終始セピアカラーで時代色を出し、あくまでも戦争継続を主張する陸軍を鈴木と阿南がいかにして抑えて終戦に持って行ったのかを見事に描いています。これらの人物が主人公なので、心理描写なども細かく描いているのに対し、海軍の米内や東条英機、主戦派の将校たちはステレオタイプな描き方になっているのは、作品の性格からして致し方ないところです。
この映画が特筆すべき点は昭和天皇を悩める一人の人物として描いたところでしょう。今まで日本の映画では昭和天皇を描写するのはタブーでした。外国映画としてはアレくサンドロ・ソクーロフ監督の「太陽」で尾形イッセーが昭和天皇を演じたのがほぼ初めてに近いと思います。今回の本木雅弘も昭和天皇を好演していると思います。
武器を持った狂気の集団に対して、理性を持って接することのむずかしさをこの映画は描いています。鈴木貫太郎にしろ、阿南惟幾にしろ、以前はどちらかと言えば好戦的な人物ないしは無能な人物として評価されていることの方が多かったように記憶していますが、歴史の評価というのは長い年月を経ないと定まらないものだと思います。
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